アジア短信
7月18日(金)
中国空母、米迎撃想定し訓練 中国海軍の空母「遼寧」と「山東」が6月に太平洋上で同時に確認された際、米空母打撃群の迎撃を想定した演習を実施していたことが分かった。台湾有事を見据え、米軍の接近を阻止する動きを確認していたとみられる。複数の日本政府関係者が明らかにした。
中国空母「山東」、発着訓練1万回に 中国共産党機関紙系の環球時報は海軍の空母「山東」が、就役から5年半余りで1万回近い艦載機の発着訓練を実施したと報じた。作戦能力向上に向け早いペースで訓練を重ねたとみられ、同紙は「(夜間や悪天候など)全天候での作戦能力を獲得し、遠海での防御作戦任務を完全に担える」という専門家の見方を伝えた。
大規模演習が終了—台湾 台湾軍は中国の武力侵攻に備える毎年定例の大規模軍事演習「漢光」を終了した。期間は昨年の2倍に当たる過去最長の10日間を確保し、最多の約2万2000人の予備役を動員するなど規模を一層拡大。有事を想定した民間人の防空訓練も初めて同時実施した。
19日(土)
職権乱用罪で前大統領起訴—韓国 韓国の尹錫悦前大統領による「非常戒厳」宣言について捜査する特別検察官は尹容疑者を職権乱用や特殊公務執行妨害などの罪で起訴した。特別検察官は10日に尹容疑者を逮捕していた。今回の起訴に伴い、刑事訴訟法の規定に基づき尹容疑者の拘束は6カ月に及ぶ可能性がある。
チベット巨大ダム着工—中国 中国の李強首相はチベット自治区ニンティを訪れ、世界最大規模の水力発電ダム建設の開始を宣言した。国営新華社通信が伝えた。ダムができる河川の下流に位置するインドは安全保障の観点から警戒を強めており、中印間の新たな火種となる可能性がある。
21日(月)
北朝鮮向け放送停止か—韓国 米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は韓国の情報機関、国家情報院(国情院)が行ってきたとされる北朝鮮向けラジオ放送が、7月初めに停止されたとの分析を明らかにした。複数の韓国メディアも、国情院によるテレビやラジオの放送が止まったと報じた。
24日(木)
タイ・カンボジア国境で軍が衝突 タイ・カンボジア国境地帯で両国軍が衝突した。タイ保健省によると、カンボジア軍による砲撃で8歳と15歳の子供を含む民間人11人が死亡、24人が重軽傷を負った。タイ軍兵士1人も死亡した。軍同士の戦闘で死傷者が出たのは、5月に銃撃戦でカンボジア兵1人が死亡して以来。
25日(金)
韓国国防省、空軍の監査着手 韓国空軍は米領グアムに向かっていた輸送機1機が13日に燃料切れのため、沖縄県の米軍嘉手納基地に緊急着陸したと明らかにした。日本への事前通告なしに防空識別圏に進入したとみられ、航空自衛隊機が緊急発進する事態となった。韓国国防省は空軍の監査に着手した。
28日(月)
タイ・カンボジア首脳会談で即時停戦合意 タイ・カンボジア国境地帯の武力衝突を巡り、タイのプームタム首相代行とカンボジアのフン・マネット首相はマレーシアの首都クアラルンプール近郊で会談し、無条件の即時停戦で合意した。協議の場には同国のアンワル首相と米中の代表者も参加した。
台湾与党幹事長が辞意、リコール不成立で引責 台湾与党・民進党の林右昌秘書長(幹事長)はフェイスブックで、党主席(党首)の頼清徳総統に前日面会して辞意を伝えたと明らかにした。最大野党・国民党の立法委員(国会議員)24人に対する26日のリコール(解職請求)投票が全て4月のテロ関与、3人殺害—印
29日(火)
印パ衝突の発端、軍が掃討作戦 インドのシャー内相は4月にパキスタンとの係争地カシミール地方のインド側観光地パハルガムで起きたテロを巡り、関与した男3人を殺害したと議会で明らかにした。軍や警察などが28日に掃討作戦を行った。不成立だったため、「一切の責任を取る」と説明した。
31日(木)
米関税率、タイは19%に タイ首相府は米国がタイからの輸入品に課す関税を19%に決定したと発表した。タイ・カンボジア国境を巡る軍事衝突で速やかに停戦に合意したことが評価され、カンボジアおよび仲介役のマレーシアも同率となったもよう。先に決定していたインドネシアとフィリピンの19%との横並びに落ち着いた。
