永田町ファイル

記者会見 6・7

木原稔防衛相

【記者】アメリカと韓国は今週5日にですね、朝鮮半島上空で戦略爆撃機を動員した合同訓練を実施したほか、来週10日には、核の傘の提供を軸とした拡大抑止について話し合う核協議グループの会合もソウルで開催します。これに対して北朝鮮の反発も予想されます。北朝鮮による衛星打ち上げの通告期間は終了しましたが、破壊措置命令を含めて自衛隊の態勢について、今後の方針についてお聞かせください。

【大臣】北朝鮮の軍事動向についての御質問でございましたが、防衛省としては、平素から重大な関心をもって情報収集・分析に努めているところでありますが、個々の具体的な情報の内容については、事柄の性質上、お答えが困難でございます。その上で申し上げるならば、6月4日に衛星発射の通告期間は終了いたしました。北朝鮮はしかしながら、本年に偵察衛星を3基追加で打ち上げる旨、発表しております。また、北朝鮮は核を絶対に放棄しない旨を表明するなど、一貫して核・ミサイル能力を強化していく姿勢を示しています。今後も各種ミサイル発射や衛星打ち上げなどの更なる挑発行為に出る可能性はあると考えています。防衛省・自衛隊はこうした状況を踏まえまして、弾道ミサイルの発射も含めたあらゆる事態に対応できるよう、米国・韓国等とも連携をしつつ、国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げてまいります。なお、昨年5月29日に発出した破壊措置命令や、それに基づく自衛隊の態勢については、各種情報の分析・評価を続ける中で、適切に判断してまいります。

【記者】4月の日米首脳会談で合意したDICASについてお尋ねします。この枠組み、今後どのように進めていくお考えなのかと、現状の進捗について改めてお考えというのをお尋ねできたらと思います。

【大臣】DICASに関してということでございますが、我々は国家防衛戦略等に記載させていただきましたとおり、装備品の共同開発・生産や、また米国製の装備品の国内における生産・整備能力を拡充する方針を打ち出してまいりました。また米国も、1月に国家防衛産業戦略というもの、NDISを公表しまして、インド太平洋地域における同盟国・パートナー国との共同開発、共同生産及び共同維持整備の追求を目指しているということが分かっています。こうした日米両政府の考え、方針を踏まえまして、本年4月の日米首脳会談において、日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議、いわゆるDICASというものを設立することとされました。DICASにおきましては、日米の防衛産業が連携する優先分野の特定に向けて協議を行っていく予定となっております。防衛省としては、同協議での議論を通じて、共同開発、共同生産及び共同維持整備に向けた調整を今後加速化いたしまして、日米同盟の抑止力・対処力の向上につなげたいと、そのように考えております。

【記者】前回お尋ねしたC-2のペイロードについて、またお尋ねしたいんですけれども、まず初めに、前回、浜田大臣がクーラーを積んだので空輸できないというようなお話を御紹介したんですけれども、これ私の勘違いでしたのでお詫びして訂正申し上げます。ただ、事の本質は変わらないんですけれども、16式機動戦闘車開発時にですね、クーラーを積むとC-2に載らないということでクーラーを諦めたという経緯があるんですね。それは浜田大臣が積んだとおっしゃったので私勘違いしたんですけれども、それはですね、結局、大日本印刷が開発した新しい軽量の断熱材を導入しまして、車内に貼り付けるということをしたので、小さな出力でより軽いクーラーで、それが可能になったと。それが陸幕に問い合わせたところ、重量増加に約300キロであると。ということは製造重量26トンであればおおむね26.3トンということになります。ということは、以前は積めなかったということなんですけれども、それが、大臣この間自衛隊の出しているスペックは全部正しいとおっしゃってましたけれども、36トンというC-2のペイロードがあるのであれば、多少はクーラーが重くても、積めたはずなんじゃないですか。それがあまりギリギリだったから、要するにクーラーが積めなくて、それを努力して軽量化したので今度クーラーが積めたということではないでしょうか。大臣、いまだにC-2の輸送能力、ペイロードは36トンというふうにお考えですか。

