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記者コラム

二階氏の対露議員外交にも懸念

   安倍首相が、北方領土問題を解決してロシアと平和条約を結び関係を改善していこうと前のめりになっている。そのため、4島の主権を回復できずに2島+αで妥協するのではないか、との懸念の声が自民党内ですら出ている。
 その「+α」は国後、択捉の主権回復ではなく、観光、海底資源利用など経済活動での特別の権利だという。「そこに二階氏が着目しないはずはない」とある政界関係者は指摘する。記者会見で二階氏は「場合によっては自民党の議員の派遣なんかも頭の隅では考えている」と語った。この発言が、「4島主権の確約ができない安倍外交を心配しての補完外交発言ならいいが、ホンネは利権の臭いを嗅ぎつけたからではないか」というのだ。もしそうなら、ロシアはますますつけこんでニンジンをぶらさげてくるだろう。その餌食にならないよう二階氏は十分な理解と準備ができているのだろうか。
 中国の安全保障上の脅威に対処することを念頭に置いた自由で開かれたインド太平洋構想を掲げる安倍外交は評価できる。だが、ことが対露外交になると、安保抜きでにわかに動き出す元有力官僚やそれに乗せられた議員たちがいる。安倍首相とプーチン大統領の会った回数が多いからとか、戦後外交の総決算を自分がやりたいからといった理由だけで国民の声をしっかり聴かずに進めて、4島の主権を失うことがあってはならない。

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