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信用を数字にする信用スコア 米中で市民権、日本でも拡大

 信用を数字にする信用スコアが、日本企業の間に広がり始めている。
 どういうことかというと、ネット通販で買い物をしたり、コンビニの買い物をキャッシュレスでする。その履歴とか、あるいは過去にどのくらいお金を借りて、返済状況はどうだったのか、これらのデータを全部、分析して1人1人の信用力に得点をつけるというものだ。
 例えば100点満点で、あなたは支払い能力がありから95点とか、過去、借り入れの返済が滞っているから30点とかといった具合にだ。
 これらの信用度の点数が、信用スコアという。
 この信用スコアに基づいて、個人向けの融資サービスをする金融サービス業者が、融資の上限を決めたり、利息を決めるという動きが出てきている。
 大手通信アプリのラインが、今年前半の目標に7800万人いる利用者の信用スコアを1人1人、算出するという。
 その信用スコアを使って、個人向けの融資サービスを始める。
 ラインは昨年11月、みずほフィナンシャルグループと提携して共同で銀行を設立。ここをベースに融資サービスを始める。
 その時、力を発揮するのが信用スコアだ。
 そのベースにラインの基礎情報が存在する。ラインに入る時、プロフィールの書き込みがある。またコミュニケーションの頻度やライン上での人間関係、ラインを使って読んでいるニュースのジャンルとか読んでいる時間、さらにラインは決済アプリのラインペイでの決済状況だとか、それらを分析して融資するかどうかの可否の判断をしたり利回りや上限を決める。
 ラインは、このサービスを今年前半をめどにはじめる意向だ。
 なお自分の信用スコアは、スマホで見ることができる。また融資の申し込みから入金確認まで、全部スマホでできるというスピードも集客力につながる要素の1つだ。
 NTTドコモも、今年3月から携帯電話の支払いなど、利用状況を元に加入者の信用スコアを算出して、それを金融機関などに提供するサービスを始める。
 一方、ヤフーは信用スコアの実証実験に入っている。ネット通販での購買情報などを元に、利用者の信用スコアを100点満点で算出。それを金融機関などに提供する。
 金融機関にとって信用スコアは、大事なデータだ。これで焦げ付きが懸念される貸し過ぎを防ぐことが可能になり、事業運営にとって最大の落とし穴である焦げ付きリスクを減らせる。
 一方、利用者としての自分の信用コアが分かれば、自分に適用される貸付け金額の上限が大体、理解でき過剰債務のリスクが減少するメリットがある。
 データビジネスとしての信用スコアの価値が、金融機関にとって急上昇している。
 この信用スコアは、すでに米国とか中国では、かなり頻繁に使われている。
 とりわけ中国では、生活のみならず人生のあらゆる局面で、信用スコアが付きまとう。
 例えばアリババやテンセントなど、スマホなどを使った支払い状況やあるいは学歴や人脈などの個人情報をもとに、支払い能力を点数化している。そのスコアによって、受けれる恩恵が違ってくる。
 信用スコアが高いと、その分、恩恵は大きくなる。例えば高得点者には、バス代の付け払いがOKとか、スマホの充電器の使用が無料だとかといったこともある。融資の利回りが低くなるというのもある。こうした現実的メリットを享受できることから、中には積極的に個人情報を提供する人も出てきている。
 ただ、利便性とセキュリティーのバランスをどうとるか課題も残っているのが信用スコア問題だ。
 なお、中国共産党政権下では建国以来、歴史的に個人データが書き込まれた「档案」制度があり、個人の信用度が文書として生涯つきまとい統治の基盤となっている。国民が小学校に入学した時点で作成され、本人の氏素性、家族構成、学校の成績、犯罪歴など、すべての個人記録を党組織の担当者、教師、職場の人事担当者などにより克明に記録されている。
 「档案」は本人が在学中は学校が保管し、卒業して官庁や企業に就職するとそこへ移される。「档案」を見ることができるのは学校や企業の国家が定めた共産党員の中でも特定の人間だけで本人は見ることができない。その陰湿さからすると、本人が見られる信用スコアのほうがよほどか、社会の活性化に役に立つようにも思える。

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