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分身ロボットカフェから 未来の介護社会が見える

 ボットカフェの試験的運営が、このほど東京・港区で行われた。
 正式名称は「分身ロボットカフェ・ドーン」という新形態のカフェだ。
 これが東京・港区溜池山王にある日本財団ビル一階に昨年末、10日間だけの期間限定(ウィークデーのみ、1日24席程度)でオープンした。
 チケット代は1人1000円。5つ星のホテルなみに少々高いが、これでコーヒーかオレンジジュースが飲める。
 入店するとロボットのオリヒメが「ご注文をどうぞ」と言って接客。客は紙に注文の品を書いて、ロボットのバインダーに挟むと、オリヒメは飲み物をトレーに乗せて「どうぞ」と言ってきて受け取ることができる。至ってシンプルだが、このロボットが自動で動く普通のロボットではなく、遠くにいる人が遠隔操作で、このロボットを動かすという分身ロボットだ。
 この遠隔操作をしているパイロットが、今回のロボットカフェの最大の特色となっている。しかも、動かしている人は、病気で自由に体が動かせないとか、ベッドで寝たきりだとか、そういう人で構成される10人だ。
 彼らは東京だけでなく、埼玉、愛知などの在宅勤務。遠くは島根から、遠隔操作用店員として参加している。
 だから「どうぞ」と言うのは自動ロボットではなく、遠隔操作の人が「どうぞ」と言っている。
 しかも、ロボット開発主体のオリィ研究所というのは、目の視線を動かすだけで、文字入力が出来るシステムを開発している。それを使い、視線だけでロボットを動かしている人もいる。だからパソコンを打っているわけではなく、目の動きで動かすという離れ業をこなしているのだ。オリヒメDというのはカメラ、マイク、スピーカーが搭載され、ポットを通じて遠隔操作者と会話も楽しめる。
 さらに机の上に置いてくれるオリヒメという小さいロボットがいて、これは会話だけの担当となっている。
 今回はこうした分身ロボットカフェの期間限定だったが、常設カフェーにしていきたいという。
 なお、現実はこうした分身ロボットカフェどころか、もっとすごいことが起きている。例えば、分身ロボットを使って入院中の子供が小学校に通うといったことだ。これは実際、鳥取県で行われているとされる。
 なお、将来は介護されている人が自分の分身ロボットに指令して、自分の体をベッドから起こすとか、風呂にいれるといったことも可能になれば、自分で自分を介護できることになる。
 介護される身になってみれば、「義理の娘に起こしてもらうより、自分の意思で分身ロボットを使って起こしてもらうほうが、余程か気楽でいい」という声があるのも事実だからだ。 

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