永田町ファイル
記者会見 9・22
立憲民主党 泉 健太代表
維新との6項目合意
【代表】日本維新の会との昨日の6項目の合意ですが、国民の命のため、民主主義のためであれば、必要な連携は行っていきます。これまでも国会内でさまざまな政党・会派と賛否が一緒になるのは当たり前のことでしたし、取り組みを一緒に行うこともあれば法案を共同提出することは、どの党に限らずやってきました。
野党第1党と第2党が、今の体たらくな岸田政権がことごとく民意に反する行動をとっている時に、世論、民意をしっかり受け止めたもう一つの選択肢を出すということは野党の役割であると思っています。引き続き国会において必要な連携があればテーマごとの連携は同様にやっていきたい。岸田政権が権力を正しく使えていない、また、実行力がないことに対応せねばならないというところから今回の判断をしました。
国葬が近づいてきましたが、私は時の政権が故人を政治利用して国葬にする、国民の支持を高めようとするために国葬を利用することはあってはならないと思ってきましたので、元総理については国家として一定の見送り方をすべきだと思います。国葬にルールを設けるべきだという人がいますが、私はすべて内閣葬か関係する政党との合同葬にすべきだと思います。
【記者】維新との合意についてです。今回は臨時国会での合意ということですが、その後の通常国会でも協力していくようになりますか。また、国政選挙の時の選挙協力にもつながる可能性はありますか。
【代表】立憲民主党と日本維新の会は次の臨時国会において以下の点(6項目)で合意し国会内で共闘するというのが答えです。
【記者】では今のところ、それを深化させて選挙協力などにはいかないということですね。
【代表】そうですね。国民のために必要なことは共闘せねばならないということです。
【記者】安倍元首相の国葬に、立憲民主党内で野田佳彦元首相や玄葉光一郎元外相らが出席する予定です。このことの受け止めは。
【代表】党執行部としては、閉会中審査を経て明らかになった問題点について改めて政府に質問書を出しその回答をもって出欠を明らかにする、しかし所属議員については拘束をしない、何ら要請するものではない、ということを事前に明確にしています。執行部は、政府の回答は不十分ということで欠席を決めました。他の議員についての出欠を党としては把握していません。
【記者】代表になられるときにリベラルから中道保守も含めてウイングを広げるとし、それが政権を取ることへの自身の役割だと言われました。その時には維新は自民の分派で野党なのかどうか分からない状況だったと思います。参議院選挙の総括では維新については身を切る改革では理念がまったくわれわれと違うと書いてあります。これは立憲民主党がウイングを右の維新にまで広げ、非自民・非共産の大きな固まりを作る野党結集の第一歩なのですか。
【代表】次の臨時国会における国会内での共闘なので、現時点で限定的なものととらえています。そして、基本的には他の党に頼るのではなく立憲民主党がいかに国民の信頼を得ていくかが第一です。その中で、野党が群雄割拠という状況のある中ですから、時には呉越同舟もあり得ようと思います。岸田政権がおかしな政治をしている、世論を聞かない、無理なことを強行しようとしている時に、野党それぞれが好き勝手なことを言っていればいいのではなく、自民党が「これはまずいぞ」と危機感を持つような取り組みもわれわれとしては考えていかねばならない。
【記者】大阪を地盤とする尾辻かな子元衆院議員などはツイッターで維新との共闘について懸念を示しています。安住淳さん(国対委員長)は「共闘は活路を開き政権をどう目指していくかについて、パートナーになり得るか真剣に考えるきっかけにしていかねばいけない」とも話しています。関西で広がっている声に対してどう説明していきますか。
【代表】関西だけではないかなと思います。今回の動きについて全員が安住国対委員長の説明を何かの場で聞いたわけではありませんので、中には驚く人がいるかもしれないとは思っています。ただ、今回、国対で進めてもらったことについて是非、党所属の国会議員、総支部長、自治体議員や党員、パートナーズも含めてどういう意図であるかさまざまな発信を通じて理解を深めてもらえればと思います。
大阪の維新の顧問は「徹底的に叩く」と言っていました。それは立憲民主党と選挙協力をしたら維新を徹底的に叩くというような話だったと思います。そういう声もあるわけでいろんな反応の仕方があるのかなと思います。ただ松井(一郎)さんの発言は引退間近でちょっと老害的な発言だと思いますね。今になって怪気炎を上げる必要はないのかなと思います。やはり、国民のため、民主主義のため必要なことは呉越であってもやるんですよ。それをすぐ政局に絡めてけん制発言をするのは余計なことだと思います。
【記者】日韓関係について伺いたい。岸田首相はニューヨークで韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と30分ほど懇談をして、「元徴用工」の問題などを念頭に、懸案を改善する、日韓関係を改善するという方向性の必要性を共有した。この懇談の評価と、当初会談という韓国側の発表もあったが結果的に懇談という形になった点も含めて評価をお願いしたい。
【代表】今、尹政権は、国内の状況からすれば、少し焦りを感じているところもあるのかなと思います。前政権に比べれば懸命に日本との関係改善を目指そうという意欲を持ってさまざまなことに当たっておられるというふうには思います。ただ、当然、国内、そう物事を進めていくのは簡単ではないという中で、何とか糸口をつかみたいというところから、積極的な日本に対するアプローチがあったのかなと思います。
しかしながらというか、我が国として当然外交的に譲れないラインというものがありますので、韓国のほうとしては、それをよく踏まえて、まずしっかり対応していただきたいと思います。
【記者】そうした対応を日本政府には求めたいということか。「徴用工」問題を念頭に置いたお話だったが、韓国側の対応について、日本政府にはどういった外交的な働きかけを求めたいか。
【代表】いや、日本政府の立場はこれまで繰り返していますので、やはり韓国政府がどう考えていくかということだと思います。
呉越同舟の維新との共闘
記者コラム
呉越同舟とは、仲の悪い者同士が一緒にいる、または共通の目標で協力すること。まさに今の立憲民主党と日本維新の会の関係を言い表している。両党は9月21日、今国会で6項目にわたり共闘することで合意した。それまでは、維新は立憲と共産党による国政選挙での共闘関係を「立憲共産党」「野合談合」として厳しく批判。立憲も維新を「今から核共有をタブーなき議論と言って、やろうとしている。とんでもない、全くセンスがない」などと非難してきた。
それが共闘することになったのである。泉代表は翌22日、有力支持団体・連合の芳野友子会長に「『共闘』という言葉は、これまで共産党との連携で『野党共闘』と使われてきた。日本維新の会と『共闘』することで、そのイメージを変えたかった」と説明した。反共産党が基本姿勢である連合としては、特に悪いことではない。
困り顔なのは共産党や社民、れいわなどの左派政党だ。とりわけ野党連合政権構想の推進に期待を募らせ野党第一党の立憲にすり寄ってきた共産党にとって、自分たちと〝敵対〟する維新に共闘の軸足を移されてはたまらない。
今のところ立憲・維新の両党関係が国政選挙協力にまで発展する可能性はないし、臨時国会の最後まで本当に共闘し続けられるのか疑念の声も多い。年末に向けて取りまとめが加速される国家安全保障戦略など戦略3文書の改定論議や防衛費の増額問題、憲法改正を議論する憲法審査会への姿勢などをめぐり亀裂が目立つようになり、再び関係が悪化する可能性は十分あり得よう。