政界日誌
10月24日(金)
経済成長へ財政出動、高市首相所信演説高市早苗首相は衆参両院本会議で、就任後初の所信表明演説を行った。「強い経済をつくる。日本列島を強く豊かにする」と述べ、戦略的な財政出動による成長路線を主張。防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%とする目標の達成を「今年度中」に前倒しするなど、「防衛力の抜本的強化」を急ぐ姿勢を示した。
「国家情報局」創設を検討─政府 政府は、インテリジェンス(情報活動)体制の強化のため、各省庁の関係機関を統括する「国家情報局」を創設する方向で検討に入った。木原稔官房長官が記者会見で、高市早苗首相から「インテリジェンス司令塔機能の強化」を図るよう指示を受けたと明らかにした。
27日(月)
反軍演説議事録、年内復活を─石破氏 自民党の石破茂前首相は鳥取県庁で記者会見し、1940年の帝国議会で斎藤隆夫衆院議員(当時)が日中戦争を批判した「反軍演説」について、削除された議事録を速やかに復活させるよう訴えた。「戦後80年の今年にやる意義がある」と強調した。
28日(火)
首相、米大統領と会談─防衛費増額に決意 高市早苗首相は来日中のトランプ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で初の対面会談を行い、日米同盟の強化で一致した。首相は「同盟の新たな黄金時代を共につくり上げたい」と表明。日本が主体的に防衛力の抜本的強化と防衛費増額に引き続き取り組む決意を伝えた。トランプ氏は「日本は最も重要な同盟国だ」と明言した。
日米、60兆円規模の投資公表 日米両政府は両国企業による総額で最大4000億ドル(約60兆円)の事業規模の投資案件を公表した。次世代原発建設や大規模電力インフラ構築など21件の事業に三菱重工業やソフトバンクグループなど複数の日本企業が関心を示した。両国首脳は同日、日米関税交渉で合意した対米投融資を実行に移すことを確認する文書に署名。投資案件はこの枠組みの対象となる可能性がある。
29日(水)
高校無償化、26年度開始 自民、日本維新の会、公明3党は高校授業料無償化に関する実務者協議を国会内で開き、2026年度からの開始で合意した。支援金の上限額に関し、私立全日制は現在の39万6000円から45万7000円に引き上げ、私立通信制は33万7000円とする。
自維政調会長で協議体、政策決定の枠組み合意 自民党と日本維新の会の幹事長、政調会長、国対委員長は東京都内で会談した。連立政権樹立を踏まえた与党の政策決定プロセスに関し、政調会長らの協議枠組み「与党政策責任者会議」の設置で合意。政府提出法案の審査などに当たる。
安保、経済で協力推進─日印首相電話会談 高市早苗首相はインドのモディ首相と電話会談し、安全保障や経済などの分野で協力を進めることを確認した。高市氏は「自由で開かれたインド太平洋」実現のため、日印に米国、オーストラリアを加えた4カ国の協力枠組み「クアッド」を含めて「引き続き連携したい」と強調。モディ氏は、高市氏の首相就任に祝意を示し、両国関係の強化を「楽しみにしている」と述べた。
30日(木)
日韓首脳関係、未来志向の発展確認 高市早苗首相は韓国の李在明大統領と同国南東部・慶州で初の首脳会談を行い、両国関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致した。ロシアと軍事協力を強める北朝鮮などへの対応を念頭に、米国を含めた日米韓3カ国が連携していく重要性を確認。首脳が相互に訪問する「シャトル外交」を引き続き推進していくことも申し合わせた。
31日(金)
日中首脳「戦略的互恵」確認 韓国・慶州を訪問中の高市早苗首相は中国の習近平国家主席と初めて会談した。両首脳は「戦略的互恵関係」の推進を確認。東シナ海の緊張を踏まえて防衛当局間の危機管理と意思疎通の重要性で一致し、経済安全保障分野の輸出管理対話強化を申し合わせた。首相は日本産水産物や牛肉の輸入規制で前向きな対応を取るよう求めた。
伊東市長が失職 静岡県伊東市議会(定数20)は臨時会で、学歴詐称が指摘される田久保真紀市長(55)に対する2度目の不信任決議を可決した。地方自治法に基づき、田久保氏は同日付で失職し、50日以内に市長選が行われる。
