「ファイアー」されるトランプ大統領
待ち受けるのは「破産」と「逮捕」?
気にいらない者は誰であれ「ファイアー!(首!)」してきたドナルド・トランプ大統領。いよいよ自身が「ファイアー」される身となろうとしている。
投げたブーメランが回り込み、自らの首が落ちようとしている皮肉な結果だ。
だが、選挙で数で圧倒されてもトランプ大統領は「敗北宣言」を出さず、それどころか選挙に不正があったとして大型訴訟による徹底抗戦の構えだ。
トランプ陣営は、20以上の州で用いられたドミニオン社の集計ソフトを俎上に載せようとしている。同ソフトをめぐっては、全国で何百万もの票が同氏からバイデン氏に切り替えられたなどと一部で指摘されている。またトランプ氏自身ツイッターで「全国で270万のトランプ票を削除した」などと訴えてきた。
トランプ陣営は法廷闘争資金用約62億円の献金も呼びかけている。
なぜ、そこまで勝ちにこだわり踏ん張るのか?
政界雀は、トランプ氏を駆り立てているのは恐怖心だという。
トランプ氏にとって大統領の椅子を失うことは、政治的失墜だけにとどまらず、「破産」と「逮捕」という地獄が待っているからだ。
トランプ氏の債務返済期限は、トランプタワー関係のローンが2年後に1億ドル(約105億円)、その他のローンが4年後に4億2100万ドル(約442億円)とも言われる。
さらに「脱税問題」や経営するホテルへの利益誘導、ロシアマフィアがかかわったとされるマネーロンダリングなど、トランプ氏は疑惑のデパートでもある。
現職大統領には訴追されないという「特権」があるが、落選したら法的措置がとられることも覚悟しないといけない。
なお、政治家は「3トウ」体験で革命家に転じる契機になるとされる。倒産、闘病、投獄の「3トウ」だ。いずれも人生観ががらりと変わる契機になるものだ。
最初の倒産経験はトランプ大統領にとってハードルは低い。実は6回の倒産を重ねながら、その度に不死鳥のごとく舞い戻ってきたのがトランプ氏だった。
2つ目の「闘病」にしても、トランプ大統領は体験したばかりだ。大統領選挙の終盤、10月のジンクス「オクトーバーサプライズ」は大統領のコロナ感染だった。
わずか3日間だけとはいえ、酸素吸入器をあてがわれ、劇薬に近い薬投入の治療状況からすると、大統領自身、死の淵を垣間見たかもしれない。
そして残る最後のハードルは投獄。経営者としては、起き上がりこぼしのような不倒翁トランプ。
政治家としても再び次回2024年の大統領選挙に再び挑戦し、復職するようなドラマを演じれば、間違いなく歴史に残る大統領となるのだが…