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民主党内に浸透する「反日」勢力

「政権交代」から2年、党の〝闇〟明るみに

国民の信頼回復に、不可欠な関係清算

 東日本大震災や原発事故の陰に隠れ、産経新聞以外の大新聞はあまり報道しなかったが、菅直人前首相をはじめとした少なからぬ民主党国会議員が、北朝鮮による日本人拉致事件容疑者の親族が関係する政治団体と、「人とカネ」の面で深く関わっていたことが明らかになった。そればかりか、民主党内には極左暴力集団との関わりを指摘される幹部もいる。政権党でありながら、親北団体や左翼過激派など「反日」団体と連携する政治家を抱える民主党の〝闇〟。結党以来の党の体質を探っていくと、政権交代から3代目となった野田佳彦首相がなすべき最重要課題が見えてくる。


 菅氏と親北団体との深い関わりが明るみになったのは、7月2日付産経新聞の報道が発端だった。同氏の資金管理団体「草志会」が、政治団体「市民の党」(酒井剛代表)から派生した政治団体「政権交代をめざす市民の会」に平成19年から3年間に合計6250万円を献金したというのだ。

 「市民の党」の酒井代表は、逮捕歴のある左翼の活動家だ。毛沢東主義やマルクス・レーニン主義に染まる革命家で、同党の事実上の機関紙にはよど号ハイジャック犯の故田宮高麿元リーダーの寄稿を掲載するなど、長年に渡って親北的な政治姿勢を取る人物だ。

 また、「市民の党」には、日本人を北朝鮮に拉致したとして国際手配されている森順子容疑者と田宮元リーダーを両親に持つ男性が所属している。北朝鮮生まれの男性は、7年前に日本に帰国。今年4月には東京・三鷹市議選に市民の党から立候補したが、落選した。

 産経新聞の報道のあと、自民党は「菅首相拉致関係献金疑惑追及プロジェクトチーム」を結成。その座長、古屋圭司氏らが国会で、なぜ親北団体に多額の献金を行ったのか、菅氏を追及した。これに対し、菅氏は「連携・支援の強化のため」とするだけで、詳しい経緯などは明らかにしていない。献金の狙いが「連携・支援」という菅氏の説明がその通りだったとしても大問題だ。親北団体と連携し、それを支援する政党が日本にあり、しかもその政党が現在、政権党となれば、看過できない重大疑惑だ。

 古屋氏らの調査では、人とカネの面で「市民の党」と関係のある民主党国会議員は菅氏一人ではない。献金したり、寄付を受けたりしたのは10人を超える。「市民の党」関係者を自分の政治団体の責任者や公設秘書にした国会議員も7人いる。

 民主党国会議員から「市民の党」側への寄付の総額は約1億5千万円にも上っているが、その中には鳩山由紀夫元首相や保守派の政治家として知られる鷲尾英一郎・衆議院議員の名前もある。

 鷲尾氏が「チャンネル桜」などの取材に対する説明では、「郵政選挙」と言われた平成17年 の衆議院総選挙に初出馬した際、父親の友人の紹介で選挙運動を手伝ってもらったのが酒井氏のグループ。当選したあとは、酒井氏の売り込みもあって、同氏の素性を知らないまま公設第一秘書として雇ったという。

 ところが、酒井氏は無断で、関連の政治団体を立ち上げ、そこから「市民の党」側に献金していた。この事実に気付いたため、鷲尾氏は政治団体を解散させ、酒井氏も解雇したというのだ。

 これが事実だとすれば、鷲尾氏は酒井氏に手玉に取られただけの話だ。しかし、ここには見過ごせない問題もある。鷲尾氏は北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の理事を務めており、拉致問題についての重要情報が酒井氏を通じて北朝鮮に漏れたのではないか、との疑惑が持たれていることだ。そうした事実があったのか、どうかについては、警察当局の捜査でも行われないかぎり、解明は困難だろうが、状況からしてあり得ない話ではない。

 鷲尾氏側からの献金は、酒井氏の独断だったすれば、同氏は被害者の面もあるわけだが、菅氏の場合はそうはいかない。田宮元リーダーが寄稿した「市民の会」の事実上の機関紙には、菅氏も寄稿していたことが分かっている。そればかりか、菅氏とは古くからの付き合いがある、と酒井氏が周囲に語っていたとの情報も伝わっている。それが事実だとすれば、菅氏と「市民の党」の関わりは確信的なものということになる。

 この疑惑は、首相を辞任すれば終わり、というものではなく、国会は菅氏を証人喚問してでも解明すべき問題である。

 菅氏の危険人物との関わりは、ほかにもある。菅政権が「脱原発」に本格的に動き出した裏にも、極左組織と関わりのある人物の影がちらつく。脱原発派のイタリア人弁護士で、同国の極左テロ組織「赤い旅団」のメンバーを弁護したと言われる人物だ。今年6月末、この人物は東京・六本木のイタリアレストランで菅氏と会い、「日本の技術力があれば、脱原発でも電力不足を跳ね返せる」(日経新聞7月10日付)と説いたのだという。

 政権の末期、政権の延命のためには手段を選ばず、「ペテン師」とまで言われた菅氏。「政治的な信念がなく、あるのは自己中心的な権力欲だけ」というのがもっぱらの人物評だから、北朝鮮や極左テロ組織と関わりある人物だとしても、自己の政治的な野心達成に利用できるとみれば、関係を持つことがあっても不思議ではない。

