政界日誌

7月1日(月)
菅前首相が石破氏と会談 自民党の菅義偉前首相と石破茂元幹事長は東京都内の中国料理店で会談した。石破氏は9月に想定される党総裁選に出馬する意向。政権批判を強める菅氏と、今後の対応などを巡り意見交換したもようだ。会談には武田良太元総務相も同席した。

2日(火)
サイバー自衛官育成へ新区分、来年度新設─防衛省 防衛省は、「サイバー人材総合戦略」を発表した。陸上自衛隊に2025年度からサイバー分野の試験区分を新たに設け、入隊段階からキャリアを積ませて指揮官を育成。民間との間で人材が行き来する「リボルビングドア(回転ドア)」も推進し、高度な技能や知見を持つ要員を確保する方針を盛り込んだ。
感染症行動計画、政府が閣議決定 政府はコロナ禍の教訓を踏まえ、新たな感染症流行に備えた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を閣議決定した。平時からワクチンなどの研究開発を進め、医療の逼迫時には、科学的知見が不十分な段階でも緊急事態宣言などの措置に踏み切るとした。国民生活などへの影響も考慮し、「柔軟かつ機動的に」運用する。2013年の計画策定後、初めての抜本的改定となった。
運行管理なしの参入否定─政府、ライドシェア全面解禁に慎重 政府は一般ドライバーが自家用車を使い有償で客を運ぶ「ライドシェア」について、IT事業者などの参入も認める全面解禁に慎重な立場を重ねて示した。同日の閣議で決定した答弁書に「運行管理や車両整備に責任を負う主体を置かないまま運転者のみが運送責任を負う形態は、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、導入すべきではない」と記した。
中国公船が領海侵入─沖縄・尖閣沖 沖縄県石垣市の尖閣諸島沖で中国海警局の「海警」3隻が日本の領海に侵入した。日本漁船に接近しようとしたため、海上保安庁の巡視船が漁船の安全を確保し、領海外へ出るよう警告した。尖閣諸島沖での中国公船の領海侵入は6月24日以来。

3日(水)
強制不妊、国に賠償責任─旧優生保護法は違憲・最高裁大法廷 旧優生保護法に基づき、障害などを理由に不妊手術を強制されたとして、全国の男女が国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は同法の規定を違憲とし、国の賠償責任を認めた。不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用については「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない」とし、実質的な原告全面勝訴とした。
日米豪印、高級実務者が会合 日米両国とオーストラリア、インドは4カ国の枠組み「クアッド」の高級実務者会合をテレビ会議形式で開いた。外務省によると、地域情勢について意見を交わし、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力推進で一致した。

4日(木)
衛藤元沖北相、参院選不出馬 自民党の衛藤晟一元沖縄・北方担当相(76)=参院比例代表=は大分市で記者会見し、来年夏の参院選に出馬しない意向を表明した。事実上の政界引退。次期衆院選の大分1区に長男が出馬することを理由に挙げ、「(親子で選挙を)同時並走することは県民の理解が得られないのではないか。私が引くべきではないかということで不出馬を決意した」と述べた。

5日(金)
米兵性犯罪、沖縄へ情報伝達─政府 政府は沖縄県で米軍人による性犯罪が発生した場合、関係自治体に対して可能な範囲で速やかに情報を伝達する方針を決め、同日から運用すると県に通知した。昨年から相次いだ事件を巡り日本政府が県側へ情報を迅速に伝えていなかった点が批判を浴びたことを踏まえた措置。玉城デニー知事は評価する考えを示した。
中ロ艦艇が大隅海峡通過 防衛省統合幕僚監部は中国とロシアの海軍艦艇計4隻が大隅海峡を東に抜け太平洋に向かったと発表した。同省によると、中ロ艦艇が日本周辺で共同航行するのは4回目。ロシア側は「共同パトロールを行った」と発表したといい、同省は今後の針路などを注視している。

6日(土)
海自トップが引責辞任へ─無資格隊員ら特定秘密違法運用 海上自衛隊の護衛艦隊の10隻以上の艦艇で、安全保障に関わる機密情報「特定秘密」を、資格がない隊員に扱わせるなど違法な状態が続いていたことがわかった。10年近く常態化していた恐れもあり、海自トップの酒井良・海上幕僚長は引責辞任する意向を固め、木原稔防衛相に伝えた。
日英の安保協力推進、岸田氏が新首相と電話会談 岸田文雄首相は英国のスターマー新首相と電話会談した。両首相は欧州・大西洋地域とインド太平洋地域の安全保障は不可分で、緊密に連携していくことで一致。日英にイタリアを加えた3カ国による次期戦闘機開発の協力も確認した。

