永田町ファイル

記者会見 8・8

立憲民主党 野田佳彦代表

日米相互関税

【代表】日米相互関税について、混乱が続いています。先ほど行われた赤沢大臣のぶらさがり会見を拝見しましたが、「日米両国に(認識の)齟齬はない」の繰り返しでした。米国側が適時に大統領令を修正する措置を取るとのことですが、「具体的にいつか」という記者の質問に対し「適時にと申し上げています」ということで、いつ修正されるかも分かりません。先行き不透明感を払拭できない状況だと思います。そもそも合意文書を作っていなかった。しかも自動車関税とか、相互関税という基本的な税率の部分にかかわるところで齟齬が生じています。

 予算委員会では文書を作らない方がメリットがあると説明していましたが、こんなことで大臣が毎回訪米しないといけないということ自体、極めて憂慮すべきです。改めて文書をしっかり作るべきではないか。この事態において総理とトランプ米大統領との会談が全くない、電話の会談もないということ自体も私には奇異に映っています。その説明をしっかりと聞かなければいけない。

【記者】日米関税について。閉会中審査にとどまらず、臨時国会の召集を求める考えはありますか。

【代表】物事には順番があると思います。まずは大臣にしっかりと説明をしてもらう。これまで予算委員会でとうとうと話したことがみな違うわけではないですか。そして訪米したわけですから。訪米してどんな議論があったのか。今回の赤沢大臣との会談についていまだに米国からの発表はないですよ。そういう奇異なことも多過ぎるので、それをまず質すのが前提で、その後のことは閉会中審査が終わってからのことです。

【記者】日米関税の混乱をめぐって国民民主党の玉木代表は不信任に当たると発言しています。代表として不信任に当たるのか、いかがですか。

【代表】閉会中審査をしながらそうしたことの点検をしなければいけない。

【記者】政治改革について石破総理と党首会談のめどは立っていますか。党首会談を巡って自民党の一部から反発があるとの報道がありますが、今後、どのように政治改革を一歩でも二歩でも進めていくお考えですか。

【代表】党首会談の具体的な日程調整の話は現段階でありません。いま、政党支部の実態について幹事長、政調会長の下で調査中とのことですので、たぶん、その調査が終わってからのことなんだろうと予測しています。自民党内で反発が出ているという話がありますが、私が提案した7800の政党支部についての言及に関しては反論や反発があるかもしれませんが、局面打開のためにトップ同士がひざを突き合わせて協議しましょうという提案自体に反発することがよく分かりません。

 7800の支部をいま調べなければならないこと自体が問題ではないですか。政党本部が把握をしていない。調べていることに反発をしているのかなどなど、この体質は極めて後ろ向きの体質ではないのか、と指摘せざるを得ないと思っています。

【記者】企業団体献金の話ですが、先日の衆院予算委で石破総理との間で、今後、さまざまな課題について前向きに議論していくとの考え方が共有されたと思います。一方で、関税交渉を受けて交渉の説明次第ではこうした議論を優先するのでなく即退陣を求める考えはありますか。

【代表】閉会中審査での議論をしっかりと踏まえた中から、そういう判断をしていく。

【記者】参院選の総括について。両院懇の後に、当選できなかった方々や党員の意見も聞かれたと思います。どういう意見があり、総括にどう反映していきたいかについてお尋ねします。

【代表】SNS対策に関わること、政策の中身に関わること、県連総支部の活動実績など多岐にわたるので丁寧にお話を聞き、お盆明けには総括の文書の叩き台を出していただき、それを踏まえてみなさんにまた討議をしていただき、8月26日には常任幹事会が開かれますのでそのあたりまでには集約したい。

【記者】次期衆院選へのいまの準備状況と、候補者の擁立はどう進めていきますか。

【代表】選対委員長にはすみやかに次の総選挙に備えて、可能なところは公認候補の擁立作業を進めていくようにと指示をしています。今回、参院選で惜敗された人たちも含め、さまざまな人を対象に、あるいは各党調整で参院選の影響を考え選挙区情勢をよく分析して対応するようにとの指示をしています。

【記者】給付付き税額控除です。先日、自民と立憲の政調会長会談でも話に上がったようですが、一方、野党内では消費税をめぐって政調会長どうし議論しています。この給付付き税額控除は、自民党あるいは野党とどう向き合いながら進めていきますか。

【代表】野党11党派に声をかけて協議を始めました。その中で、消費税についていろいろな考えがあります。消費税減税については一致していますので、ガソリン税減税と同様に野党間で考え方が整理できるように努力していくことが大前提だと思っています。その先の給付金も大事なので、与党とも協議を始めました。

【記者】野田代表としては、あくまでも野党との連携を重視するのであって、自民と先にやることはないですか。

【代表】消費税減税については野党の共通の公約でしたので、その地ならしをして実現するのが、野党第一党の役割だと思いますので、その務めは果たしていきたい。ただ、給付金を言ったのはわが党で、そこにかぶるところがあるのでその先に給付付き税控除が出てきているということです。

【記者】予算委の集中審議の後に、給付付き税額控除をめぐる政調同士の会合が行われたりとか、自民党の政党支部の調査が行われたりとか、総理と代表の話し合いの中で実行に移す動きが加速したようにもみえます。この点をどう評価していますか。

【代表】今年に入って、石破総理との論戦は予算委員会で5回。党首討論は3回やりました。8回論戦を交わしていますので、お互いのクセを知り尽くしてきた仲です。もしかすると、今回が集大成の予算委員会かもしれないと思いましたので、思い切って協議をできるテーマは何なのかを真剣に考え主張しました。各論での違いはたくさんあると思います。だけど、ひざを突き合わせて協議をしようと言うことについては総理の方も覚悟を決めて応じてきたなあという実感を持ちました。問題はこれから、各論だと思っています。

【記者】党内が苦しい中で、石破総理の方から近づいてきたと見えないこともないですが。

【代表】印象については分かりません。われわれが政策実現するためには他党のスローガンを使って恐縮ですが、対決より解決のチャンスではないかと思います。

不振の結果に執行部責任論も

記者コラム

  党勢を象徴するかのようなガラガラの記者会見場(8月8日)。読売、時事、朝日、産経の記者数人が野田佳彦代表に質問をしたが、わずか18分で終了。全く高揚感や緊張感がない。最後に若手の女性記者から「自民以外に政権を任せられるのか。立民は政権を担える認識なのか」などと舐められると、それまでの丁寧な口調は一転、「自信がなければ政権交代なんて言いません」ときっぱり。それでも、改選22議席から横ばいで比例選の得票も野党第3党に落ち込んだ不振の結果への責任論は付いて回る。

 石川大我・前参院議員(比例選で落選)は「野田代表での(党)再生はない。代表選をすべきだ」と投稿し、野田氏も含めた執行部の刷新を求めた。ただ、野田代表の後継を務められる人材が見当たらない。8月末までに参院選総括をまとめ、正式に執行部の責任が問われようが、代表というより、幹事長の小川淳也氏の去就が注目点だ。

 ただ、野田代表は通常国会や先の臨時国会で内閣不信任案の提出を見送り、対決姿勢を先送りした。これに党内から「勝てる自信がないのか」などの強い批判も出ている。秋の臨時国会では、物価高対策などを盛り込んだ2025年度政府補正予算案などの提出が予想されている。その際、また対決姿勢を示さなければ、「延命に手を貸すのか」などの批判がさらに強まり、激しい党内対立に発展することもあり得る。自民だけでなく立民の前途も茨の道のようだ。