【大臣】我々が提出してますスペックは正しいと思っております。私も飛行機に乗る経験、自分で操縦した経験がございますけれども、ペイロードに加えて、これ一般論としてですね、いわゆる離陸重量とか着陸重量とかお分かりですかね。そして、それは滑走路の長さによっても、より安全性を高めるためにペイロードあるいは、その仕様以内であっても安全性を重視して少なくするということはあり得ることであります。ですので、そういったことを総合的に鑑みた結果、仕様というのはいわゆるマキシマムでありますから、それ以内に収めるということは、一般論としてはあり得ることだと思います。

【記者】ただその一般論で申し上げれば、クーラーを積んで10トンも重くなるわけないわけですよね。後は事務方からで結構なんですけれども、最大離陸重量時のですね、最大ペイロード、あとは26トンの貨物を搭載時の行動半径ないしは航続距離、これを後で教えていただけますでしょうか。

【大臣】詳細は事務方にお尋ねいただけたらと思います。

【記者】防衛庁防衛研修所戦史部がまとめた戦史叢書「沖縄方面陸軍作戦」は、沖縄戦について「善戦敢闘した32軍の組織的戦闘」というふうに表現されており、これなどを踏まえて、陸上自衛隊が幹部候補生への戦史現地教育の実施計画で、沖縄作戦について「日本軍が長期にわたり善戦敢闘し得た」というふうに記載しております。このことに関連し、防衛省としては、沖縄戦での持久作戦についてどう評価しているのか教えてください。

【大臣】沖縄県では、先の大戦の末期において、沖縄県民を巻き込んだ凄惨な地上戦というものが行われまして、軍民合わせて20万人もの尊い生命が失われました。特に本島の南部の一帯においては、多くの住民の方々が犠牲になったものと認識をしております。陸上自衛隊の幹部候補生学校の沖縄戦史現地教育では、こうした観点から、沖縄戦史を現地において教育し、追体験させることにより、戦場、特に国土戦の実態を深刻に認識させるという目的を設定をしております。具体的には、嘉数高地などの史跡研修、ひめゆりの塔や平和祈念資料館等において、実際に現地で教育を行っておりまして、単に戦術に関する教育だけではなく、沖縄戦における住民避難の実態についてもしっかりと認識をさせて、国民の生命と財産を守る幹部自衛官としてのそういった使命感であったり、責任感の涵養に努めているところであります。こういった現地教育の教育要領において引用した善戦敢闘、そういった言葉が、今、報道等でですね、取り上げられているというふうに承知をしておりますが、そういった文章等は、沖縄戦の一つの要素として、戦術の態様を表現したものと承知をしておりまして、こういったものをもって、防衛省が沖縄戦を評価しているというものではございません。防衛省としては、改めて申し上げますが、沖縄の人々の筆舌に尽くし難い困難と、いまだに癒えることのない深い悲しみ、これらを胸に刻みながら、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないと、そのように考えているところであります。

【記者】今の御回答ですと、戦術の態様として善戦敢闘したという言葉を使っているものの、それが良かったというふうに言っているわけではないという理解でよろしいのか、防衛省としては善戦敢闘というふうには評価していないということでよろしいのでしょうか。

【大臣】善戦敢闘という言葉を用いた、それは一つの単語であって、文章全体があるわけですね。そして、これは引用でありますから、そういったものは沖縄戦の一つの要素として、先ほど申し上げた戦術の態様を表現したものでありまして、これだけをもって、防衛省が沖縄戦を評価したということではございません。

【記者】評価しないということはよく分かったんですけれども、陸自が幹部候補生の教育計画で引用した引用元の書籍についても、防衛庁の研修所、防衛研究所の前身だと思うんですけれども、がまとめられた叢書に載っておりまして、それは今後も自衛官の教育などで引用されていく大本になるものと関係していると思います。それについて、善戦敢闘という表現が残っていることについては、どう対処されていくのでしょうか。

