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日韓協調体制で中国の膨張抑止を PII社会長 朴東宣氏


picture 【プロフィール】 1935年3月16日、北朝鮮に生まれる。PII社会長。毎日新聞の記者だった古森義久氏(現産経新聞ワシントン支局長)は、米国議会公聴会での朴東宣氏の証言を取材し、「本当にかっこいい人物だと感嘆した。議員や調査官たちの厳しい質問をさらり、ひらりとかわしていくのだった」と書いている。今年1月、韓国国営KBS放送で回顧録が3週連続で放映された。

 朴槿惠大統領は還暦になった。すごくチャーミングな人物だ。

 ドイツで初の女性首相となったアンゲラ・ドロテア・メルケル首相が所属するキリスト教民主同盟が野党だった時代に、党首のメルケル氏に彼女がドイツを訪問した際、挨拶したいと申し出たことがあった。メルケル党首は5分ぐらいしか時間がないけど、よろしかったら来てくれという返事だった。それで出かけて行った。すると5分が10分になり、さらに30分と時間が過ぎ、そして最終的には1時間半ほどになった。それで一気に近くなった。2月25日の朴大統領就任式にはメルケル独首相が来るかもしれない。

 米はバイデン副大統領がくることになるだろう。安倍晋三総理は日韓の政治問題があるとしても、朴槿惠大統領の就任式に来るのが現在の両国の気まずい関係を回復することに助けになると思う。

 英哲学者トインビーは、「今まで白人の世の中だったけれど、西洋ではなく、東洋の時代になる。大西洋の時代から太平洋の時代になる」と語ったことがある。

 トインビーの予言は、その通りになった。メキシコも、これまで西洋が大事だと思ってきたが状況は大きく変化している。メキシコは自国で産出する石油の3分の2を自己消費して、残りは全部、米国に輸出してきたが、ゼロだったアジアへの輸出が17%にまで上昇してきた。それだけアジアと近くなっているのだ。

 それで、今度新しく当選された若いメキシコ大統領は近いうちアジアを訪問することを慎重に考慮している。

 朴大統領の一番の関心は社会福祉、持続的な経済発展、そして安保である。

 貧乏な人や老人など弱者対策などに精力を注ぎたい意向だ。昔は年をとれば子供たちが面倒みるのは当たり前だったが、最近は子供たちが面倒をみないから、韓国では年取った人の自殺が急増していくことを専門家たちは予言している。

 経済的にはこれまで財閥が闊歩してきた経緯があるが、朴大統領はこれから中小企業の活性化を図りたい意向だ。だから大統領に当選した時、財閥が入っている経団連ではなく、中小企業のほうに訪問した。

 安保政策に対しては持続的な世界平和を守ることを大きい課題として、日本と米国の関係をもっと強くする。特に日本とのよそよそしい関係を素早く解決する方案を探そうとする。

 韓国で今年、世界庭園万博を開催する。その世界庭園万博が4月20日から始まり、38ケ国から参加する予定だ。庭と言ったら日本なので、今度、新しく任命された林芳正農林水産大臣の参席が大きく期待されている。日本の佐賀県とかも設計図を出してもらって、7000万円ぐらいかけて庭園を作っている。高知県も全羅南道の友好交流都市として参加して庭園を作っている。

 去年麗水(ヨス)国際博覧会のイベント後、韓国で初めて開催する庭園万博だから国民の期待も大きいし、朴大統領がオープニングイベントに参席することも期待されている。私は庭園万博の組織委員会の首席顧問として、組織委員会と順天(スンチョン)市の代わりに最高貴賓の一人の林芳正農林水産大臣を招待する予定である。

 世界庭園万博は、昨年、海洋万博が行われた麗水(ヨス)から1時間ぐらい北にある全羅南道の順天で行われる。順天は韓国の教育都市で、交通が便利で、干潟が有名な所であり、最近は一番住みやすい都市として選定された所である。順天は私の北朝鮮の故郷である順川と同じ発音の所でもある。朴槿惠大統領は、これに直接関心をもって、成功的に開催して世界的に尊敬される親環境都市として知らせることを希望している。

 日韓関係は今、冷え込んでいる。しかし、米中でピンポン外交があったように、そういう形で始められれば、いい機会になるのではないかと思う。これから日本も韓国も仲良くしないとだめだ。膨張し始めた中国の問題を考えると、日韓が連携する以外に方法がない。歴史的にもそうだが、習慣的にも文化的にも日本も韓国も同じ国みたいなものだ。これが協力できないというのはおかしい。

 私は1980年代初頭、自民党政調会長や通信産業大臣を経験され、外務大臣だった日本の政治家として最高の人格者の阿倍晋太郎先生を通して、日本に関しいろいろ学んだことで、日本が好きになった。

 ただ、今、日本には世界が尊敬できる、そして世界的な人脈を持っている大物の政治家があまりいないのが残念である。韓国もその面では同じだと思う。韓国で現在、五期務める国会議員はまれだ。現代グループの息子が国会議員六回目だが、その程度のものだ。韓国の国会議員の任期は4年だから、20年間、政治生命を保持し続けるパワーがないのだ。

 米国で70年代、歴史的に空前絶後のコリアゲートという事件が起きた。その事件で訴追されたのが私だ。

 事件は1976年10月26日、私がヒルトンホテル(Capital Tokyo)で泊まっていた時に起きた。半年で解決すると思ったが、戦いは3年続いた。

 ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズがコリアゲート記事を競争して出した。韓国政府の代理人として米国下院議員ら150人を買収したという容疑だ。米国は違法ロビーイングしたという疑惑で、私を起訴した。

 コリアゲートの時は、米国のメディアは私を非難した。韓米関係を悪化させたというのだ。しかし、私はロビイストではなく、民間外交をやっただけだ。無論、お金も使ったがすべて私が汗を流して稼いだものだ。韓国はとても貧乏でロビー資金を出せるようなゆとりはなかった。ただ、私はそういうお金を出して米国国会議員選挙助けになるのが名誉なことだと思っていた。その当時、米国では外国政府が政治家に資金を出すのは不法だったが、外国人が米国の政治家のために資金を出すのは不法ではなかった。

 当時、米にはコメを売らないと落選する下院議員がいた。クリントン大統領のアーカンソー州やルイジアナ州、それにミシシッピ州とテキサス州だ。それに東洋人がたくさん住んでいるカルフォルニア州もそうだった。そうした州が力をあわせてグループを作り、議員86人がコメを買ってくれたら、あなたちが希望(米国の援助)していること全部やってあげるということだった。

 それを朴正煕大統領に報告したら、やってみなさいという。それで、ロビー活動ではなく、私の出身母校ジョージタウン大学を軸に動いた。

 ジョージタウン大学学生時代には、外人としては初めて生徒会長に就任していた。日本では料亭とかで話をすることがあるが、米国ではうまくいった人たちはクラブを作る。そして金があるから建物を買うとかして運営されるクラブは、ハイソサイアティーの社交場になる。

 私もジョージタウンクラブというのを、ワシントンに作った。外国人として私が中心となって社交する場所を作りたいと思ったからだ。

 ワシントンでは社交的に大きなものになると、ドアを全部開ける。カソリック教会にもワシントン駐在大使がいる。教会は社交上手な司教をワシントンに送るのだが、社交的にヘゲモニーをとると、政治家も頭を下げてくるようになるから、その効果は大きなものがある。(談・文責編集部)

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