ミャンマー、非常事態宣言を解除 ミャンマー軍事政権は2021年のクーデター時に出した非常事態宣言を解除すると発表した。憲法は宣言解除から6カ月以内の総選挙実施を定めており、軍政は12月に総選挙を実施する方針。
ミャンマー、一部戦闘地域に新たな非常事態宣言 ミャンマーの軍事政権は一部の戦闘地域で90日間の同宣言を新たに発令した。12月に予定する総選挙で投票が難しいと判断した地域とみられる。抵抗勢力の鎮圧を急ぐ。新たな非常事態宣言の対象は西部ラカイン州や中部マンダレー地域など計9州・地域の63郡区。
米大統領、ASEAN会合出席へ マレーシアのアンワル首相はトランプ米大統領が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に出席するため、10月下旬にマレーシアを訪問すると明らかにした。実現すれば、トランプ氏のアジア訪問は1月の就任後初めてで、ASEAN会合への参加は1期目の2017年11月以来となる。
8月1日(金)
インドネシアで大規模噴火 インドネシアのレウォトビ火山で大規模な噴火が発生した。噴煙は約1万9千メートルに達した。
韓国、美容クリニックでの免税措置、今年で終了へ 韓国政府は、外国人観光客に適用していた美容整形などの医療手術にかかる税金の還付措置を、今年で終了させる方針を決めた。
ロシアが北朝鮮にドローン技術提供—ウクライナ高官 ロイター通信によると、ウクライナのイェルマーク大統領府長官はSNSで、ロシアが北朝鮮にイラン製自爆ドローン「シャヘド136」の技術を移転し、生産ライン建設の支援を行っていると述べた。
2日(土)
インド、ロシア産原油輸入を継続方針─米報道 複数の米欧メディアは、インドがロシア産の原油輸入を今後も継続する方針だと報じた。トランプ米政権は、ウクライナ侵攻を続けるロシアの収入源を細らせるため、ロシアと取引する第三国に「2次関税」を課すと圧力をかけていたが、インドは露産原油を安価に輸入する利点の方が大きいと判断した可能性がある。
3日(日)
731部隊映画が9月18日公開─中国 中国メディアは旧日本軍の関東軍防疫給水部(731部隊)を描いた映画「731」が9月18日に公開されると報じた。同日は満州事変の発端になった柳条湖事件から94年の節目で、反日感情の高まりが懸念される。昨年9月18日には、広東省深圳市で日本人男児が男に刃物で襲われ、翌日死亡した。
4日(月)
北朝鮮向け拡声器を撤去—韓国国防省 韓国国防省は南北軍事境界線付近に設置されていた北朝鮮向け宣伝放送用の拡声器の撤去を同日開始したと発表した。南北の緊張緩和のための措置だとしている。韓国軍は6月の李在明政権発足直後に放送をやめ、北朝鮮も韓国に向けた「騒音放送」を停止していた。
ミャンマー軍政、ヤンゴン─マンダレー高速改修へ ミャンマー国軍のミンアウンフライン総司令官は最大都市ヤンゴンと第2都市マンダレーを結ぶ高速道路について、4車線のアスファルトコンクリート(AC)道路へと改修を進める方針を示した。
5日(火)
TSMC関係者3人拘束—台湾 台湾高等検察署(高検)は半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の機密情報を違法に取得したとして、国家安全法違反の疑いで同社関係者3人を拘束したと発表した。台湾紙・聯合報(電子版)は、捜索先に日系企業が含まれると報じた。
インド北部で豪雨災害、約100人不明か インド北部ウッタラカンド州集中豪雨により鉄砲水や土石流が発生し、少なくとも4人が死亡し、約100人が行方不明になっている。
インド、フィリピンに海洋安保で接近 インドのモディ首相は首都ニューデリーでフィリピンのマルコス大統領と会談し、海洋安全保障の協力強化などを確認した。インドは最新ミサイルの輸出や軍事訓練を通じ、中国の軍事力増強に脅かされる東南アジア諸国に接近を図る。
ミャンマー軍政、総選挙にらみ反軍統制 ミャンマーで4年半ぶりに非常事態宣言を解除した軍事政権が、新たな法令を相次ぎ打ち出して抵抗勢力の抑え込みを急ぐ。内戦状態の下で12月に総選挙を強行するためで、過度な妨害行為には死刑もあり得る。
9日(土)
北朝鮮側も拡声器撤去を開始 韓国軍は南北軍事境界線付近の一部の地域で北朝鮮軍が拡声器を撤去している様子が確認されたと発表した。