バイデン米大統領の就任

1月15日

岸信夫防衛大臣 記者会見

【大臣】まず、コロナウイルス関連についてです。前回の会見以降43名の隊員が新たに感染されていることが確認されました。これまでで合計693名ということになります。それから、日英防衛相テレビ会談についてです。昨日14日に、イギリスのウォレス国防大臣との間で日英国防相テレビ会談を実施いたしました。今般の会談では、東シナ海・南シナ海をめぐる情勢について、力を背景とした一方的な現状変更の試み、また、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対することなどで一致をしました。またその他、北朝鮮によるCVIDの実現に向けて、引き続き連携をしていく意思を確認いたしましたところです。感染症対策分野における協力についても、ウォレス大臣から賛同を得ました。ウォレス大臣からは、今年予定されているイギリスの空母打撃群の東アジアを含む地域への展開について説明がございました。私からは、これを大いに歓迎し、高く評価すると申し上げたところです。防衛省・自衛隊としては、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化に向けて、わが国とグローバルな戦略的パートナーシップを構築しているイギリスとの防衛協力・交流を引き続き活発に進めてまいりたいと考えております。以上です。

【記者】日米関係について伺います。来週水曜日、今月20日に、バイデン次期大統領の就任式がワシントンで行われます。新政権の正式な発足となりますが、安全保障分野での米国との連携、どのように進めていくのか、御認識を聞かせてください。

【大臣】まず、バイデン次期政権においては、昨年12月に次期国防長官にロイド・オースティン氏が指名されました。政権の骨格が固まってきていると承知をしておりますが、今後の政策方針に注目をしているところでございます。その上で、日米同盟はわが国の安全保障の基軸でございます。防衛省としては、ガイドラインや大綱を踏まえて、バイデン次期政権との間でも日米防衛協力を更に深めて、日米同盟の抑止力・対処力の強化を一層進めていきたいと考えているところでございます。

【記者】昨日ですね、北朝鮮が軍事パレードをしたというような報道が出ています。その中でも新型のSLBMですね、去年10月にも登場したと思うんですけれども、また新たにSLBMが登場したというような報道もあります。北朝鮮の動向についてどのように分析をされていますでしょうか。

【大臣】北朝鮮は昨日、今お話があったとおり、党大会に合わせて金正恩委員長の参加を得て、軍事パレードを実施をしたというふうに承知をしております。詳細については現在分析が必要でありますが、今回のパレードにおいて北朝鮮は、水中戦略弾道弾などを紹介しております。複数の弾道ミサイルとみられるものが登場した、こういうふうにも承知をしております。防衛省としては、今般の軍事パレードに登場した各種の兵器を含め、米国や韓国等と緊密に連携しながら、引き続き必要な情報収集・分析に努めてまいりたいと思います。

【記者】北朝鮮がですね、軍事パレードを実施した意図については何か分析ありますでしょうか。アメリカの新政権も発足するというような状況もあると思うのですけれども、何か分析、見立てありましたらお願いします。

【大臣】北朝鮮のパレードを行った意図等についてですね、私からコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、党大会という期間でもございました。また、昨年の党の創建の時のパレードもございました。そういう意味でパレードという形で北朝鮮の軍事力をですね、誇示するような動きがあったということは理解をしているところでございますが、これ以上は差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】新型コロナウイルスの関連で、自衛隊派遣の自治体からの相談状況等、最新の状況があれば教えていただきたいのと、連日コロナ対応の病床の不足が報道され、自治体の状況もひっ迫してきていると思いますけれども、財政支援とか法整備によって民間病院等でも今後受け入れられるケースが増えてくる可能性も想定されますが、自衛隊としてどういう協力ができるのかという点をお願いします。

【大臣】コロナ対応については、まず私からは今月4日に大臣指示を出させていただいて、自衛隊として医療支援、緊急支援、また教育支援、それからその他能力を活かした支援等ですね、所要の対応ができるように必要な検討、準備を指示をしているところでございます。一方で、自衛隊の中央病院を始めとします防衛省・自衛隊の医療機関における患者の受け入れ、それから離島からの急患輸送、自治体からの具体的な要請があれば速やかに必要な措置を講ずることが出来るよう万全を期しているというところであります。いずれにしましても、今後自治体からの要請がありましたら、その自治体としっかり相談をしつつ、支援ニーズに対して最大限に応えることができるように、厚労省とも調整をした上で迅速かつ適切に対応して行きたい、こういうふうに考えているところです。

