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永田町ファイル

世耕弘成経済産業相 記者会見

韓国向け輸出管理措置  7・9

【記者】 韓国への輸出規制措置についてお伺いします。昨日、韓国の文在寅大統領が日本側の措置についての撤回と二国間の誠意ある協議を求めました。撤回を求めた文大統領の発言の受け止めと、日本として協議に応じる考えがあるのか、この2点をお願いします。

【大臣】そういう御発言があったという報道は承知をしておりますけれども、今回の措置は輸出管理を適切に実施する上での必要な日本国内の運用の見直しということになります。ということで協議の対象ではなく、また撤回も全く考えていません。

 韓国の輸出管理当局からは、現在、今回の運用の見直しについて事実確認を求められております。この事実確認については、これは我々としても説明をすることはやぶさかではありませんので、事務レベルで対応していきたいというふうに思っています。

【記者】その関連ですみません。その事実確認に対する説明ということなんですけれども、これは時期のめどというのはおありでしょうか。今週とか、来週とか。

【大臣】これは、日程については事務レベルで調整されるものだというふうに思っています。

【記者】二国間の協議に応じない場合は、今後、韓国はWTOにファイルして、紛争解決の手続に基づく二国間協議を要請する可能性があります。その場合はどのように対応されるでしょうか。また、WTOで理事会が、一般理事会が始まっていると思いますが、そのような場で、何か日本として意見表明される可能性はありますか。

【大臣】まず、そもそもWTOの紛争解決手続にかかわる二国間協議の要請を受けたという事実は現時点ではないわけでありますから、まず仮定の質問にお答えすることは控えたいと思います。
その上で一般論として申し上げれば、日本を含む各国は、国際合意、日本が今、7つほど参加をしている国際合意がありますけれども、そういった合意に基づいて、軍用品への転用が可能な機微技術などの輸出について、実効性ある管理というのを行うことが求められているわけであります。そのために必要な見直しを不断に行うということは、これは国際社会の一員として当然の義務だというふうに思っています。
特に日本は、ものづくりで高いレベルの技術を持っているわけであります。なおさら日本は、しっかりとこういった輸出管理ということを行っていくということが、まさに高い技術を持っている日本だからこそ求められている責務だというふうに思っています。
WTOとの関係においては、GATT21条において、安全保障のための例外として明確な規定が行われているわけであります。日本や韓国を含む各国は、これに基づいて長期にわたって輸出管理を行ってきているところであります。
今回の見直しは、国際合意に基づいた輸出管理の不断の見直しの一環として、従来韓国に対して実施してきた優遇措置をやめて、他国と同様の、通常の輸出管理上の扱いに戻す内容でありますので、いったいWTO上、どういう問題があるんだろうというふうに思わざるを得ません。韓国向けの禁輸措置などでは全くないわけであります。
一部報道などで、WTO違反の可能性を指摘するものもありますけれども、そうした指摘は全く当たらない。そうすると、韓国も2004年より前は通常の扱いであったわけですから、そのころWTO違反だったのかということにもなります。あるいは韓国も含めて特別扱いをしていたのは27カ国にすぎません。それは相手国の輸出管理がしっかりしているという信頼に基づいて、27カ国を特別に認めていたわけであります。じゃ、その残りの国、世界190カ国ぐらいの残りの国が、全部、日本はWTO違反をしているということになるのかということにもなりかねないわけであります。当然、我々はWTOに沿った、WTO整合的な対応を常に行ってきているということは明確に申し上げておきたいと思います。

【記者】ちょっと変わって、7payの不正アクセスの問題がありましたが、経産省の受け止めと、ポイント還元など、これから政策が行われますが、今後の対応についてお聞かせください。