クマ対応で機動隊派遣計画策定を要請、自民PT 自民党は党本部でクマ被害対策に関するプロジェクトチーム(PT)の初会合を開き、政府側出席者に機動隊の派遣計画策定などを要請した。機動隊派遣により、クマ出没時に対応するハンターらが不足するケースでの警備強化を図る。9月に始まった「緊急銃猟」制度で、市町村判断での市街地での発砲が可能になったことから、住民らの安全も確保する。
コメ、26年は711万トンへ減産—農水省 農林水産省は農業政策について議論する食料・農業・農村政策審議会(農水相の諮問機関)の食糧部会を開き、2026年産の主食用米の生産量が711万トンになるとの見通しを示した。農家の作付け時の目安となるもので、25年産の748万トンに比べ37万トンの減産となる。鈴木憲和農水相は就任以降、前政権の増産方針を転換する意向を示していた。
3日(月)
高市首相、北朝鮮に首脳会談呼びかけ 高市早苗首相は東京都内で開かれた北朝鮮による拉致被害者の帰国を求める「国民大集会」に初めて出席し、「既に北朝鮮側に首脳会談したい旨を呼び掛けた」と明らかにした。
4日(火)
AIや造船、17分野に重点投資ー成長戦略初会議 政府は高市早苗首相が掲げる「強い経済」の実現に向け、全閣僚による「日本成長戦略本部」の初会合を首相官邸で開いた。人工知能(AI)や造船など17分野を重点投資対象と決定。関係閣僚と有識者で構成する「日本成長戦略会議」を設置し、官民連携の投資促進策を検討する。来年夏に新たな成長戦略をまとめる方針で、一部の施策は策定を急ぐ総合経済対策にも盛り込む。
5日(水)
ガソリン暫定税率12月末廃止、与野党6党が合意 自民、立憲民主など与野党6党はガソリン税の暫定税率(1リットル当たり25・1円)を12月31日に廃止することで正式合意した。
6日(木)
アニメ・漫画産業への支援4倍に、政府に1000億円規模要望─自民調査会 自民党知的財産戦略調査会はアニメや漫画といったコンテンツ産業の成長を後押しするため、海外展開のための支援などを現状の約4倍に当たる1000億円規模に増額するよう政府に求める緊急決議案をまとめた。
10日(月)
「おこめ券」活用推奨へ、地方交付金拡充ー政府経済対策 政府は近くまとめる総合経済対策に、「おこめ券」の活用推奨を盛り込む方針を固めた。鈴木憲和農林水産相がコメ価格高騰対策として提案していたもので、米価の高止まりに苦しむ子育て世帯や低所得層の負担軽減を図る狙いがある。
米関税対応で中小企業支援策─政府 政府はトランプ米政権の関税措置に関する自民党の総合対策本部で、月内策定を目指す総合経済対策で検討している米関税関連の中小企業支援策を示した。日本政策金融公庫を通じた資金繰り支援のほか、農産品の輸出先多角化に向け、日本貿易振興機構(ジェトロ)による海外展開支援も行う。
11日(火)
首相・閣僚の給与削減─高市内閣 政府は給与関係閣僚会議を首相官邸で開き、高市早苗首相や閣僚の給与を削減することを決めた。「身を切る改革」の一環と位置付けており、国会議員歳費に上乗せされる政府の役職分の給与支給を当分の間停止する。関連法案を今国会に提出し、成立させる方針だ。
N党斉藤氏、自民会派を離脱 参院は政治団体「NHKから国民を守る党」の斉藤健一郎参院議員が自民会派を離脱したと発表した。自民党の石井準一参院幹事長によると、斉藤氏はN党の立花孝志党首が名誉毀損(きそん)容疑で逮捕されたことを受け「政権、自民に迷惑をかけられない」と語っているという。
12日(水)
斎藤兵庫知事を不起訴、公選法の買収容疑などー嫌疑不十分・神戸地検 昨年11月の兵庫県知事選でPR会社に選挙運動の報酬を支払ったとして、公選法違反(買収)容疑などで刑事告発された斎藤元彦知事と同社社長について、神戸地検は嫌疑不十分で不起訴処分とした。
13日(木)
衆院定数削減、6割支持─時事世論調査時事通信が7〜10日に実施した世論調査で、自民党と日本維新の会が連立政権合意書に盛り込んだ衆院議員定数1割削減について尋ねたところ、「比例代表を中心に削減すべきだ」が49・4%、「小選挙区を中心に削減すべきだ」が10・9%で支持するとの回答が合わせて6割を超えた。「削減すべきでない」は12・9%、「分からない」は26・8%だった。
首相に台湾発言の撤回要求—中国外務省中国外務省の林剣副報道局長は記者会見で高市早苗首相に対し、台湾有事を巡る発言の撤回を要求した。その上で「日本側が一切の責任を負わなければならない」と主張した。

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