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霞ヶ関ファイル

岩屋毅防衛相
記者会見5/2

ハノイ日越防衛相会談

【大臣】先ほど、日越防衛相会談を行いました。冒頭、リック大臣から、新天皇の御即位への祝意が述べられるとともに、令和の時代初めての日本の大臣の訪越を嬉しく思う、との御発言がございました。私の方からは、これに対して御礼を申し上げました。また、アイン元国家主席の御逝去にお悔やみを申し上げたところでございます。会談では、まず、地域情勢を議論いたしました。東シナ海、南シナ海、北朝鮮、中国、全般についてでございますが、北朝鮮に関して、私の方からは、安保理決議の履行の重要性について述べるとともに、拉致問題についても御支援をお願いしたいということを申し上げました。リック大臣からは、北朝鮮の非核化のために連携していきたい、というお話がございました。日越防衛協力に関しましては、「防衛協力に関する共同ビジョン」を踏まえまして、ハイレベル交流、艦艇・航空機の寄港の推進、能力構築支援の強化、「ビエンチャン・ビジョン」に基づく多国間協力の推進、政策協議の実施等を進めていきたいと申し上げましたが、リック大臣からは、この考え方に賛同いただくとともに、これまでの日本の協力を高く評価するという御発言がございました。また、会談終了後、防衛装備・技術協力について、防衛産業間協力の促進の方向性に係る覚書に日ベトナムの防衛当局間で署名をいたしました。我が方は深山防衛装備庁長官、ベトナム側はヴィン国防次官によって署名がされました。

【記者】中国が南シナ海、東シナ海への海洋進出を強めていることを踏まえた場合に、今回の会談の意義、そして、これを日本の安全保障にどのように活かしていくのでしょうか。

【大臣】全ての問題は平和的に解決をされなければいけないということでは、認識の共有を見たと思いますが、南シナ海のベトナムは沿岸国で、重要国であります。このベトナムとわが国が防衛協力を進めることは、「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを維持し強化する上で、非常に重要だと考えております。これを踏まえ、先程申し上げた様々なレベルの防衛協力をしっかり進めていきたいと考えております。防衛大臣としては、約3年半ぶりの訪越ということになりますが、今回、リック国防大臣との間で、南シナ海を含む地域情勢について議論を深めることができましたし、また、海洋安保分野を含めて、防衛協力を前進させていくことでも意見の一致を見ました。残念ながら、南シナ海において、一方的な現状変更の試みが続いている中にあって、ベトナムとわが国が「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを共有していくということは、非常に意義があることだと考えています。

【記者】先ほど大臣の方から、力による現状変更の試みは残念だと御発言ありましたが、こういった海洋進出への懸念の認識というのは会談でも触れられたのか、その点の経緯をお聞かせ下さい。

【大臣】東シナ海についても、南シナ海についても、中国との信頼醸成のための努力は重要だと思いますが、先程来申し上げているように、力による現状変更の試みが続いているということに関しては、国際社会が協力して、しっかりと声を上げていかなければいけないということについても、意見の一致を見たところでございます。引き続き、本件に関して、両国でしっかり連携していきたいと思いますが、これ以上の詳細については、控えさせていただきたいと思います。

【記者】防衛装備の協力ですが、今後、どのように具体的な装備の密接な協議を進めていくお考えでしょうか。

【大臣】この覚書は、日本とベトナムとの間の防衛産業協力及び官民の連携を強化していこうと、「ビエンチャン・ビジョン」の下に、わが国の防衛装備移転三原則を踏まえまして、具体的な分野を示した上で、防衛産業間の協力を促進していこう、ということを表明するものでございまして、将来的には、防衛装備移転等に資するものだと思っております。具体的な分野と申しますのは、海洋安全保障、捜索・救難、人道支援・災害救援、地雷・不発弾の処理、サイバーセキュリティ、輸送、警戒・監視、掃海といった分野でございまして、具体的にどういう協力を進めていくかというのは、まさにこれからでございますが、防衛省としても、引き続き、両国の防衛装備・技術協力の促進に向けて努力をしていきたいと思います。

【記者】護衛艦「いずも」がベトナムに入る予定とのことですが、このあたりの日程感であるとか、そういうのは如何でしょうか。

【大臣】今のところ「いずも」が訪問するのは、6月に予定しておりますが、その話をさせていただいて、協力をお願いしたところでございますが、喜んで協力したい、というお話をいただきました。

【記者】「いずも」は大綱にも明記されていますが、今回、大臣の方から、具体的に大綱のどういった中身について説明されたのか、それについてリック大臣の方からどのような共感があったのでしょうか。

【大臣】短い時間でございましたので、大綱の基本的な考え方を主に説明をさせていただきました。従って、細かい装備についてまで言及する時間はなかったわけでございまして、大綱が掲げる3つの柱、多次元統合防衛力、新領域を含む防衛力をしっかり作っていきます、それから、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していきます、そして、友好国との防衛協力・交流というものをしっかり進めていきます、というこの3つについて説明をさせていただき、御理解をいただいたところでございます。

【記者】大綱で明記された地域情勢についても会談の中で言及されたという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】先ほど、地域情勢についてまず議論したと申し上げましたが、その中で、そういうお話もさせていただきました。

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