玉木雄一郎代表

記者会見 8・21

永田町ファイル

統一会派

【代表】先ほどの執行役員会、そして総務会で、先般立憲民主党と合意した統一会派の結成について報告し、了解をいただきました。国民の皆様に自民党にかわるもう一つの選択肢を示していく、そのために大きな固まりをつくっていこうというのは、昨年から一貫して申し上げてまいりました。初心を忘れずに、緊張感のある政治をつくり上げるためにこれからも進めていきたい。

【記者】きょうの総務会などで報告された内容について、大きい方向性は共有されたのだと思いますが、その上で代表に対する注文とか、こういうふうに協議を進めてくれとか、どういった意見があって、代表としてはそれをどう受け止めてこれからの立憲さんとの協議に臨まれるか伺いたい。

【代表】文書に書いてある通りです。「今後の政府提出法案への対応、会派の意思決定手続き、運営方法等は、各党派の代表者からなる会派運営協議会を速やかに設置し、検討を始める」となっていますので、しっかりとわが党の意見も申し上げ合意を得て進めていってほしいという話がありました。

【記者】きのうの合意文書の中にある会派名について、衆議院では「立憲民主党・国民フォーラム」、参議院では「立憲民主党・国民・希望の会」を中心に検討するという書き方になっています。党内からは「立憲民主党」という名前が先に出ていて「国民フォーラム」となると「国民」の存在感が少し薄まるのではないかといった意見も聞こえてきます。代表としては、どのような会派名が望ましいとお考えですか。

【代表】これはあくまで例示ということです。党首会議の中でも申し上げているし、あの文言上もそう読めますから、適切な名称についても協議の対象です。きょう意見が出たのは、国民民主党という党名を「国民」と単に参議院選挙の票に書いたときに、N国さんと一部案分になったという話も聞いていますので、単に「国民」というだけでいいのかどうか。そういった多少法的・技術的なことも含めて名前を決めていく必要があります。会派の略称をどうするのかということもイメージしながら正式名称を決めていくことも必要だと思います。

【記者】憲法について、立憲は憲法審査会の開催そのものに慎重な立場、国民民主は議論そのものには積極的にという姿勢があり、おのおのその違いを大事にしてきたのだと思います。しかし、会派を同じくするに当たってどんな点に気を使い、どんな点で国民民主らしさを出していきますか。

【代表】最初に議論になるのが国民投票法だと思います。前の前の国会からずっと積み残している案件です。これに関しては、わが党は対案を出しています。立憲民主党さんは出していません。ですから、既に提出している議員立法については対応に差があるわけですね。ただ、枝野代表は選挙中の党首討論などでもわが党の法案にも言及しながらCM・広告規制については必要だという立場を明言されています。

 こういうことについてどう扱っていくのかは今後の協議の対象だとは思いますが、われわれは法案まで用意して、今の国民投票法では不十分だという立場ですから、憲法審査会の中で、しっかりと主張していきたい。ただ、その前提として、与野党がしっかりと合意をして、静かな環境の中で議論できることが重要だと思いますので、それは引き続き求めていきたい。

【記者】立憲は、会派結成に当たって原発や夫婦別姓や憲法の考えに対して理解をしてくれと言っていました。それに対して玉木代表の回答文書では、「主張を理解し、相互に協力していくことを確認する」となっています。立憲側の一部には、これは政策をのんだということだという声もあります。玉木代表としては、立憲の政策をのむ、賛成するという立ち位置なのか、それとも主張を理解したが実際の法案の賛否や立ち位置については今後運営協議会で協議していくものだという考えなのか。

【代表】あの文書の通りでして、「8月5日付の呼びかけに示された主張を理解し、相互に協力していくことを確認する」と申し上げています。主張については、理解はしますということは申し上げています。

 それを踏まえて、合意文書の中に「それぞれが異なる政党であることを踏まえ、それぞれの立場に配慮しあう」ということもあわせて両党として明確に確認していますので、その範囲の中で考えていくことになろうかと思います。

【記者】当初枝野さんは8月5日の書面を渡して、これをのめということと、衆議院では統一会派を組み参議院ではやらないという、そういう申し出をのむかのまないか突き付けたと私は解釈していますが、最終的に合意したというのは、立憲が出した内容について丸のみするわけではないということなのか確認したい。

【代表】「丸のみ」という言葉がどうかはありますが、丸のみであれば衆だけですよね。

【記者】いや、政策の内容。

【代表】政策については「理解し、相互に協力していく」。かつ、今後の政府提出法案への対応については会派運営協議会で検討するということですし、「それぞれが異なる政党であることを踏まえ、それぞれの立場に配慮しあう」ことも確認していますので、それぞれの立場に配慮するということだと思います。

【記者】「配慮しあう」ということは、統一会派を組んだとしても、それぞれの政党に属する議員が同じ賛否をとらないということがあってもいいということですか。それと、総務会あるいは役員会の中で、こうした政策に関する意見はありましたか。

【代表】意見というよりも確認がありました。両院議員総会でわが党として正式に承認を得た範囲の中で今回の合意に至っているということを説明しました。あわせて、「それぞれが異なる政党であることを踏まえ、それぞれの立場に配慮しあう」ことも両代表間で明確に確認しておりますので、そういった趣旨の中でご質問に答えました。

【記者】ポイントは、人選も含めて会派運営協議会なのでしょう。運営協議会で、たくさん決めることがあるとおっしゃったが、政策を詰めるのか。どういうふうに国会で国民に対して大きな構えを見せていくか、まずそこから始まらないと、政策協議をしていたら、昔と同じことをやるのではないかと。その辺は、枝野さんとの考えのすり合わせは。

【代表】枝野代表との間ではいろいろな話をしています。大事なことは、単なる民主党の先祖返りにならないことです。この選挙を通じて感じたことは、経済政策であり社会保障政策であり、国民が将来に不安を感じているものがたくさんあり、そういったところに対してわれわれの「新しい答え」、新しい考え方を国会の中でもしっかりぶつけていくことが大事だということです。

やはり「悪夢の民主党」の再来か

記者コラム

 国民民主党の玉木雄一郎代表が、立憲民主党と統一会派を組んでも「先祖返りはしない」といくら繰り返しても、保守とリベラルが混在しバラバラだった「悪夢の民主党」に戻ることは大方予想できる。

 エネルギー政策では支持労組の違いで一致できない。憲法論議の姿勢でも改憲の中身の議論にいつまでたっても入れない。仮に憲法審査会でその中身の議論に入れたとしても、憲法改正、安保関連法に賛成して一度は「希望の党」に入った国民民主側と、そこから締め出された立憲民主党が改憲案作成作業で統一行動をとれるのか。両代表が「それぞれが異なる政党であることを踏まえ、それぞれの立場に配慮しあう」と約束しても、肝心の政策で対立していたのでは統一会派の意味をなさない。

 玉木代表は、「単に昔のメンバーが集まったということでは国民の皆さんがなかなか期待を持てないので、政策が大事」とし、民主党政権下で決めた消費税アップには反対と主張していることを挙げた。だが、アップしない代わりの財源案があるのかといったらそれはない。結局は「反安倍」という反対のための反対なのだ。衆院の解散・総選挙に対処するために「統一会派ありき」でやっていたのでは、ますます国民の支持を失うだろう。