メガバンクでも始まった 年中ノータイお咎めなし
クールビズの初夏から初秋の期間だけでなく、1年中をノーネクタイで通すサラリーマンらの姿が目立つようになった。
ネクタイの国内生産はクールビズ前と比べ3分の1以下に、家計の支出は6割減にまで落ち込んでいる。
クールビズ開始後、ネクタイの国内生産量と家計での支出が落ち込んでいるが、実はその前から減少傾向にあった。
国内生産量は平成9年に約3029万本だったが、クールビズ開始前の16年にはほぼ6割減の1280万本にまで縮小していた。
輸入品を加えても減少傾向は変わっていない。
また1世帯あたりの支出は昭和60年以降では平成4年が2757円と最も多かったが、開始前の16年にはそのほぼ6割減の1122円に落ち込んだ。
少なからぬ企業が、顧客に会ったり外回りをしたりするときはネクタイを締めるが、ほかはしなくても咎められない。IT(情報通信)企業だけでなく、ノーネクタイの会社も多くなっている。
昔の企業戦士の定番であった、上下そろいの背広にネクタイというドレスコードも、なくなりつつあるのだ。スーツ姿も時代の大流に押され、カジュアルなジャケットやチノパンを身につけるような企業も出てきた。
航空会社では、クールビズ期間限定ではあるものの、社員全員がアロハシャツというところもある。これが結構、社員だけでなく外部からも「解放感があって気が晴れる」とかいって人気が高かったりする。
なおノーネクタイはヨーロッパにも広がりつつある。日本のクールビズの触発されたわけではないものの、世界的なカジュアル化の流れが同時進行している模様だ。
やがて、ネクタイを締めるのは、冠婚葬祭などといったセレモニー用として着用されたり、怒られたり謝罪の時のみに使われるという限定的使用となるのかもしれない。
なお三菱UFJ銀行(東京)は5月から、通年でノーネクタイなどの「ビジネスカジュアル」と呼ばれる服装を行員に認めている。
メガバンク初の試みで、服装の自由度を高め、働きやすい職場をつくるのが狙いだ。
楽な格好で仕事をするとストレスも少ないし、いろんな発想をしようとすれば、リラックスしたほうがいいというのだ。
これまで、高温の季節でも快適に働く目的で軽装にする「クールビズ」期間(5〜10月)を除き、男性は上下そろいの背広にネクタイ、女性はスーツかそれに準ずる服装が原則だった。
今回、「カジュアル」を通年化しノーネクタイや、上下で服地の色が異なる「ジャケット・パンツ」スタイルを認めた。