永田町ファイル

野田佳彦代表

記者会見 11・7

安保法制

【野田代表】ガソリン税の暫定税率の廃止、12月31日実施ということで与野党間で合意ができたことは極めて画期的だと改めて思います。
 政府が税法を提出したときに修正案として暫定税率の廃止を盛り込み、4月に単独で議員立法提案をし、そして、時期をずらすという中身でしたが、6月、8月と、3党でまず共同で集まり、協議が整い、7党まで拡大をするということを2回やってまいりました。維新は与党に行ってしまいましたが、あくまでその7党の枠組みをもって政府・与党に迫ってきて、それをまとめてきたのは間違いなく重徳さんだと思いますので、しっかり対応できたのではないか。
 (暫定税率導入から)51年ぶりの出来事なので、これは大いに成果を誇るべきです。
【記者】企業・団体献金の規制強化について、まずは公明、国民が提出するのかもしれませんが、野党にどう協力を呼び掛け自民党に迫っていきますか。
【代表】今、法案の要綱までできていると聞いています。それをまとめていただき、提出された暁には、この国会中に実現できるよう私どもも賛成する方向であることは表明しています。きのう古川さんからお話があり、若干の修正には柔軟に対応したいというお話もあります。出てきたものにはしっかり我々も主張します。ただ、7800もの自民党の政党支部で受け皿になっていることについての規制はしっかりやらなければいけない。その線で、他党にも逆に声を掛け、一丸となって実現していきたい。
【記者】定数削減について、きのう超党派の議連が議長に要望を出し、来年の春をめどに結論を出すということと、協議会があるので、そこの議論とあわせてやるべきだということでした。これについての受け止めと、改めてどう進めていくべきですか。
【代表】私も代表質問で同じ趣旨で申し上げさせていただきました。選挙制度協議会、衆議院議長の下で自民党も維新も入ってこれまで着実にいろいろ議論を積み重ねてきた中で、選挙制度のあり方について協議をし、そこにあわせて定数削減の話をテーマとして入れて、多くの党の賛同を得ながら進めていくのが基本です。少なくとも、国勢調査の結果を踏まえた対応が正しい道だと思いますので、私が主張したことと全く同じような動きを超党派でやっていただきました。それがあるべき姿ではないかと思います。
【記者】野田代表は先日のテレビ番組の中で、小選挙区6割、比例4割といった数字を出しながらご自身のお考えも一部紹介されたかと思います。改めて、野田代表の私案としてはどういうイメージをされていますか。
【代表】私案が先走ってしまうことはあまりよくない。今、政治改革推進本部の中でもご議論をいただいていますが、参考までに言っただけで、それで決めてほしいということではないのです。
 ただ、ベースになるのは、もともと、民意を集約する機能の小選挙区と、民意を正確に反映する形の比例という組合せが、制度のスタート段階では500議席のうちの3対2だったんですよね。それが配分としては基本形になるのではないかという思いで申し上げましたが、じっくり党内で議論していただきたい。
【記者】高市内閣の閣僚の任用をめぐり、いわゆる裏金議員と言われる方の閣僚や副大臣の登用をめぐり、先日の代表質問の中で公明党の西田幹事長が、裏金議員を閣僚には登用しないと高市さんが言っていたと。一方で副大臣や政務官にいることについて、どういう基準なのかという質問をされ、総理は適材適所とおっしゃっていました。こうした閣僚と副大臣以下で対応が違うことについて、代表は率直にどう受け止めますか。
【代表】閣僚と副大臣・政務官って、どうしてそこで線引きするのかということと、閣僚には登用しなくても党の幹部では登用すると。党の幹部と政府の中ではどういう位置付けなのかとか、極めて曖昧な基準だと思いました。けじめがついていないと我々は思っていますので、要職に就けるのは避けるべきです。
【記者】公明党が野党になり、先週、初めて代表質問に立ちました。斉藤代表は、鬼気迫るような表情で、特に政治と金の問題について決着していきたいということが非常に印象的でした。今回そうした斉藤代表の代表質問をどのようにご覧になったかと、今後どう連携していきたいですか。
【代表】連立を解消した最大の理由が、自民党の政治と金の問題に対する姿勢について強い疑問を持っていたということです。それが十分に表れた代表質問で、非常に固い決意の下で離脱したんだなと、改めて分かりました。加えて、多様性、包摂社会をつくっていこうとか、我々もいわゆる中道という路線を掲げていますが、極めて親和性の高い政党だと改めてよく分かりました。拍手喝采を我が党からするケースも多かったですが、大変共鳴できる内容が多かったと思います。
【記者】安保法制について。前代表の泉健太さんが自身のXで、党の基本政策の一文にある「違憲部分を廃止」のままでは表現不足だと、先月の枝野さんの発言なども受けて発信されました。「違憲の運用を認めない」という立場を明確にするといった案をXのポストの中では提起されていました。ほかにも党の主張が分かりづらいという指摘もある中で、党の基本政策に関し、今後、党の政策集などを修正する必要性があると考えますか。
【代表】いや、今までの到達点である選挙公約で掲げたことを基本にしています。いろいろなご意見がありますが、今、変更することではありません。
【記者】今のところ泉さんの意見や枝野さんの意見を踏まえての議論も予定されていませんか。
【代表】それを踏まえてやるということはありません。ただ、中長期的には、岡田さんの(外交・安全保障総合)調査会とかがありますので、そういう中での議論はあるかもしれません。現時点で執行部がこれまでの路線を変えるということで意識して何かアクションをすることはありません。
【記者】もう一点、原発政策についてです。安全基準を満たした原発については再稼働できるとか、リプレースも個別に判断するといった説明を、首班指名に際しての野党3党での党首会談の中で説明されていたかと思います。これは実務上は新増設を認めるかどうかという点以外は国民民主党と重なる部分もあると思います。立憲民主党として、このエネルギー政策で他党との距離感について、現状をどう認識されていますか。
【記者】あまり距離感を感じたこと、考えたことはないのですが、自分たちの考え方はこれまで申し上げてきたとおりで、変わりません。

