政界日誌

12月27日(月)
日中防衛相会談、岸氏が中国艦動向に「深刻な懸念」
 岸信夫防衛相は、中国の魏鳳和国務委員兼国防相とテレビ会議方式で約2時間にわたり会談した。岸氏は沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東シナ海での中国軍や海警局の艦艇による活動に「極めて深刻な懸念」を表明し、自制を要求。台湾海峡の平和と安定の重要性にも言及し、「引き続き関連動向を注視していく」と伝えた。
政府、大学のオンライン授業の上限緩和へ 政府は教育再生実行会議の後継組織「教育未来創造会議」の初会合を首相官邸で開催した。議長を務める岸田文雄首相は、大学などで対面とオンラインの授業双方の利点を生かした「ハイブリッド型」教育を進めるため、オンライン授業で認められる単位数の上限を緩和する特例制度を設ける考えを示した。会議は今夏にも第1次提言をまとめる。
皇位継承、政府対応に苦言─野田元首相
立憲民主党の野田佳彦元首相は党会合で、安定的な皇位継承の在り方をめぐる政府対応について「有識者会議が立ち上がったのが今年3月、今日まで(退位特例法施行から)2年半かかっている。非常に遅かった」と苦言を呈した。同党は2022年1月にも、野田氏を委員長として検討委員会を立ち上げ、党の考えを取りまとめる方針。野田内閣は、女性皇族が結婚後も皇室にとどまれるようにする「女性宮家」創設を検討した経緯がある。野田氏は有識者会議の最終報告について「諸課題を先送りし、女性宮家という言葉が全く出てきていない」と批判した。
濃厚接触者も受験可 末松信介文部科学相は、新型コロナウイルス変異株「オミクロン株」の濃厚接触者となった大学受験者について、無症状などの要件を満たせば、別室で受験を認めると表明。症状の有無にかかわらず受験を認めないとした指針を撤回。

28日(火)
デジタル人材 5年で230万人
 政府はデジタル技術による地方活性化を目指す「デジタル田園都市国家構想実現会議」(議長・岸田文雄首相)の会合を首相官邸で開き、当面の施策の全体像を取りまとめた。デジタル化を推進する人材を2022年度からの5年間で230万人確保する方針を明記。デジタル技術を生かした地域課題の解決に取り組む自治体を24年度までに1000団体にする目標を掲げた。
安倍元首相を再び不起訴、「桜」前夜祭巡り 安倍晋三元首相側が主催した「桜を見る会」前夜祭を巡り、検察審査会の議決を受けて再捜査していた東京地検特捜部は、公職選挙法違反などの容疑について安倍氏を再び不起訴とした。「桜」を巡る安倍氏に対する捜査は終結した。
防衛相、ASEANホットラインに加入岸信夫防衛相はブルネイのハルビ第2国防相とテレビ会議形式で会談した。東南アジア諸国連合(ASEAN)が運用する防衛当局間のホットライン加入を表明。「地域の平和と安定により積極的に貢献したい」と強調した。
遠山元議員ら4人を在宅起訴 公明党衆院議員の秘書らをめぐる貸金業法違反事件で、東京地検特捜部は、融資仲介を無登録で繰り返していたとして、元財務副大臣の遠山清彦・同党元衆院議員ら4人を同法違反罪で在宅起訴した

1月2日(日)
米軍感染拡大「激しい怒り」─沖縄県知事
 玉城デニー沖縄県知事は記者会見で、沖縄の米軍基地内で新型コロナウイルスの大規模な感染拡大が年明け以降も続いていることについて「感染者の急増は米軍の対策の不十分さを示すもので激しい怒りを覚える」と強調した。沖縄の米軍基地では1日に235人、2日に70人の新規感染者が確認され、日本人基地従業員の「オミクロン株」感染も相次いでいる。玉城氏は「米国の状況を日本、沖縄に持ち込むなと言わなければならない」と訴えた。

4日(火)
通常国会前の外遊見送り
 首脳外交積極姿勢 岸田文雄首相は記者会見で、17日召集予定の通常国会前の外遊を見送ることを明らかにした。米国、オーストラリアへの訪問を検討していたが、国内外での新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、「国内のコロナ対策に万全を期すため、行わないこととした」と語った。

5日(水)
首相、連合新年会に出席
 岸田文雄首相が連合の新年交歓会に出席。自民党出身の首相では2013年の安倍晋三氏以来9年ぶり。夏の参院選をにらみ、立憲民主党などと支持団体の連合の間にくさびを打ち込む狙いか。

