2万1000円で株は売り抜け
官製相場、頭は猫に呉れてやれ
東京株式市場で3月2日、日経平均株価の終値は1万8826円を付け、2000年4月以来14年10カ月ぶりの高値を付けた。
「円安による日本企業の好業績を背景に、海外投資家が買っている」といった解説がメディアを通じて流れたが、実態は株を買い進めているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による〝官製相場〟だ。
国民の年金130兆円を運用するGPIFは昨秋、それまで60%を日本国債などの「国内債」で運用するとしていたものを35%に引き下げる一方で、国内株式を12%から25%へポートフォリオ変更を公表した。このポートフォリオ見直しで、日本の株式市場には総額10兆円規模の特需が発生することになる。いわば〝官製相場〟による上昇気流が生まれているのだ。
GPIFは信託銀行を通じて株式運用を行っている。
事実、統計で判明している年明けから2月13 日までの間、海外投資家は買っていない。東京証券取引所が発表している投資部門別売買動向によると、逆に1兆1138億円の売り越しになっている。同期間で個人投資家も1851億円の売り越しだ。
一方、「信託銀行」部門では7037億円の買い越しとなった。
株価上昇は春の風のように、短命に終わる可能性が高い。本来、バブルというのは花のように短いものだ。朝鮮特需で2年6カ月、田中角栄の列島改造ブームで8カ月といった具合だ。
強気見通しの経済アナリストは日経平均株価2万5000円を予想する向きもあるが、風はやがて止むものだ。
とりわけ株運用で肝要なのは、売り時を見逃さないことだ。
株取引の格言に「魚の頭と尻尾は猫に呉れてやれ」というのがある。株価の底で仕入れ、上昇の山のピークで売り抜けるというのは理想的だが、そんなものはまぐれでしか期待できない「匠の技」だ。それよりか大局を見据えて、大波が来る前に売り抜け、株価の底だと判断したら、その時点で買いを入れることだ。兜町が残した格言「頭と尻尾は猫に呉れてやれ」というのは、そういうことだ。
本誌では2万1000円あたりが売り時と見る。