【大臣】当時は防衛庁で、防衛研修所戦史部、いわゆるこれまでの歴史であったり、あるいは、沖縄で言うと沖縄の戦史を研究する、そういう部であります。正に沖縄戦史というものをですね、現地において教育をすること、そしてさらに、追体験をさせるということによって、当時の国土戦、沖縄本土との南武地域における、非常に凄惨な、そういった戦いの実態をですね、深刻に認識をさせるためにも、当時のそういった善戦敢闘のような、そういった文書を引用してですね、教育要領に書き込んだということでありまして、正に沖縄戦のそれも一つの要素であるということですから、そういうことも踏まえて、実際には幹部候補生にはですね、その全てを教育する必要があるんだろうというふうに思っております。

【記者】繰り返しで恐縮なんですけれども、一つの要素であるということは、善戦敢闘という評価も、沖縄戦の実態を示す一つの要素としては、日本軍は善戦したというふうな評価をされているというふうに受け取ってしまうのですが、そういったことで良いのでしょうか。

【大臣】当時そういう表現がされたということも、これも史実の一つですので、そういったことがあったということは、やはり引用して、そして実際に現地教育の教育要領に引用するということは、これは、この部分に限らずですね、あり得るということではないでしょうかね。

【記者】今の関連なんですけれども、そういう表現がある書物というのが存在していて、一方で違う表現のものもあったりするわけなんですけれども、要するに、要領とか実施計画の中で引用する書物とかというものを替えれば良いというか、替えるという選択肢もあると思うんですけれども、その善戦敢闘という表現が使われているようなものを、今後も引用するということは適切だというふうにお考えになるのか、あるいはそういう要領とかですね、実施計画の中での表現の仕方というのも改める必要があるというふうに思うのか、その辺、大臣の御見解をお伺いできればと思います。

【大臣】一般的に、そういった戦史というものをですね、引用する場合には、様々な角度からそのときの評論家なり歴史家がですね、表現した言葉があると思います。私はそういうのは、あらゆるものを全て教育要領に持ち込むべき、取り入れるべきだと思います。いろんな角度から、いろんなそういった歴史家、評論家の方が自分なりの研究をされてですね、そして書物なり、あるいは論文なりに表現されたのだと思いますから、できればこれは全て教育するのが一番肝要かと思いますけれども、中には、どうしても全てを教育することが難しいので、ある程度選抜する必要はあると思いますが、その中で、どのような引用をしていくか、どのような文章を用いていくかというのは、個別の教育課程の内容にもよると思います。適切にそれは判断していくものだというふうに思います。

【記者】陸自の第15旅団のホームページに沖縄戦の指揮官の辞世の句が記載されている件で何点かお伺いします。先の沖縄戦では、旧軍が軍事作戦を優先させ、避難民がいる南部に司令部を下げたことで、民間人の犠牲が増える結果になったとも言われています。沖縄戦の指揮官の辞世の句を南西諸島有事に備える部隊のホームページに載せることが適切なのか、大臣の見解を教えてください。

【大臣】御指摘の記載に関しましては、確か昨日の参議院の外交防衛委員会でですね、御質問もございました。様々な御意見があるということは承知しております。当該ホームページの記載につきましては、第15旅団の前身部隊である第1混成群の部隊史を基にですね、沖縄の本土復帰直後の歴史的事実を示す史料として、ホームページ内の部隊の沿革を紹介するページに記載されているという報告を受けております。いかなる情報発信をする、広報ですから、情報発信であれですね、その趣旨が正しく伝わるように努める必要はあるというふうに考えております。こうした情報発信を含めて、自衛隊の活動には、もちろん地元の理解を得るということも不可欠だろうというふうに考えております。私としては、このような観点から、吟味した上で情報発信をしていくものというふうに考えております。