6日(木)
「同志国」との連携図る日本、日豪首脳会談
 岸田文雄首相とオーストラリアのモリソン首相が6日、自衛隊と豪軍の相互訪問の法的基盤となる「円滑化協定(RAA)」に署名した。日本政府はインド太平洋地域で覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、欧州やアジアの「同志国」と連携を深めたい考え。豪州との防衛協力強化を先例に各国と協議を進める方針で、英国とのRAA交渉に弾みがつくことに期待が出ている。
政府、通常国会法案絞り込み 参院選控え61本程度 政府は、17日召集予定の通常国会に提出する新規法案を61本程度とする方針だ。夏に参院選が予定され大幅な会期延長は困難なため、本数を絞り込む。こども家庭庁設置法案、経済安全保障推進法案など岸田政権の「実績」をアピールできる法案の成立を優先させる。通常国会に提出される政府法案は、例年65本前後となることが多い。一方、参院選の年は少なくなる傾向があり、2016年は56本、19年は57本だった。

7日(金)
「敵基地攻撃」検討を伝達、日米2プラス2
 日米両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をテレビ会議方式で開いた。成果文書の「共同発表」をまとめ、覇権主義的な動きを強める中国をけん制。敵基地攻撃能力の保有を念頭に「あらゆる選択肢を検討する」と米側に伝えた。

8日(土)
新資本主義、今夏に実行計画─首相が月刊誌寄稿
 岸田文雄首相は8日発売の月刊誌「文藝春秋」に、自身の看板政策「新しい資本主義」に関する論文を寄稿した。具体的行動を盛り込んだ実行計画と工程表を今夏に策定すると表明。2023年に日本で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に触れ、「分断や格差を乗り越える新しい資本主義の具体像を世界に問いたい」と記した。
皇位の男系継承堅持を─安倍氏 自民党の安倍晋三元首相は8日発売の月刊誌「文藝春秋」掲載のインタビューで、皇位継承について「男系継承が126代にわたり続いてきた。歴史の重みを考慮し、伝統を守り抜かなければならない」と男系継承の堅持を訴えた。

9日(日)
海部俊樹元首相死去、91歳
 海部俊樹元首相が東京都内の病院で老衰のため死去した。91歳だった。昭和生まれ初の首相で、リクルート事件で高まった政治不信を払拭するため、政治改革に内閣の最重要課題として取り組んだ。名古屋市出身。葬儀は近親者で済ませた。
首相、在日米軍の不要外出認めず 岸田文雄首相はNHK番組で、在日米軍での新型コロナウイルス感染急拡大を受けて、不要な外出を認めない方向で米側と大筋合意したと明らかにした。「詳細を詰めている」と述べた。沖縄・広島・山口の3県に対し、コロナ対応の改正特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の適用が同日、開始された。
米軍関係者の原則外出制限、日米合同委員会が共同声明 日米両政府は在日米軍関係者について原則として2週間外出を制限するとした日米合同委員会の共同声明を発表した。在日米軍基地で新型コロナウイルスの感染が拡大し、基地所在県などで陽性者が続出している事態を踏まえた措置。
対中国「現代版ココム」に発展も 日米両政府が、先端技術の輸出を規制する新たな枠組み作りを検討していることが明らかになった。価値観を共有する欧州の有志国と連携することを視野に入れている。民間の先端技術を活用して軍事力を高める「軍民融合」戦略を進める中国への輸出を食い止めることが念頭にある。
敵基地攻撃能力に前向き、維新と国民
日本維新の会の馬場伸幸共同代表はNHK番組で、政府が検討する敵基地攻撃能力の保有に関し「抑止力として反撃する能力を持っていることは絶対に必要だ」と述べ、前向きな姿勢を示した。国民民主党の玉木雄一郎代表も「相手領域内での迎撃、抑止能力は必要だ」と同調した。
核融合戦略を初策定へ、政府 政府は夏までをめどに「核融合」の研究開発に関する戦略を初めて策定する。脱炭素に資する技術とみて、国際競争力を高めるための具体策を盛り込む。戦略づくりに向けて早ければ1月中にも内閣府に有識者を集めた議論の場を設ける。

12日(水)
TPP加入、中国牽制─経産相、シンガポール貿易相と会談
 シンガポールを訪問中の萩生田光一経済産業相はガン・キムヨン貿易産業相と会談し、環太平洋連携協定(TPP)の新規加入では高い基準を完全に満たすことができる国・地域を対象に拡大していくべきだとの認識で一致し、中国を牽制した。