往来仰天ニュース
全米を高揚させた娘への贈り物
箱開けると「赤や黄色の紅葉」
米オハイオ州出身のシンガー・ソングライター、リブ・ミラルディさんは2018年に音楽家を目指し、ロサンゼルスにやってきた。韓国のKポップをけん引し国際的人気も高い7人のボーイズグループBTSの楽曲制作にも関与するなど活躍しているが、秋になると故郷の紅葉を思い出しホームシックになることがある。
リブさんが父親のジム・ミラルディさん(74)との電話での会話で、そのことに少し触れることがあった。すると数日後、リブさんのもとに父親から小包が届いた。包みの紐をほどいたリブさんの顔がほころぶ。箱の中には赤や黄色、オレンジ色に染まった故郷の紅葉がぎっしりと詰まり、茶色のキャラメルも一箱添えられていたのだ。
このいきさつと小包開封の動画をTicTokに投稿すると大きな反響を呼び、再生回数は一週間もしないうちに100万回を超えた。コメントには「父親の愛情に涙が出てくる」とか「自分の娘にも自宅の庭に咲いたコスモスの押し花を送りたい」などと共感の書き込みが陸続と寄せられている。
たわいのない自分のプレゼントが大バズリしたことで、ジムさん家族も驚くとともに喜んだ。またリブさんはもらった紅葉を額縁に入れ自宅の居間に飾っている。
五大湖の1つエリー湖の南に位置するオハイオ州の秋は、カナダの秋に負けず劣らず紅葉が美しい。
全山が黄色一色に染まったり、鮮烈な赤やオレンジ色にも変化する景色に息をのむほどだ。とりわけ家族と一緒に見る大自然のダイナミックな芸術は、美への感動を共有することで親兄弟の絆はいっそう深まる。秋の紅葉美はリブさんにとって家族の愛情に包まれることと同じ意味を持っていたのかもしれない。やがて額縁の中の紅葉の色は茶色に変色するだろうが、父親の心温まる娘への愛情は変わることがないから。
「桐一葉、落ちて天下の秋を知る」
この句は、戦国時代の武将・片桐且元作とされる。落葉が他の広葉樹より早い青桐の葉が落ちるのを見て、いち早く秋の到来を知るとの意味で、季節の最前線での動きを熟知していた片桐の目線の確かさが光る。
一方、紅葉のプレゼントは、大自然がもたらす季節の芸術品を宅配便に託した娘を思う父親の心根の暖かさにほっこりしてしまう。
生焼けシイタケ食べて
激しいかゆみ伴う発疹
バーベキューにつきもののシイタケ。
焼肉以上に美味とも思う人は多いが、これが原因で病院に駆け込む人が少なからずいる。
しかも、本人はシイタケが原因だとは気が付かないケースがほとんだ。というのもシイタケを触ったり、食べたりしてもこれまでなんでもなかった人に突然、激しいかゆみを伴う発疹が現れるからだ。だから原因が分からないまま、受診することになるが、多くのケースで生焼けシイタケの摂取によるものだ。
発疹は摂取後、1日から4日以内に胸や腹、背中などに激しいかゆみを伴って現われ、ひっかいたあとに発赤(ぽちぽちとした丘疹や盛り上がった紅斑)が特徴となる。それはミミズ腫れのような線状の発疹でシイタケ皮膚炎特有の症状だ。
原因は加熱で変化する生シイタケ成分によるものとされるが、稀にシイタケの戻し汁やシイタケエキス、シイタケチップ菓子などでも発症することがある。
昔、テレビの健康番組で、「乾しシイタケの戻し汁飲用が高血圧や高脂血症を改善する」との放送後、全国各地でシイタケ皮膚炎が多発して社会問題化したことがある。
たかがシイタケだが、されどシイタケでもある。健康食品のシイタケながら、食べ方によっては毒にもなる。食卓に載せる時は、しっかり焼いたものだけを出して、くれぐれも生焼けのシイタケを口にいれることがないよう気を付けることが肝要だ。