耳疑う枝野氏の安保解釈豹変

記者コラム

立憲民主党の枝野幸男最高顧問がこのほど、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制について「違憲の部分はない」と、耳を疑う驚きの発言を行った。同法制が審議された約10年前、当時の枝野幹事長は、国会内で強硬に反対しただけでなく、採決直前の同年9月16日、国会議事堂周辺でのデモ集会でマイクを持ち、「憲法違反だ」と訴え、「まともな国民の声がまともに通じる、まともな議会にしていくために私たちは最後まで頑張ります」と訴えていた。
 それが、今、「違憲の部分はない。だから変えなくていい」と言及し、安保法制については個別的自衛権の範囲内で説明できるとの考えに変わったというのだ。しかし、立憲民主の結党の原点は「(安保法制の)違憲部分の廃止」にあり、それを選挙公約の基本政策としてこれまで戦ってきたはず。党創設者の枝野氏が自ら解釈豹変を図った形だ。
 しかも、安住淳幹事長まで「今の段階では違反ではないということに尽きる」との言い分だ。「10年の検証の中で、ホルムズ海峡での機雷除去、グアムに対するミサイル発射行為はなかったということで言えば、そこの部分に対して懸念されていた部分は今はないのが事実。それを冷静に話しただけだからそれはそれでいい」と、おかしな理屈で枝野氏を援護。
 これに関し、野田代表は「今までの到達点である選挙公約で掲げたことを基本にしている。いろいろなご意見があるが、今、変更するということではない」と平静を装う。だが、「ますます立憲は分かりずらい政党になった」との声が噴出しており、党内論議をしても解決できるか疑問だ。