【大臣】7payの不正アクセス問題については、私は自分の選挙中ではありますが、7月4日以降も逐次、セブン&アイ・ホールディングス及びセブン・ペイ社から状況の報告を経産省に受けさせて、その内容の報告を私自身も逐一受けているところであります。
経産省としては、まず5日にこの両社に対して原因の究明と被害の拡大防止、そして再発防止を求めているところであります。
原因については引き続き究明中ということでありますけれども、そもそもこのキャッシュレスに関しては、不正利用防止のためのガイドラインというのが定められておりまして、そのガイドラインが求めている基本中の基本である二段階認証、こういったことを含めた対策が、今回の7payでは十分に行われていなかったということは、大変残念だと。今回の事例は、まさに基本的な対策が、怠っていたところが原点にあるんだろうというふうに思っています。
現在、経産省としては、他の決済事業者も含めて、ガイドラインの徹底を改めて求めているところであります。常に最新情報を収集して、不断のセキュリティのレベルの向上に努めることも重要だというふうに思っています。
二段階認証というのは、これは基本の入口のセキュリティであります。その上で、いろいろな手口が出てくるわけでありますから、そういう情報をしっかり収集をして、迅速に対応していくということも非常に重要でありまして、そういった要請を5日付けで行いました。
また、我々はポイント還元の、キャッシュレスのポイント還元事業というのを消費税上げに伴って10月から行っていくわけでありますけれども、この事業に参加する決済事業者に対しては、これまでも十分なセキュリティ対策を求めているところであります。セブン・ペイはこれから登録を、手続をしようということでありましたから、まだその対象にはなっていないわけでありますけれども、既に登録された事業者に対しても、改めて不正対策の徹底を求めていきたいと思います。
7月8日付けでチェックリストと誓約書、こういう最低限のセキュリティ対策はしっかりやっているというチェックリストをお配りをして、それをチェックした上で、それをちゃんとやっているということを誓約をしていただくという手続も開始をしているところであります。
既に登録をされている事業者であっても、セキュリティがこのガイドラインのレベルに達していない、我々のチェックリストに十分対応できていないということであれば対象から外しますし、その際には、既に支出された補助金等も返還をしていただくと、厳しい対応をしていきたいというふうに思います。
経産省としては、今後も金融庁やNISCとも連携をしながら、事業者に対して適切な対応を求めてまいりたいというふうに思います。

【記者】日米の貿易交渉についてお伺いします。6月末に事務レベルでの本格的な交渉を進めていくことが決まりました。自動車など工業品分野の交渉は経産省が担当するそうですけれども、TPP水準の関税撤廃など、どのような成果を目指すお考えでしょうか、お願いいたします。

【大臣】まず、6月28日の日米首脳会談で、日米貿易交渉について、昨年9月の共同声明に沿って、日米ウィン・ウィンになる形で早期の成果達成に向けて、日米の信頼関係に基づいて更に加速させるということを確認したところであります。
また、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間において、交渉を前に進めていくために、今月から事務方による協議を精力的に行うことで一致をしているところであります。引き続き閣僚級、あるいは事務方における協議において建設的な議論が行われて、この共同声明にあるようなウィン・ウィンの結論が出ることを期待したいというふうに思います。

【記者】日韓に戻るんですけれども、韓国側は協議を要請しているということで、これまで数年に1度行われていたような、いわゆる定期的な協議というのは日本側は応じるお考えはありますでしょうか。

【大臣】まずは、事務方でお問い合わせが来ていますから、その説明はしっかりやっていきたいと思います。現時点で我々はWTO紛争解決などの二国間協議の要請を受けたという事実はありません。

【記者】すみません、その件なんですけれども、要は今まで当局間で行われていた通常の協議というのは行われないんでしょうか。

【大臣】当局間で行われた通常の協議というのは。

【記者】数年に1度、当局間で協議が行われている…。

【大臣】輸出管理に関してですか。

【記者】輸出管理に関してです。

【大臣】それが行われなかったので、我々は今回、措置を採ったという面もあるわけでございます。

【記者】それを韓国側が要請した場合というのは。

【大臣】まだ要請は来ていませんので、仮定の御質問にはお答えできません。

【記者】 関連してなんですが、今後、韓国側の対応次第では、追加の何らかの対応というのを考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】これはもう、極めて韓国の対応次第だというふうに思っています。当然、拡大する可能性もあり得ますし、あるいはきちっと輸出管理がしっかり行われているということになれば、逆に状況を少し緩くするということもあり得るというふうに思います。それは両面あり得ると思っています。

【記者】優遇措置をまた戻す、何らかの条件で戻すという可能性もあるんですか。

【大臣】それは、だから韓国の対応次第だと。我々はあくまでも、これは輸出管理の考え方でやっております。輸出管理が適切に行われているかどうか、もうそのことにかかっているというふうに思っています。

【記者】具体的にどうなれば戻すというのは。

【大臣】それは、まだ分かりません。

【記者】今の関連なんですけれども、輸出管理の問題で不適切な事案というのを挙げていらっしゃったわけですが、これは事務方同士で不適切な事案について協議をしているのかどうかということと、もともと信頼関係についてが端緒にあると思うんですが、徴用工問題について、個人請求権、残った上での判決、各企業が、それぞれの企業がその判決に応じて原告と話し合うということも考えられると思うんですが、それについては日本政府の中での統一見解というのはあるんでしょうか、教えてください。

【大臣】まず、この日韓請求権協定にかかわる問題については、これはあくまでも外務省にお尋ねをいただきたい。今回の経産省の手続の見直しについては、あくまでも安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から、その運用を見直しているもの、もうそのことに尽きるというふうに思っています。当然、事案については韓国側も認識をしているはずであります。そこは適切に、今までも話し合いは行われてきているだろうというふうに思っています。

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