大ぶりのシイタケに、バター、チーズをのせて網に乗せ焼き上げるシイタケの大判焼きも旨い。オーブンに入れて火が通ったら最後はバーナーでこんがり焼いて完成となる。だが手を抜いてトースターで2、3分焼いただけのものを食べ病院送りとなったケースもある。
オーブンとトースターでは加熱具合が違う。オーブンは熱した空気を中で対流させ食品温度を上げていくことで、中まで火が通りやすい。一方、トースターの場合は熱を放射し直接食品を温めるため、表面温度こそすぐに上昇するが中まで火が通りにくいという問題があり、これがシイタケ皮膚炎の原因となった模様だ。
またシイタケだけでなく、低カロリーで食物繊維も豊富な健康食品のエノキダケも注意を要する。エノキダケもしっかり火を通せば問題ないが、不十分な加熱だとシイタケ同様、皮膚炎の原因となる。とりわけエノキタケは冷凍するとうまみ成分が大幅に増えるとされる。解凍後の調理では、くれぐれもしっかり火を通すことをお忘れなく。
地球から昆虫が消える?
地球環境悪化のサインか
日本では「わが国最大の問題は人口減少」との問題意識の下、「人口戦略本部」が設置された。
だが減少しているのは人間の数だけではない。
自然界の昆虫も「劇的な減少率」で個体数を減らしているのだ。しかも、これは世界的傾向にある。
学術誌バイオロジカル・コンサヴェーションにこのほど発表された豪州研究者の論文によると、1年間に2・5%のペースで地球に生息する昆虫の数が減少しているとのデータを明らかにした。そのデータ通りなら10年で25%、50年で半分、そして100年で地球上の虫がすべからく消滅することになる。原因は農薬や化学肥料による環境汚染、都市化による生息地への圧迫、それに気候変動などがあげられるという。
とりわけハチやアリ、カブトムシなどは、哺乳類や鳥類などと比べ、およそ8倍の速さで急減していると論文は警鐘を鳴らす。
一方でイエバエやゴキブリといった害虫の数は増えているとされ、憎まれっ子世にはばかる状況となっている。原因は殺虫剤への抵抗力をつけてしまったハエやゴキブリが、環境悪化の障害を乗り越えたからだとされる。いわば人間のこざかしい知恵で作り出した殺虫剤をあざ笑うかのように、殺虫能力の無効化に成功した害虫がのさばっている格好だ。
絶滅危惧種と言うと日本ではシマフクロウやコウノトリが有名だが、昆虫の減少は自然界の生態系のバランスを崩しかねず問題は大きい。
というのも鳥類や魚類、それに哺乳類などの生物の多くが虫をたんぱく源として食べ、生存しているからだ。子育て中の燕は一日500匹の虫を、ひなに与えるという。何よりミツバチやチョウといった虫は、農家にとって欠かすことのできない益虫だ。野菜や果物の栽培で受粉という重要な役割を担っているのがこうしたミツバチやチョウだからだ。
そういえば最近、小さいころしばしば庭先に見かけたシオカラトンボや天空を飛翔するオニヤンマなどめっきり見かけなくなった。人類の文明を一つ押し上げたのはゼロの発見だ。ただ「ないことがある」というゼロの概念は、単に数学的意味だけでなく、地球環境や人類の将来に黄信号を送る警鐘のサインだったりもする。
昆虫がゼロに向け行進している現実から何を読み取るべきなのか、人類が突き付けられているサインから目を背けてはいけない気がする。
ただ一方で、地球上で興亡盛衰を繰り返してきた生物は、絶滅しても他の種が取って代わった歴史がある。少数の種が厳しい環境にも適応し、空いた席を埋めてきたのだ。楽観論と悲観論、どちらをとるべきか。それにも迷う。

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