「ひょうたんなまず」

俳句・川柳9月号

「健康」「テーマ自由」

俳句

夏の雲 動くともなし 古都の寺
(奈良市) 蔵前 雄一郎

(京都はインバウンドで外国人観光客が押し寄せている。さぞかしにぎやかだろう。そんな下界を雲は黙って見ているのだ)

朝顔の しかめっ面や 路地の道
(鎌倉市) 朝日 京美

(朝顔はまさに朝の顔で、みずみずしい姿は午前中。その後、しぼんでしまうので、午後にはしかめっ面をしているのは仕方がない)

杖をつく 石段の先は 地蔵堂
 (東京都) 清水 孝幸

(健康のために毎日散歩を日課としている高齢者は少なくない。何としても健康に長生きするのだ。必死な思いが石段を登る姿から浮かんでくる)

【佳作】

蝉の声 読経のごとし 寺の町
 (府中市) 山村 宗次

(江戸時代、火事対策で寺町がつくられた)
夏祭り スイカの種が 星に似る
 (山形市) 南 佳代子

(果肉にある種。命の元でもある)
夏木立 青年時代 遥かなり
 (鳥取市) 歌川 静流

(木立から見える空は過去を呼び覚ます)
山の駅 手のひらに受ける 恵みかな
 (広島市) 菅原 和夫

(無人駅には自然の恵みが多い)

川 柳

健康の 業の深さよ 薬飲む
(東京都) 後期高齢者

(薬を飲まないで生活する高齢者はそういないだろう。持病の薬を探して、あたふたする姿は長寿時代のツケでもある)

夏の影 養護施設の 静かなり
(静岡市) 独居老

(養護施設でに誕生会が行われているが、にぎやかなのはヘルパーさんばかり。わしは入りとうない)

水原さん ギャンブル依存 われ妻依存
(仙台市) 家では粗大ごみ

(大谷選手の口座から不法に送金された巨額の事件。依存症が話題になったが、妻がいないと何もできない夫は少なくない)

【佳作】

妻という 健康オタク 太り気味
 (東京都) ずぼら夫

(痩せないのはおれにせいじゃない)

止めておけ もし過去に戻れば 結婚を
 (大分市) もしトラ

(後悔するために現在があるのだ)

ゴミ出しを 歓迎するは カラスのみ
   (東京都) 妻より喜ぶカラス

(カラスはゴミ袋に目ざとい)

家庭にも 肥料が必要 妻の皺
 (高知市) 家庭菜園が趣味

(妻にも愛の肥料が必要だ)

【応募要項】次号のお題「親孝行」

なたの俳句・川柳をお寄せ下さい。お題に添ったものでなくても結構です。自作未発表のものをはがき1枚に3句程度まで。住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・年齢・電話番号明記の上で、ご投句願います。投句は返却しません。二重投稿厳禁。天・地・人の句には薄謝ないし粗品を贈らせていただきます。締め切りは毎月末。

住所 〒101─0052 東京都千代田区神田小川町3─7─16 報道ビル6F 「新政界往来」ひょうたんなまず係まで。