【記者】関連しまして、ホームページに記載された辞世の句については、今後削除されるのかどうかも含めて、大臣のお考えを教えてください。

【大臣】御指摘のホームページの記載につきましては、現時点では削除はされていないものと承知しています。いずれにしても、御指摘のホームページの記載内容を含めまして、部隊の情報発信の在り方については、これは全国に私どもは、基地、あるいは駐屯地、約300もの、そういった地元と直接接しているですね、部隊というのがあるわけですが、日頃から彼らは地元の皆様方と身近に接しながら、また、地域の実情に通じている各基地司令、駐屯地司令をはじめとしてですね、いろんな地元の方と接している方がいます。そういったそれぞれの地域の実情を把握している部隊において、しかるべく判断、対応していくものというふうに思っております。それが私の考えであります。

【記者】最後にもう一度確認ですが、第15旅団のホームページの記載内容については、大臣の方からは、修正なり、削除なりの指示は、そういうお考えはないということでよろしいでしょうか。

【大臣】先ほど申し上げたとおり、沖縄に限らず、全国の基地・駐屯地のそれぞれホームページ、広報というのは、一番身近に接しているそれぞれの基地司令、駐屯地司令を中心とした広報の中でですね、判断されるものだというふうに考えます。私の場合は、地元は、唯一私の肌感覚として感じるのは、私は熊本ですから、例えば健軍駐屯地であったり、北熊本駐屯地であったり、そういったところは地元の有権者の方々の皮膚感覚というのは私なりに分かりますけれども、それ以外の部分については、やはり地元のですね、それぞれの地元に直接、密接に地域と共にある自衛隊ですので、彼らがしっかりと適切に判断していくのではないでしょうか。私はそう思います。

【記者】ちょっと前にですね、衆議院の安全保障委員会で、維新の会の美延議員がですね、スキャンイーグルに関して質問をしているんですけれども、これ報告資料の5ギガではなくて、2・4ギガにスペックダウンしているのではないかという質問をしているんですけれども、これに対して上田サイバーセキュリティ・情報審議官がですね、そのような事実はないと、オリジナルの5ギガのままであるというふうに答弁しているんですよ。ところが、僕が取材する限り、メーカーや商社は、あれは2・4ギガに変えてますよ、というお話をされているんですよ。これ一体どっちが正しいのでしょうかね。ほかの商社に聞きますと、例えばドローンジャマーとかですね、それから防衛省の使っている周波数帯で運用できない、つまり5ギガヘルツの無人機をジャミングするためにはその周波数帯を使わなければいけないんですけれども、それが使えないから日本には輸入できないとお話されているんですけれども、これは一体どちらがおっしゃっていることが正しいのでしょうか。

【大臣】当時、委員会で政府参考人に答弁させたのは、その当時の委員会のことは私、承知をしておりますが、今御指摘のような件に関しての情報は今持ち合わせておりませんので、この点も、ぜひ事務方にお尋ねいただけたらと思います。

【記者】陸自が新たに採用した次期装輪装甲車、フィンランドのAMVですけれども、これに搭載される通信機器がですね、音声無線機しかない、GPSとショートメールとかできるらしいんですけれども、最近普通の国ではもうデータ通信をやり取りするのが普通なんですけれど、非常にあの昭和な感じの、ある意味、無線通信、音声しかできないっていうことをやってる国は最近途上国ではあまりないと聞いているんですけれども、これで問題はないのか。指揮通信車だけは別に10TKネットワークを積んでるということなんですけれども、共通戦術車も10TKネットワークを積んでるんですけれども、25年くらい前に10式戦車用に開発されたシステムで、ほぼ中隊内でしか通信のやり取りができない、データのやり取りができない、というふうに聞いております。ほとんどネットワーク化という時代において、こういうある意味時代遅れと言っていい様なシステムを搭載していて、陸自が今の戦闘を戦えるのか、というふうに心配するんですけれども、大臣どうお考えですか。

【大臣】これから購入する装備品の御質問で、正確にお答えする適切な情報が今ございませんので、その点申し訳ございませんが、事務方にお問い合わせいただけたらと思います。間違っていることを言ったらいけませんので。