永田町ファイル
小野田紀美内閣府特命担当相 記者会見
外国人との共生社会
【大臣】外国人との秩序ある共生社会推進担当の大臣として御報告いたします。
本日の閣議後、高市総理出席の下で、第1回「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」を開催いたしました。
同会議は、外国人の受入れ・秩序ある共生に係る施策の司令塔機能を強化する観点から、内閣官房長官を議長とし、外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣及び法務大臣を副議長とした上で、これまであった「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」を改組したものです。
会議において、総理から各閣僚に対し、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて、第一に、既存のルールの遵守・各種制度の適正化に向けた取組、第二に、土地取得等のルールの在り方を含む国土の適切な利用及び管理に向けた取組を進めるよう指示がありました。
その上で、実施可能な施策は順次実施するとともに、不断に取組を強化し、来年1月を目途に基本的な考え方や取組の方向性を示すようにも指示がございました。
排外主義とは一線を画しますけれども、外国人との秩序ある共生社会の実現に向け、司令塔として新たに置かれた担当大臣としては、総理の指示に基づき、関係閣僚会議の下で政府一体となってスピード感を持って検討を進めてまいります。
【記者】「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」の初会合について伺います。所管する大臣としての司令塔強化に向けた意気込みと、どういった論点が課題と捉えていらっしゃるか、教えてください。
【大臣】冒頭発言でも申し上げましたけれども、本日の関係閣僚会議において、高市総理からは関係閣僚に対して、まず、「既存のルールの遵守・各種制度の適正化」として、出入国在留管理等の一層の適正化、外国人による制度の適正利用等に向けた取組の推進、オーバーツーリズム、民泊対策、そして、外国人犯罪への適切な対応などの指示がございました。
また、「国土の適切な利用及び管理」として、外国人による不動産保有の実態把握、そして、外国人の土地取得等のルールの在り方の検討に向けた取組、こちらの指示がありました。
さらに、実施可能な施策は順次実施するとともに不断に取組を強化するようにという指示があったことも踏まえ、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた司令塔として、これら総理からの御指示に基づいて、各政策を所管する関係大臣とともに協力して、スピード感を持って検討してまいりたいと思っております。【記者】外国人の閣僚会議の件でお伺いしたいんですけれども、総理からの発言で、「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況も生じていることも事実」という発言がありました。この一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱というのは、具体的にどういったことを大臣は念頭に置かれているんでしょうか。
【大臣】かなり種類が多岐にわたるのですけれども、あくまで一部を申し上げさせていただきますと、例えば、外免切替えによって運転免許を取得した外国人が交通事故を起こすというような事例であるとか、外国人の社会保険料の納付率が日本人と比べて低いという調査結果が出ているということ、あと、森林法や国土利用計画法に基づく届出を適切に行っていない外国人が森林伐採を行った事例などを承知しております。
【記者】その上で、総理も「一部の」とおっしゃっていましたけれども、外国人全ての方において、そういうようなイメージが取られますと差別の助長にもつながりかねないという懸念もあるかと思います。その差別の助長につながらないためには、どのようにされたらいいとお考えでしょうか。
【大臣】おっしゃるとおりで、我々は常に、一部のルールや法を守らない外国人をちゃんと適正に対応していくということを発言しているのですけれども、それを全ての外国人を排斥する意図があるというような報道をされてしまうと、真っ当に頑張っている方々が萎縮をしてしまう、これは非常によくないことだと思っています。
ルールを守って適正化していくということは、日本人の不安・不満というものを払拭するというのも大事なところですけれども、私も外国のルーツが入っている人間として、一部が行ったことが全てが悪いかのように思われてしまうと風評被害が広がってしまうのですね。
なので、真っ当に頑張っていらっしゃる方々にそういう意思が行かないためにも、ルールや法律を守らない人にきっちりと対応して、日本に暮らす外国の方々はみんなルールと法に則って暮らしている方々ですよと発信していく。
これは非常に重要なことだと思っています。
【記者】外国人政策の関係で伺いたいんですが、ルールとおっしゃっているのは、法律とか条例を指しているのか、その他、民間企業の内部規定などいろいろルールは社会にあると思うんですけれども、それら全般を指しているのか、どう理解したらよいでしょうか。
【大臣】すごく幅広い問題になってくると思いますが、法律を守らないことに関しては、もちろん法律に関することでございますが、ルールを守らなくてはならないのは日本人も外国人も同じなので、例えば、ごみ出しのルールで困っていらっしゃる地域もあれば、会社の中でのルールに困っていらっしゃる方もいるでしょう。いろいろな社会が、日本人も含め生活していく中で、みんなが気持ちよく暮らすためのルールを守っていくというところも含まれたり含まれなかったり、政策ごとに、例えば法務省が所管するこれに関するルールや法はこういう意味だろうと変わってくると思いますので、それぞれの政策を所管するところでしっかりとこの件に関してはこうすると、これから整理がされるのではないかと思っています。
外国人抑制の「移民政策」必要
記者コラム
高市政権が発足して新たに「外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣」を置いた。父方が米国にルーツを持つ小野田氏が初代大臣に就任したことは、外国人との共生が政治課題として急浮上している日本の現状を象徴している。
外国人政策が後手に回った要因には二つある。政府が実質「移住者」が増えているのに「特定技能者」などとして移民政策に正面から取り組んでこなかったことだ。これによって、国民の間に、在住外国人の多くは働くために一時的に日本にいるだけの労働者だという認識を広げしてまった。
もう一つは、左派マスコミが外国人差別の視点を強調して報道することによって、法律やルールを守らない「一部の外国人」に対する対応を、マイノリティへの差別問題にすり変えてしまったことだ。決まり事を守らず地域の秩序を乱す行為に不安の声を上げる住民や政治家に「差別主義者」「排外主義者」とレッテル貼りする、いわゆる人権派の弁護士や市民団体も存在し、社会の分断を助長している。
外国人政策の在り方を議論する際は、まず現実を直視することが重要だ。総務省統計局の今年5月現在の確定値によると、日本の総人口は1億2334万人で、昨年同期に比べ60万人減っている。日本人だけに限れば、減少幅はさらに大きく94万人に達する。その一方で、人口が増加した層がある。75歳以上と外国人だ。前者は一年前に比べ57万人、後者は34万人増えている。これを見れば、日本の社会は労働力不足から外国人に頼らざるを得なくなっている現実が浮き彫りとなる。
政府は「特定技能」外国人を昨年度から5年間で82万人受け入れる計画だ。これを見ただけでも今後、日本における外国人移住者が増加するのは確実だ。しかし、そこで懸念されるのが文化や宗教の違いから生じる地域住民との摩擦だ。
法律やルールを守るのは日本人も外国人も同じであり、移住者も当然それを履行すべきである。しかし、違う価値観を持つ外国人が急増したのでは、日本人との間の〝文化的な摩擦〟が起きるのは避けようがない。高市内閣にはこれを最小限にとどめる施策が求められるが、それはすなわち外国人の受け入れを抑制的に進める「移民政策」を執ることだ。同時に、日本人には戦後最悪と言われる安全保障環境の面だけでなく人口減少の現実からも、日本は国家の大きな分岐点にあるとの覚悟が必要なのだ。


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