7日(日)
小池氏が都知事3選─石丸、蓮舫氏ら破る 任期満了に伴う東京都知事選の投開票が行われ、無所属で現職の小池百合子氏(71)が、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、前参院議員の蓮舫氏(56)ら新人55人を破り3選を果たした。小池氏は自民党の支援を受けつつ、裏金問題を考慮して政党色を薄めた戦略が功を奏した。3期目も引き続き子育て支援に力を入れる方針で、第1子の保育料無償化の制度設計について「今から進めたい」と表明した。

8日(月)
立民の戦略「根底から見直し」─野田元首相 立憲民主党の野田佳彦元首相はBS11の番組で、同党が全面支援した蓮舫氏が惨敗した東京都知事選を受け、次期衆院選の戦略を「根底から見直さなければならない」と述べた。

9日(火)
立民・小沢氏、泉代表に退陣要求 立憲民主党の小沢一郎衆院議員は次期衆院選での政権交代に向けて泉健太代表に退陣を求めた。記者団に「野党の共闘態勢を構築できる体制に変えなければ駄目だ。泉氏なら沈没だ」と述べた。泉氏の任期満了に伴う9月の代表選に擁立を目指す考えも重ねて示した。
立民に共産との連携中止提案へ、国民玉木代表 国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で、7日投開票の東京都知事選で立憲民主党が支援する蓮舫氏が3位に甘んじた敗因を、共産党との連携にあったと指摘した。「野党第1党が共産との関係を重視する路線は終焉を迎えた」と言及。近く立民の泉健太代表と面会し、関係見直しを求めると明言した。
立民・枝野氏、代表選出馬へ 立憲民主党の枝野幸男前代表(60)が東京都内で赤松広隆前衆院副議長と会談し、9月に見込まれる党代表選に出馬する意向を伝えたことが分かった。赤松氏は2021年の衆院選に出馬しなかったものの、今も党内最大勢力のリベラル系グループ「サンクチュアリ」に影響力を持つため、支援を要請したとみられる。

10日(水)
米兵暴行「満身の怒り」、沖縄県議会が全会一致で抗議決議 沖縄県議会は本会議で、県内で相次ぎ発生した米兵による性的暴行事件を受け、米軍などへの抗議決議を全会一致で可決した。決議は「人間としての尊厳をじゅうりんする極めて悪質な犯罪だ。満身の怒りをもって抗議する」と表明。日本政府に対し、県などへの迅速な通報を求める意見書も可決した。近く県議団が上京し、外務省などに直接要請する。
日韓、防衛実務者対話を再開―9年ぶり、レーダー照射合意受け 日韓両政府は防衛実務者対話を東京都内で開いた。2015年8月以来、約9年ぶりの開催。シンガポールで先月行われた防衛相会談で18年の韓国軍艦艇による海上自衛隊機へのレーダー照射問題の再発防止策に合意した際に、対話再開を申し合わせていた。

11日(木)
連合会長、立・共連携見直しを 立憲民主党の泉健太代表は党本部で連合の芳野友子会長と会談した。東京都知事選での蓮舫前参院議員の敗北を踏まえ、芳野氏は「共産党が前面に出過ぎ、逃げてしまった票があったのではないか」と指摘し、共産との連携を見直すよう促した。泉氏は「教訓をどう生かすか党の中で話し合う」と述べるにとどめた。

12日(金)
日独首脳会談、太平洋で防衛協力 ドイツ・ベルリンを訪問中の岸田文雄首相はショルツ首相と首相官邸で会談し、中国の覇権主義的な行動を踏まえ、インド太平洋地域で防衛分野の協力拡大に取り組む方針で一致。半導体や重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化を図るため、経済安全保障に特化した政府間協議の枠組みをつくることに合意した。

13日(土)
蓮舫氏、国政復帰「考えず」 東京都知事選で落選した蓮舫前参院議員は自身のインスタグラムで「国政選挙(への立候補)はもう考えていない」と表明した。理由について「120万を超える人が『蓮舫』と書いてくれた。これで国政に戻ったら渡り鳥みたいだ」と語った。
共産委員長「野党共闘再構築を」 共産党の田村智子委員長は党創立102周年の記念講演を党本部で行い、次期衆院選に向けて「立憲主義を守れとの原点に立ち、市民と野党の共闘を再構築しようではないか」と訴えた。