川柳・俳句7月号 「ひょうたんなまず」 選者・東嶋一刀齋
今月のお題 「お茶」「テーマ自由」
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【 天 】 列島に ジェット気流や 風青し (鎌倉市) 御手洗 静香
- (風には色はないが、それを通して皮膚に感じる色彩がある。初夏の青葉、そして、晴天の青空、見ていると、心の中までさわやかな気がしてくる)
【 地 】 新茶飲む のどぼとけの中 香り立つ (静岡市) 木山 新次郎
- (新茶の香りを楽しむのは鼻孔からだが、それをのどぼとけと言い切ったところが面白い。熱い茶の香りと、のど越しの感じがいかにも季節感を醸し出している)
【 人 】 海近き 古寺の塔婆や 夏の空 (新宮市) 安房 辰徳
- (海に近い寺院には、内陸の山間の寺にはない乾いた空気や清浄な海からの風が吹いてくるので、全体的に暗い感じがなく明るい。それがまたいい)
【 佳 作 】 茶葉をもむ 母の手に吹く 夏の風 (京都市) 池田 俊之
- (茶の葉を通して母の心が伝わってくる)
鉛筆の 文字の薄れて 遠き過去 (長野市) 渕山 彰邦
- (薄れたのは文字だけではなく記憶も)
公園の ベンチの上の 眠り猫 (水戸市) 野々村 幸次
- (どんな名匠が彫ったのやら)
薫風や 路地裏の店の 空き瓶ら (東京都) 酒巻 良蔵
- (暑くなると酒量も上がるようで)
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【 天 】 おーいお茶 昔は旦那 今は妻 (東京都) 旦那というのは名だけ
- (言ってみたいよね。今はセクハラやパワハラになってしまうご時世だから、ゆめゆめおのおの方、この禁句を言ってはなりませんぞ)
【 地 】 合コンも 政治家の悪口 盛り上がる (横浜市) そんなわけないか
- (合コンの話題は場を盛り上げるのなら何でもあり。特に芸能人のうわさやスキャンダル。国際政治や経済について議論するという合コンがあれば私も参加してみたい)
【 人 】 ヨイトマケ 貧乏神は ストーカー (奈良市) 七福神
- (石川啄木は働けど働けど暮らしは楽にならなかったことを歌にした。貧しい暮らしは貧乏神にストーカーされているせいと思わないとやっていけないのである)
【 佳 作 】 茶を飲んで 見合いの席の 終わりかな (東京都) 結婚したい
- (見合いにこぎつけたが、さて話題がない)
新婚さん いいお点前で 顔真っ赤 (神戸市) お邪魔虫
- (これだから嫁いじりは楽しい)
何もない 名所旧跡 写真だけ (東京都) 灯台下暗し
- (探せばあるんだけれどね)
ホトケには ホトケの事情 山の風 (千葉市) 墓参り
- (なんでこんな山奥に、とは言うまいぞ)
【応募要項】来月のお題「神社仏閣」あなたの俳句・川柳をお寄せ下さい。お題に添ったものでなくても結構です。自作未発表のものをはがき1枚に3句程度まで。住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・年齢・電話番号明記の上で、ご投句願います。投句は返却しません。二重投稿厳禁。天・地・人の句には薄謝ないし粗品を贈らせていただきます。締め切りは毎月末。 住所 〒101─0052 東京都千代田区神田小川町3─7─16 報道ビル6F 「新政界往来」ひようたんなまず係まで。 |