海外通信
5月18日(水)
トルコが交渉入り阻止、北欧2国のNATO加盟申請 北大西洋条約機構(NATO)はスウェーデンとフィンランドによる加盟申請を受けて大使級の北大西洋理事会を開いたが、正式な加盟交渉開始を決めることができなかった。両国の「テロ組織支援」などを理由に難色を示すトルコが、決定を阻止した。ドイツのDPA通信など複数メディアが報じた。
国連総長、食料危機でも仲介─穀物輸出でロシアと交渉 グテレス国連事務総長はロシア軍によるウクライナ侵攻で穀物や肥料の輸出が滞っている問題について、解決に向け両国や米国、トルコ、欧州連合(EU)などと交渉していると明らかにした。ウクライナでの民間人退避に続き、世界で懸念が強まる食料危機への対処でも仲介に乗り出した。
マスク氏、共和支持に転向─米 米実業家イーロン・マスク氏は共和党支持に転向するとツイッターを通じ表明した。「これまで民主党に投票してきた。しかし、彼らは分断と憎悪の党になったので支持できず、(今後は)共和党に投票するつもりだ」と投稿した。
ルラ元ブラジル大統領が再婚―21歳年下の女性と 10月の大統領選挙に出馬表明しているブラジルのルラ・ダシルバ元大統領(76)が21歳年下のホザンジェラ・シルバさんと再婚した。
19日(木)
米露軍トップが初電話会談、ウクライナ侵攻以来 米国防総省のカービー報道官は記者会見で、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長とロシア軍のゲラシモフ参謀総長が電話で会談したことを明らかにした。両者の接触はロシアのウクライナ侵攻後初めて。
ダライ・ラマ、米高官と会談 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は亡命先のインドを訪問している米国のチベット問題担当特別調整官のウズラ・ゼヤ国務次官と会談した。ダライ・ラマやチベット亡命政府のホームページが伝えた。
ウクライナ支援に5兆円―米議会 米上院はウクライナを支援するための約400億ドル(約5兆2000億円)の追加予算案を賛成86、反対11で可決した。下院は既に可決しており、バイデン大統領の署名で成立する。武器・装備の供与、食料や難民支援に充てられる。
20日(金)
ロシア軍、マリウポリを「完全解放」 ウクライナで軍事作戦を続けるロシアは南東部の要衝マリウポリを「完全に解放した」と発表した。マリウポリでは、アゾフスタル製鉄所で抵抗を続けていたウクライナ部隊が16日に投降を開始。マリウポリは事実上陥落していた。
フランス、ボルヌ新内閣を発表 フランスの第2次マクロン政権の新閣僚がエリザベット・ボルヌ新首相の提案を基に大統領が任命したリストが発表された。政府のナンバー2としてルメール経済・財務・復興相が、内相にはダルマナン氏が留任した。首相を除く全27人の閣僚のうち5人の残留閣僚が別の省を担当し、平均年齢は48歳と史上最も若く、男女の割合は女性のボルヌ首相を含め男女同数となった。
21日(土)
豪総選挙、9年ぶり政権交代 オーストラリア総選挙では最大野党・労働党が現政権による物価高や気候変動への対応などに不満を抱く有権者の支持を集めて勝利し、9年ぶりの政権交代となった。同党のアルバニージー党首が与党・保守連合(自由党と国民党)のモリソン首相に代わり次期首相に就任する。
フィンランドへの天然ガス供給停止、NATO申請で圧力─ロシア ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムは、フィンランドへの天然ガス供給を完全に停止したと発表した。長年の中立政策をやめて北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請したフィンランドに対する圧力の一環とみられる。ロシアは既にフィンランド向け送電を止めている。
22日(日)
APEC貿易相会合、共同声明見送り 日米中ロなど環太平洋の21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合は、タイ・バンコクで2日間の討議を終え、閉幕した。日米など西側諸国と、ウクライナ侵攻を続けるロシアとの対立が先鋭化し、全会一致が必要な共同声明の採択は見送られた。参加国・地域が分断され、APECは機能不全に陥っており、枠組みの存在意義が問われそうだ。
