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記者会見

河野太郎外務大臣会見記録2・22

フィリピン・バンサモロ暫定自治政府発足

【大臣】おはようございます。
本日22日、フィリピンにおいて、バンサモロ暫定自治政府が今晩に発足する予定であります。心から日本政府として歓迎をしたいと思います。ミンダナオ和平プロセスの大きな進展を示す重要な一里塚だと思っております。
この和平の進展を、目に見える形でミンダナオの人々の生活の向上に繋げることが、平和の定着を確保する上で極めて重要だと思いますので、我が国は過去10年以上にわたり、一貫してこの和平プロセスを支援してきたパートナーとして、この機会を捉えてミンダナオ支援を一層強化してまいりたいと考えております。
 今日夕方、バンサモロ暫定自治政府委員による宣誓式が実施され、バンサモロ暫定自治政府が発足した後、外務大臣談話として正式に発出したいと思っております。
 2020年秋に行われる、これは国連において行われる予定の国際司法裁判所(ICJ)裁判官選挙に関して、日本政府として現在ICJ裁判官を務めていただいている岩澤雄司氏を、我が国候補として支持することを決定いたしました。
 岩澤裁判官は、国際的に高く評価されている国際法の権威であるとともに、豊富な実務経験を有しております。昨年6月の補欠選挙の結果、ICJ裁判官に就任以来、その職務に邁進されており、我が国候補として最も適任であると考えております。
 国際社会における法の支配を重視する日本として、我が国出身の裁判官が、引き続きICJの活動に貢献していくことは重要であると考えておりまして、岩澤裁判官の再選に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。
 この選挙は投票が国連総会及び安保理の両方で行われ、それぞれ絶対多数の得票が必要となっております。外交演説の中でも申し上げましたとおり、どの国も取り残さないという方針で、今後も積極的に外交を続けてまいりたいと思います。
 2月26日、飯倉公館におきまして、第12回国際漫画賞の授賞式及びレセプションを主催いたします。
 最優秀賞及び優秀賞の4作品は、絵の見せ方とか構図とか、あるいは多様な世界観、人生模様と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういうものを描いたきわめて優秀な作品であります。漫画をきっかけに日本の文化、あるいは日本語に関心をもってくださる、特に若い世代が世界中で増えているということもありますので、外務省として漫画への関心を高めるという意味から、海外への漫画文化の普及、漫画を通じた国際文化交流といったことに、引き続き貢献してまいりたいと思っています。

【記者】 今度の米朝の首脳会談に関連してですが、日本政府は北朝鮮の非核化に向けて、制裁をきちんと履行し維持すべきだという立場かと思います。それに対して先日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米国のトランプ大統領と電話で会談した際には、南北の経済協力を行っていく用意があるという趣旨の発言をされています。これはやはり制裁の一部緩和が必要なことで、これに対して日本としては米国政府にどのような対応を期待されるでしょうか。また、日米韓の連携が必要だという中で、韓国政府とはどのように連携していきたいか伺います。

【大臣】 韓国が言っていることは、制裁とは関係のない話であって、これは制裁が解除された後の話というふうに理解をしております。引き続き日米韓で緊密に連携をしてまいりたいと思います。

【記者】 冒頭、ご発言があったバンサモロ自治政府の関係ですが、先日の発表の中でも、帰還したテロリストの定着支援、更正というか、通常の生活への復帰というものを一つ主要な支援項目としてあげていると思うのですが、東南アジア全体で見てもそういったISの支配下にあったところで、訓練を受けてそれが戻ってきたという例がかなり見られます。その地域全体に対しての支援のアプローチとして、どのようにいまお考えをお持ちでしょうか。

【大臣】 暴力的過激主義に関しては、しっかりと市民生活に復帰をして定着をしていただくということが必要だというのは、これはもう東南アジアに限らずあらゆる地域での課題だと思っております。日本はこれまでも中東をはじめ、様々な国の中で行われている、非常に効果を上げている、こうした取組を支援し、あるいは意見交換をしてまいりましたが、そうしたことを様々な地域にモデルケースを展開していくということを、しっかり支援していきたいと思っております。シリア・イラク等をはじめ、ISの支配地域などから、こうした外国戦闘員が東南アジアにも帰還をしているという現実がありますので、東南アジア各国政府の取組を支援すると同時に、東南アジアに限らずこの問題に取り組んでいる国々と様々な情報交換をしながら、うまくいっている仕組み、やり方というものが、そう簡単に横展開はできないかもしれませんが、しっかりと展開できるように努めていきたいと思います。