 だが、すでに指摘したように、複数の民主党国会議員から「市民の党」側に寄付された額が総計1億5千万円に上るとすれば、反日団体との連携は菅氏の個人的な資質を超えた、もっと根の深い問題だ。民主党が「市民の党」の資金集めに積極的に協力したのか、または利用されたのか。まだ不明な部分が多いが、民主党自体に反日団体と関係を持つことも厭わない党の体質が浮かびあがるのである。

 事実、菅政権の官房長官だった枝野幸男氏は、極左の革マル派が浸透するJR東労組やJR総連から献金を受けるなど関係を持っているとして国会で問題となったことがある。しかも、民主党は昨年夏の参議院選の比例代表候補として、JR総連の組織内候補でJR総連政策調査部長、JR東労組中央本部政策調査部長などを歴任した田城郁氏を公認し、当選させている。

 「(JR総連やJR東労組内には)影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると認識している」

 昨年春、自民党・佐藤勉衆議院議員が提出した質問主意書に対する政府答弁書だ。民主党政府が暴力集団革マル派が浸透していると認める労働組合の組織内候補を公認するのだから、民主党は組織票があり、当選する可能性が高いと見込めば誰でも公認する政党だと言われても弁明できないだろう。

 では、民主党はなぜ、親北団体や極左暴力集団とも関係も持つという〝闇〟を抱えるのか。その根は党の誕生それ自体にある。

 「選挙互助会」「理念なき野合」──。これは旧民主党の誕生当初から言われ続けた言葉だ。選挙互助会とは、選挙基盤の弱い小政党や無所属の政治家が選挙を有利に戦うために結成する政党のこと。1選挙区から1人を選出する小選挙区制になると、小政党や無所属での出馬では当選が難しいので、政治理念を棚上げにした政党の結成が見られるが、選挙互助会という言葉には「野合」の侮蔑の意味が込められている。

 民主党における選挙互助会の体質は、平成8年8月に行われた旧民主党結党大会の壇上で、手を取り合った政治家の顔ぶれにも表れている。代表となった鳩山由紀夫と菅直人の両氏は新党さきがけ出身だが、その以前はそれぞれ自民党と社会民主連合に所属していた。新党さきがけの綱領には、日本の伝統と文化の象徴である皇室を尊重するとあったが、菅氏は国旗・国歌法に反対しただけでなく、今年7月、天皇・皇后両陛下がご臨席の上で開催された日本体育協会・日本オリンピック委員会創立100周年記念祝賀式典を欠席している。そんな菅氏が皇室を大切にする、と綱領で謳う政党に所属していたのだから、同氏の節操なき政治姿勢が分かろうというものだ。

 菅氏らと壇上に並んだ横路孝弘、岡崎トミ子の両氏は日本社会党出身(岡崎氏は結党直前は社会民主党所属)、鳩山邦夫氏は新自由クラブから自民党、新進党などを渡り歩いて民主党に参加した。このほか、所属議員は民主党に参加するまでの政党遍歴は実に多彩である。

 つまり、民主党は政治理念を中心に志を同じくする政治家が集まって誕生した政党ではないのである。自民党から社会党までの流れをくむ、つまり右から左まで集まって、数集めのためにできたのが民主党である。同じ志があるとすれば、それは自民党からの政権奪取だけということになる。

 「政権交代」のための数集めという民主党の体質は「民主主義は選挙がすべて」あるいは「民主主義は数」とたびたび公言する小沢一郎氏率いる自由党と合併してできた現在の民主党になって、さらに強まったと言える。

 共産主義に反対する宗教団体の支持を得る政治家がいると思えば、日教組をはじめとした労働組合出身の政治家もいる。また、外交面では親米派もいれば親中派もいる。古い自民党的な「政治とカネ」の体質を色濃く持つ政治家もいれば、共産主義イデオロギーに真っ赤に染まった、共産党よりも左の政治家も抱えるのが民主党なのである。

 民主党には党の憲法とも言える綱領がないが、政治信条のまったく違った政治家が集まった政党に、すべての党員が納得する綱領を作れるはずがないのである。菅政権では、首相の場当たり的でその場しのぎの発言や政策は批判を浴びたが、理念なき政治は右から左まで「何でもあり」の民主党体質と無関係ではない。

 2年前の政権交代の実現までは、政権交代そのものが党の求心力となっていた。しかし、政権交代後は求心力が消え、同じ政治信条をもつ勢力ごとのバラバラの遠心力が働き、政党の体を失っているのが民主党だ。その一方で選択的夫婦別姓、外国人参政権、人権侵害救済法などの左翼的な政策の実現に向けての動きが本格化するのは、民主党内の左翼勢力が実権を握りつつある証拠である。

 夫婦別姓は家庭を、外国人参政権は国家を破壊する。人権侵害救済法は言論弾圧につながる。すべて国益を損なう反日的な法案である。そんな中で、浮上したのが菅氏をはじめとした親北団体や極左暴力集団と関係を持つ政治家の存在だ。

 民主党が選挙互助会から、真の政権党に脱皮して、その責任を果たせるかどうか。それには、野田首相が親北団体や極左過激派などの反日団体との関係を明らかにするとともに、その関係を断ち切ることができるかどうかにかかっている。大震災からの復興をはじめ、現在の日本には内政、経済、外交のあらゆる面で難しい課題が山積する。これらの難題に取り組む上で欠かせないのが、政治に対する国民の信頼回復だ。民主党と反日団体との関係清算は、野田首相が菅政権で失った国民の信頼を回復する上で、避けては通れない課題である。

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