【記者】自衛隊の能力を活かした支援という言及がございましたけれども、自衛隊としてどういう能力を活かせるのかというところについては、もうちょっと具体的に、どういうような能力の活かし方というのがあるのかという点をお聞きしてもよろしいでしょうか。

【大臣】いろいろな能力を有しているとは思います。これまでもですね、先ほど言いました医療支援だけではなくて、医療に関連して生じてくるようなところでの自衛隊のマンパワー等を活かしたところの支援ということもあると思います。市中感染への対応としてですね、看護官等の各自治体における病院の派遣に加えて、自治体職員や民間業者に対する感染防護に係る教育支援、感染者の輸送支援等実施をしているところでございますが、こうした支援に加えて、自衛隊の医療機関における患者の受け入れ、先ほど申しましたけれども、離島からの急患輸送、こうしたところを万全を期しているというところであります。いずれにしましても、自治体のニーズをしっかり受け止めて、それにどういうふうに応えることができるか、そこは派遣前にしっかり自治体と相談をし、また、厚労省とも調整をしながら迅速に決めていきたいということです。

【記者】昨日ですね、自民党の試案で週休3日制度を推進するという案が示されて、官邸にも出していきたいということと、公務員にも広げていきたいという試案なのですけれども、先ほどですね、公務員制度改革担当大臣の河野前防衛大臣は「全く考えていない」というような発言をされたようなのですけれども、岸防衛大臣は安全保障に携わる自衛隊員、これも公務員だと思うのですけれども、厳しいとは思うのですけれども、河野大臣と同じような考えでしょうか。

【大臣】働き方改革、多様な働き方を推進するということはですね、防衛省・自衛隊としても重要な課題でありますから、我々もいろいろ考えていかなければいけないことだと認識をしております。ただ、自民党の試案そのものについてはまだ内容を確認しておりませんので、我々としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】実際に週休3日制度が実現すれば、大臣としては賛成というお考えでしょうか。どうでしょうか。

【大臣】どういう形で働き方改革を進めていくか、休みという形もあるでしょうし、そうではない形もいろいろ考えられると思います。そういう意味で、まだ固定的に賛成、反対を述べる立場ではないと思います。

【記者】北朝鮮の情勢について先ほど軍事パレードについてのお話がありましたが、弾道ミサイルの発射自体は昨年の3月以降で行われていなかったかと思います。数カ月以上にわたって発射されていない意図をどのように分析されていらっしゃるかお願いします。

【大臣】北朝鮮が発射をしていない意図、これはなかなかこちらから推し量ることは差し控えさえていただきたいと思いますけれども、発射すること自体は安保理決議に違反する行為ですので、これは我々いつも抗議をしているところであります。発射をしていないことについてのコメントというのは差し控えさせていただきたいと思います。

【記者】あとその間、市ヶ谷のグラウンドに展開しているPAC-3のランチャーを上に上げた状態がずっと続いておりましたが、破壊措置命令自体はずっと継続中だったということなんでしょうか。

【大臣】常にですね、情勢については注視をしていますし、いかなる状況に対しても対応できるような態勢を常に取ってきているということでございます。

【記者】先日の会見でも伺いました米軍の航空機による沖縄県の慶良間諸島周辺での低空飛行訓練の関連なんですけれども、沖縄県議会の米軍基地関係特別委員会が昨日ですね、低空飛行訓練に抗議する声明を自民党・公明党も含む全会一致で採択しました。声明ではですね、先日の大臣の会見でおっしゃった飛行訓練を容認したことについてですね、誠に遺憾だというふうに指摘していますが、大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】ご指摘の声明については、沖縄県議会のご意見として、しっかり受け止めたいと考えております。また、地元から今回の米軍機の飛行訓練に対してですね、不安の声が挙がっていることは承知しています。米軍による飛行訓練については、パイロットの技能の維持・向上を図る上で必要不可欠な要素であり、日米安保条約の目的達成のためにも重要なものと認識しておりますが、一方で、わが国において訓練を行う場合は、わが国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであることは言うまでもないということについては、8日の会見でもご説明をしたとおりなんですけれども、また、今回の飛行についてはですね、防衛省から米側に対して、航空機の運用に当たっては、日米合意を順守するとともに、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるように、既に1月7日の段階で申し入れを行っているところです。防衛省としては、今後とも、米側と連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求めて、地元の皆さんに影響が最小限にとどまるように、適切に対応していきたいと考えております。