【記者】 今、中東をはじめ、そういう暴力的過激主義からの復帰に関して、非常に効果を上げている取組というふうにおっしゃいましたけれども、日本がアフガニスタンで行った武器回収とか職業訓練の取組というのは、残念ながら定着したとは言いがたい状況で、去年イラクについて同じようなことをやろうとして、まだ具体化していませんけれども、非常に効果を上げている取組というのはいったいどういうことなんでしょうか。

【大臣】 例えばモロッコですとかヨルダンとか、暴力的過激主義に対する啓蒙活動、あるいはそうした人を集めてというのか、それは収容所の場合もあればいろいろな場合があると思いますが、再教育というのでしょうか、そういうイスラムの解釈がいかに間違っているかというようなことを、かなり丁寧に教育をするというようなことを行っていて、それなりに社会復帰が進んでおります。そういう取組を日本としても支援をし、あるいは展開をしていくというような活動を支えていきたいというふうに思っております。

【記者】 昨日、ポンペオ長官と電話会談されたと思うのですが、その中でベネズエラ情勢についてやりとりはあったんでしょうか。また、日本もグアイド暫定大統領の支持を表明されましたが、米国とどう連携していきたいとお考えでしょうか。

【大臣】 昨日の電話会談の中でベネズエラの話は出ました。やりとりの詳細は申し上げるわけにはいきませんが、グアイド暫定大統領を支持するということは私から明確に記者会見でも申し上げましたので、様々、各国と連携できるところは連携をしていきたいと思っております。

【記者】 別件なんですけれども、ロシアのラヴロフ外相が日露の交渉に関して旧敵国条項を持ち出して、日本が第二次世界大戦の結果を認めなければいけないということを大臣に伝えていると、日本のせいで条約締結できていないと言ったと報道されていますけれども、そういったやりとりはあったんでしょうか。また、こうした発言について大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】 交渉の中でのやりとりについては対外的に申し上げません。

【記者】 冒頭の質問の関連で確認なんですが、北朝鮮が求めている、クムガンサン(金剛山)やケソン(開城)の事業再開を、制裁の例外として認めることはあってはならないとお考えでしょうか。

【大臣】 日本政府はグアイド、私の発音が正しいか分かりませんが、暫定大統領への支持を表明しました。イシカワ大使についてはよく存じ上げております。イシカワ大使は二国間関係の発展に非常に尽力されています。信任状を取り下げるといった考えはありません。

【記者】 今の関係でもう一度日本語でお願いしたいんですけれども、大臣がベネズエラのグアイド暫定大統領の支持を表明しましたけれども、今後、マドゥロ政権とは引き続き協議を継続するお考えはあるのかということと、先ほど、日米外相の電話会談の話もありましたが、第三国から日本の支持表明に対して何か反応があれば教えていただきたいです。

【大臣】 支持表明というのは。

【記者】 日本のグアイド大統領への支持表明について、反応があれば。

【記者】 冒頭の質問の関連で確認なんですが、北朝鮮が求めている、クムガンサン(金剛山)やケソン(開城)の事業再開を、制裁の例外として認めることはあってはならないとお考えでしょうか。

【大臣】 先般の記者会見で申し上げたとおり、グアイド暫定大統領に対する支持を日本政府として表明をいたしました。若干、イシカワ大使が誤解をされている点があるようでございまして、そこは外務省の説明が悪かったのなら、お詫びを申し上げなければならないと思いますが、グアイド大統領支持を表明いたしましたので、マドゥロ大統領と日本が何か共同していくということはございません。
 さらに中南米大使会議を今開催しておりまして、昨日も、夜、意見交換を行いましたが、様々な反応はこの件について寄せられております。オープンになってないものもありますので、そうしたものについて、この場で私(大臣)から申し上げるというわけにはいきませんが、反応がございました。

【記者】 北の非核化の話に戻るのですが、非核化の目標時期について大臣は以前、2020年ということを掲げられたことありますけれども、時期の設定はやはりあるべきなのか、そのへんは今どのようにお考えでしょうか。

【大臣】 金正恩(キム・ジョンウン)委員長が政権が続くのならば、相当長い間、任期というのでしょうか、期間があるのに比べると、アメリカの大統領は4年に1度の選挙がありますので、任期に制約がある。できれば次の大統領選挙前に、一定の決着を見ることが望ましいということは申し上げましたし、今でもそのとおりだと思っておりますが、だんだん時間も経ってきておりますので、残り期間が短くなりましたが、物理的に核・ミサイルを全て排除するのに時間がかかるにしても、それに向けた一定の決断というものが、トランプ大統領の任期のうちにしっかりと表明され、合意されることが望ましいとは思っております。

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