家電レンタル新時代が幕開け 「必要な時だけ、使いたい」
新しい顧客囲みこみビジネスを展開中の家電量販店が、新型家電などを借りられるレンタル会員を募集し始めている。
月額1000円で会員になると、掃除ロボットやAIスピーカーなど20種類の高級家電がお試しでレンタルできる。
例えば、買えば10万円ぐらいの一眼レフカメラを7泊8日で5000円で借りられる。
子供の運動会や音楽界などのイベントがある時などは便利だ。家族で旅行する時も、最新のカメラを使えていい。レンズなど、そんなに使わないので、レンタルで十分だ。
売りは「必要な時だけ、使いたい」という顧客ニーズに合わせたことだ。いろいろものがあるのは日本の狭い住宅環境には適さないし、最新の高級家電を使ってみたいというニーズもある。また買えないけど、高級一眼レフは使いたいというマーケットニーズも存在するし、買う前に試してみたいというのもある。高額な高級家電を購入したのはいいが、結局、使い勝手がよくなく、押入れにしまったままというケースも少なくない。高額な投資をしながら、死蔵というのはたまらない。
それより、使いたい時だけ、使えればそれだけで十分という思いもある。かつて、車など貴重品がステイタスシンボルだった時代があったが、大量生産によって物の価値が相対的に低下すると同時に、技術革新のスピードが早まって、次々に新製品が更新されることから、購入するより借りた方が最先端のものを活用できる事情もある。
何より今の若い人たちが、車を持ちたがらなくなった。借りられるものなら何でも借りて済ます、消費社会ブームの落とし子のようなものだ。
昔はレンタルというと、型落ちした古いのを借りてというイメージがあったが、最近は手垢のついていない新品を貸してくれるショップが増えている。
また選択権付きレンタルというのも存在する。レント20(ツーオー)といって、レンタルして使ってみて気に入れば購入するというものだ。
ルンバもこの手法で新規購入者を増やしている。
掃除ロボットなど、最初は敷居が高くても、一旦、使ってみると掃除を勝手にやってくれるので、結構、家事労働が削減され、主婦は楽だし、丁寧な掃除で満足度も高い。そこを逆手にとって、まずはお試しという導入路を作ることで購入に持ち込むという商魂たくましい新商法だ。
家具なんかもディオスやセシールなどが、同じようなシステムでやっている。ただ、最初は月々、支払っていくのだが、ある一定の期間が過ぎると、買いとるのか戻すのか決めないといけない。
イケアも今年2月からスイスで、同様のサービスを始めた。
変わったサービスでは、移住お試しサービスというのも出てきた。
人口1万6000人の宮崎県新富町では、町を挙げてお試し移住サービスを始めている。町に宿泊できる一軒屋があり、徒歩圏内には温泉施設もある。
まず、ここで民泊してもらい、居心地のよさを体感してもうう。そうすれば、隣近所の人たちとのコミュニケーションを楽しく取れるのかとか、周囲の環境も体感できる。
家族で移住しようとすると、一回だけでは分からないことが一杯ある。まず、ちょっとだけでも住んでみてもらうという、面白い取り組みだ。
「買う前に借りる」というレンタルサービス商法は、町おこしにも一役買うかもしれない。