強欲中国人が嘘で固めた上場企業乗っ取り詐欺疑惑(上)
成長市場で「ぼったくりバー」商法
「異様なHPがある。2012年末にかけて社長以下、取締役や監査役が相次いで辞任し、監査法人までも辞任。2013年に入ってからは監査役候補まで総会直前で変更されるなど、そのHPには混乱を伺わせるニュースリリースがびっしりと掲載されている」
昨年5月に、あのオリンパス事件を最初にすっぱ抜いた総合情報誌「ザ・ファクタ」が報じた東証マザーズ上場のIT企業リアルコムの内情を暴露したリード文だ。リアルコムが、親会社の代表取締役のポストを条件に株主交換に応じ、子会社となった中国人ビジネスマンに会社をかき回され、悲鳴を上げている状況が「ザ・ファクタ」では詳細に書かれている。中国人をパートナーに選定する場合、用意周到な慎重さが肝要だ。仮面をかぶった中国人の正体を見抜けなければ、正義が不義にしてやられ、良貨が悪貨に駆逐されるのだ。
話はそれで終わらない。その後のリアルコムの事業スタイルを綿密に追っていくと、甘言を弄して多くの会社と取引を始め、取引開始後、中国人の真の姿を知りあわてて逃げ出すまでに出来るだけ美味しい商売をするという、まさに「ぼったくりバー」的な商法を繰り返しているのが見て取れる。ベンチャー企業でなくても「他山の石」とは言い切れない状況なのだ。
〝騙り〟にひっかかる日本人達
問題の中国人ビジネスマンの名前は、R氏。1971年、中国江西省の生まれだ。1998年に名古屋市立大学に留学し、2007年に日本に帰化しWWBを創業した。R氏の右腕となっているナンバー2が、1968年上海生まれのG氏だ。1995年から日本に在住し、いくつかの会社に勤務してきたと称しているが、活動の実体は不明である。
WWBの事業は、国内中古建設機械の中国及び東南アジアへの輸出である。電話一本で国内の中古建機を買い付け、それを中国、アジアの中国人ネットワークに販売する、ブローカー事業である。こうした活動の中で、中古建機から多角化し、2010年11月にソーラーパネル製造会社のChina Sunenergy 社(CSUN)との販売代理契約を締結している。
そのWWBのR氏は昨年6月、リアルコムに対して提携話を持ちかけ、同年11月に1対1の株式交換による子会社化が完了した。ただ、この提携の経緯に、数多くの疑問が投げかけられているのだ。
R氏は、CSUNのソーラー製品をWWBの「独占代理製品」であるかの様な説明をし続けている。しかしながら、CSUNとWWBとの契約書には「独占」とは全く書かれていない。それでもR氏は「私はCSUNの経営陣と強い信頼関係で結ばれており、契約書には書かれていなくても、実質的独占的関係である」と吹聴しており、常にCSUNとの関係の強固さをアピールしてきた。しかしながら、アンフィニジャパンソーラー社(アンフィニ)が大々的にCSUN製品を扱っている事は業界では公知の事実である。2012年10月15日付のCSUNの発表資料では、「CSUNは日本国内でアンフィニ社と非常に良好な取引関係にあり、そのビジネスは拡大をしている」とのCSUN社長のコメントがのせられている。CSUNの発表資料には、WWBの名前はどこにも見つからない。
つまり、WWBはCSUNの独占代理店でもなく、「強固な信頼関係」が存在するかどうかも大いに疑わしかったのだ。ちなみに、業界関係者によると、現在の日本国内でのCSUNパネルの取り扱いは、アンフィニがリアルコムの2、3倍程度売っているはずだ、との事。つまり当時も今も、CSUNの国内最重要パートナーはリアルコムではなくアンフィニなのだ。それにもかかわらず、WWBのホームページには、WWB=CSUNと誤解させる表現が多数あり、自身が全く関与していないCSUNの海外でのメガソーラー実績まで事例として掲載している有様だ。
また、R氏は、初めて会う相手にWWBの説明をする際、東日本大震災直後、福島第一原発の冷却に大活躍した中国SANY社製62メートルのアームポンプ車「大キリン」の手配に自らが参画し、日本に貢献した話を毎回のようにするが、当時のSANY日本法人関係者は、「その様な事実は全くない」と憤慨していたとの事である。
つまり、「CSUNとの独占代理店に近い強固な信頼関係」も、「東日本大震災での社会貢献」も、「メガソーラーの多くの実績」もその根拠には乏しく、単にR氏が自分とWWBを大きく見せるため使った道具にすぎないのだ。
さらに、リアルコムとの株式交換にあたって、企業価値を算定した際に鍵となった業績予想も全くのでたらめであった。次の表を見てもらいたい。これは、リアルコムのIR資料及び当社が独自に入手した情報をもとに、R氏及びG氏が全く実現性のない事業計画を提示してきた事実を示す表である。
2011年8月、WWBがリアルコムに提示した当初の事業計画は、2012年5月期の予想売上が37億円、予想営業利益が4億7500万円というものであった。さらに、その後「絶対達成可能な数字」として東証に提出され、IRされた数字は売上19億5335万円、営業利益が5953万円であった。これらをもとに、リアルコムはWWBの企業価値を2億1800万円から3億800万円と算定し、リアルコムとWWBの企業価値比率を1対1と算定している。
しかしながら、株式交換後達成できた実際の業績(2012年6月期)は、売上10億3100万円、営業利益3245万円にしかすぎず、元々提示した予想に対して、売上にしてほぼ4分の1、利益にして10分の1以下であり、ここまでの業績の乖離は、R氏、G氏が交渉を有利に進めるべく数値を大幅に膨らませたとしか言いようがない。
更に、こうした業績予想の根拠としてWWBがリアルコムに提出したソーラー事業の「受注済み顧客リスト」のほぼすべてが実体のないものであったとの証言も得ている。この「受注済み顧客リスト」は、株式交換契約締結の際、企業価値算定の根拠として東証にも提出されている重要資料であった。
このリストがねつ造されたものである事は、東証も非常に重く見ているに違いない。
またWWBは、その事業計画の中で既に多くの非常に優良な顧客候補があると説明していた。
例を挙げると、(株)ナックとの取引は年間9億円の粗利が見込めること、シナネンと1000棟の集合住宅共同販売を商談中であり、エスコ社にも500棟展開プロジェクトを提案中。マルハングループ他と商談中等々である。しかし、本日時点で、これら「多くの優良顧客候補」のうち成約したものはゼロであり、本当に可能性があった話なのかは全く不明と言わざるを得ない。
これらのことからR、G両氏の言葉というのは、疑似餌と同じで、獲物をおびき寄せ釣り上げるための道具でしかなく、実態も乏しければ誠意のひとかけらもない。
リアルコムのIR資料を読み解くと、当時、リアルコムはWWBの簿価(=潰しの価値)を5600万程度と見積もっている。業績結果から鑑みると、当時のWWBの価値は、前述の2億1800万円から3億800万円などというものではなく、せいぜい5600万円程度であるべきで、R氏、G氏は企業価値を5、6倍ごまかした事になる。
いわば、リアルコムは小さな疑似餌で大きな魚を釣り上げるWWBの〝取り込み詐欺〟にまんまと引っかかったのだ。(次号に続く)