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元首相 安倍晋三氏の茶番発言!?

 安倍晋三元首相がこのところどうにも喧しい。まるで質(たち)の悪い総会屋のように、民主党政権批判を繰り返している。

 同氏の発言が取り沙汰されたのは、『安倍晋三の逆襲』なるムック本が出てからのようである。これが案外、受けたものだから(民主党政権がだらしないのが、その要因でもあるのだが…)、それからというもの、ご本人、少し調子に乗り出したようだ。

 同書のなかで、元首相は盛んに民主党政権の問題性を論(あげつら)い、「私の時はこうした。そしてそれは広く受け入れられた」と、声高に言い、「故に民主党政権がこのまま続けば、日本は大変なことになる」と、結論づけている。

 要するに、自分がやってきたことが正しく、今の民主党がその反対ばかりやっていることへの苛立ちのオンパレードなのである。

 首相の座に就いて、早速出した、新書『美しい国へ』(新潮社刊)がことのほか売れた。当時、ご本人は、盛んに〝美しい国ニッポン〟を連呼していたが、あの時と同様に今も、この得意フレーズを蔵の中から引っ張り出してきては「私が創ろうと、身を粉にして努力してきた、あの〝美しい国〟構想はどこへいってしまったのか? 今のままでは、美しいどころか、醜い国になってしまうのではないか!」と、悲壮な声を上げるに至っている。

 そのなかに正論は確かにあろう。

 翻って、今の民主党が、万事OKと言うつもりもない。むしろ、欠点だらけで、そこは、元首相の言うように「大変なことになる」危険すら大いに孕んでいるだろう。そのことは誰も否定でき得ないであろう。そのくらい今の民主党政権は、だらしがない。

 しかし、である。

 よく考えて欲しい。否、よく考えなくてもいいが、この大所高所からこれまでに挙げてきたような論陣を張っているのが、安倍元首相だということを──。

 安倍晋三元首相…。今や、多くの国民は忘れ去っているかもしれない。

 小泉純一郎氏が首相を五年間務め上げて以降、その後の五年間で首相か5人も代わり、現在の野田佳彦氏で6人目。そんなことは周知の事実であろう。しかし、敢えて書く。このまるで中華テーブルのような回転の速さについては、国民だけでなく、諸外国からも呆れられていることも周知の通り。

 この中華テーブルの最初の席に着いたのが、安倍氏だった。いわば安倍氏が、今の政権中華テーブルの創始者に他ならないのだ。

 この事実は、声高に民主党政権を批判している安倍氏にとって、とてつもなく〝痛い〟歴史である。痛い上に、恥の上塗りという側面すら備えている。

 そもそも謙譲を美徳とするのが、 〝美しい国ニッボン〟ではなかったのか?

 今の安倍氏に、その謙遜なる姿勢は備わっているのか?

 言うまでもなく答えは、NO!である。

 民主党政権の批判は、自民党ならば多かれ少なかれ、誰もが展開しているものだ。

 しかし、元首相という立場で、それを繰り返しているのは、安倍氏だけである。安倍氏の後を無理矢理引き受けさせられたとも言える福田(康夫)、麻生(太郎)の両元首相は、安倍氏のような、いわば〝恥知らず〟の論は打っていない。あくまで、どっしりと構え、超然とした態度を一応、貫いている。

 安倍氏が辞任する時の、慶応病院での会見の様子を思い出してみて欲しい。あれこそ、政権投げ出しの無様な姿ではなかったか。まるで子供がおもちゃに飽きてそれを放り出すように、彼は政権を投げ出してしまった。

 放り出されたのは、我々国民だったのである。

 安倍さん、もう一回、慶応病院にご入院なされてはいかがか? そこで、今の自分のお姿をゆっくり顧みられた方がよろしいのでは?

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