台湾、IPEF発足メンバーに加わらず─米高官 サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は米主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足メンバーに台湾は加わらないと明らかにした。米国の超党派議員団は台湾の参加を認めるよう求めているが、サリバン氏は世界的な半導体の製造拠点である台湾との関係強化に努めると述べるにとどめた。
24日(火)
小学校銃撃で児童19人殺害、米テキサス州 米メディアによると、南部テキサス州ユバルディの小学校で銃撃事件が発生し、少なくとも児童19人と教員2人の計21人が殺害された。容疑者の地元の高校に通う男子生徒(18)も駆け付けた警察官に撃たれて死亡したという。
26日(木)
「最も深刻な長期的挑戦」、米国務長官が対中演説 ブリンケン米国務長官は首都ワシントンで対中政策演説を行い、ロシアによるウクライナ侵攻が続く間も「われわれは国際秩序に対する最も深刻な長期的挑戦である、中国がもたらす課題に集中し続けるだろう」と表明した。一方で、「われわれは紛争や新たな冷戦を望んでいるのではない」とも訴え、気候変動問題などで協力を模索する考えも示した。
北朝鮮制裁決議案を否決─国連安保理 国連安全保障理事会(15カ国)は公式会合を開き、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け対北朝鮮制裁を強化する米国主導の決議案を採決したが、常任理事国の中国とロシアが拒否権を行使して否決された。北朝鮮への制裁決議案に拒否権が使われ、廃案に追い込まれたのは初めて。国連総会(193カ国)は近く、中ロに説明を求める会合を開く。先月採択した総会決議に基づくもので、初の適用事例となる。
27日(金)
ベラルーシ部隊が国境展開、ウクライナ侵攻に参戦か ウクライナ軍参謀本部はベラルーシ軍がウクライナ国境に近い南東部ゴメリ州に電子戦部隊を展開したと発表した。他の国境地帯でも7個大隊が態勢を強化しているといい、ロシアの軍事同盟国ベラルーシがウクライナ侵攻に参戦するのではないかという観測が、再び高まっている。
28日(土)
国連弁務官、新疆の人権「懸念と疑念を中国に提起」 国連のバチェレ人権高等弁務官は中国広東省と新疆ウイグル自治区の訪問(6日間)を終え、オンラインで記者会見を開いた。バチェレ氏は「新疆への訪問では、対テロ政策として行われている手法がウイグルやその他の少数民族の人権に与える影響について懸念と疑念を中国側に提起した」と説明。「特に対テロ政策などに関する見直しを行い、国際的な人権基準に合わせるように促した」と強調した。
30日(月)
EU、ロシア産石油禁輸で合意 ブリュッセルで開催された欧州連合(EU)臨時首脳会議は対露追加経済制裁の一つとしてロシア産石油の輸入禁止で合意した。同時にロシア産への依存度の高いハンガリーが強く反対したため、当面は陸上パイプライン経由の分を禁輸対象から除外し、海上輸送分のみとする妥協策となった。ロシア産石油最大の輸入地域である欧州は、年内に約9割の輸入削減を目指す。
北朝鮮のICBM発射非難─G7外相声明 先進7カ国(G7)の外相は、北朝鮮による25日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を「最も強い言葉で非難する」と記した声明を発表した。国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁を強化する決議案が否決されたことについて「極めて残念だ」と表明。拒否権行使に踏み切った中国とロシアをけん制した。
ウクライナへ長距離砲供与せず─米大統領 バイデン米大統領はウクライナへの軍事支援に関し、ロシア領内を攻撃できる長射程の兵器を供与するつもりはないと明言した。ウクライナは東部などで攻勢を強めるロシア軍への対抗手段として、米軍の多連装ロケットシステム(MLRS)を含む長距離砲の提供を求めていた。
イラン、濃縮ウランが上限18倍超─IAEA 国際原子力機関(IAEA)はイランの濃縮ウラン貯蔵量が2015年のイラン核合意で定められた上限の18倍以上に増えたとする報告書をまとめた。上限は202・8キロ(六フッ化ウラン換算で300キロ)だが、推定3809・3キロに達したという。
6月10日(金)
米中国防相、台湾めぐり対面応酬 オースティン米国防長官はアジア安全保障会議(シャングリラ対話)出席のため訪れたシンガポールで、中国の魏鳳和国務委員兼国防相と会談した。会談では台湾問題が協議され、オースティン氏は魏氏に「(事態を)不安定化させる行動」の抑制を求めた。魏氏は反論し、米中間の溝が改めて鮮明となった。