茂木敏充内閣府特命相

記者会見 8・30

霞ヶ関ファイル

月例経済報告

【大臣】「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について報告を致します。

 景気の現状についての総括判断は、「景気は輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している」として、判断を据え置いております。先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。

 ただし、通商問題を巡る緊張の増大が世界経済に与える影響に注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があると考えております。

 今月のポイントとして、私の方から2点、関係閣僚会議で報告を致しました。

 1点目は、今月の9日に発表されましたGDP速報値についてであります。公表当日に記者会見をしておりますので、詳しい内容は省略を致しますが、名目・実質ともに3期連続のプラス成長となったことなどを報告いたしました。

 2点目は、横長の資料の4ページになりますが、少し長い目で見た内需と外需の動向についてであります。日本経済は、左の図にありますように、自然災害が頻発をしました昨年7〜9月期を除き、内需の増加が成長を支える姿となっております。なかでも右上の図、個人消費と設備投資は、2016年後半以降、増加基調を続けております。

 一方、外需は弱い動きが続いており、その背景には、右下の図にありますように、世界経済が減速していることがあります。

【記者】今回の月例経済報告で、世界景気の判断を6か月分ぶりに引き下げました。米中の通商問題の影響が拡大して、日本の先行きについても表現を変更して、警戒感を強めました。10月に消費増税も控える中で、日本経済の先行きをどう見てらっしゃるのか、もう少し詳しく、御見解をよろしくお願いします。

【大臣】世界経済については、中国経済の減速が続くなかで、今回の資料でも分析しておりますが、製造業が比較的大きなウエイトを占めておりますドイツも、輸出の減少からマイナス成長となるなど、アジアやヨーロッパにおいて弱い動きは見られるところであります。

 一方、米国経済については堅調な推移をしていると見ておりますが、こうした世界経済の減速を受けて、日本の輸出にも弱さが見られるわけでありますが、その一方で、先程申し上げたようにですね、日本経済は、雇用・所得環境の改善などを背景に、内需の柱であります個人消費や設備投資は増加基調が続いておりまして、足もとでは公共投資も底堅い動きとなっております。内需を中心とした緩やかな回復という基調は変わっていないと考えております。

 その上で、今年の10月には消費税率の引上げが予定をされておりまして、これに対してポイント還元、プレミアム付商品券、中小・小規模事業者への設備導入支援など、今準備作業を加速してるところでありまして、何度も申し上げてきておりますが、経済の影響を乗り越えるのに十分な、予算、税制上の措置をしっかりと実行してまいります。

 今後とも通商問題の動向など、国際経済の動向を十分注視して、経済運営には万全を期してまいりたいと考えております。

【記者】消費増税に関連してなんですけども、消費増税まであと1か月なんですけれども、駆け込み需要というのは今見られてるんでしょうか。

【大臣】見られておりません。

【記者】この増税後の反動減というのがあるとは思うんですけれども、どの程度景気減速につながるというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】基本的な経済学でいいますと、ある程度のスパンでの需要というのは一緒であります。駆け込み需要が起こらないということは、反動減も起こらない。これが正しい経済学的な解釈だと思います。

【記者】先程、ポイント還元とかやってらっしゃるというお話でしたけれども、政府の対策は改めて十分やってるということでよろしいでしょうか。

【大臣】これは何度も説明を申し上げてきております。

【記者】先程、世界景気についてお話伺いましたけれども、日韓関係について、例えば韓国人観光客が日本に来日するのが減ったりしていると思うんですけれども、これが日本の経済に影響が出ているかどうか、教えてください。

【大臣】先週発表されました7月の訪日外国人客数でいいますと、確かに韓国の訪日客数は減少しておりますが、その一方で、それ以外の国々も含めたですね、全体でいいますと、インバウンド需要は拡大を続けておりまして、7月は単月として過去最高の299万人を記録してるところであります。

 日韓関係につきましては、今後とも注視してく必要がありますが、その日本経済に与える影響、インバウンドでいいますとそういった形になるわけでありますが、客観的なデータに基づいて、マクロな視点や各企業の視点から、ここは冷静に見ていきたいと思っております。

【記者】麻生大臣が火曜日の記者会見で、総理の首脳会談含め、今回の日米協議では、為替は余り話題にならなかったとおっしゃったんですが、改めまして、為替条項の話は、今回は出てこなかったということでよろしいのか、確認をさせてください。

【大臣】ちょっとそこは違っております。余り出てこなかったではなくて、全く出てこなかったです。

米中貿易交渉  8・27

【記者】アメリカと中国の対立についてお尋ねします。大臣が出張されてました前週末の8月23日に、中国が新たな追加関税を課すと発表しまして、同じ日にアメリカも対抗措置として中国に対する制裁関税の引上げを発表しまして、米中間の関税の応酬が再びエスカレートしました。最近は金融市場の変動も大きくなってますけれども、こうした状況についての大臣の受け止めとですね、日本経済にもたらす影響についての御見解をお願いできますでしょうか。

【大臣】トランプ大統領は、昨日ですね、近いうちに、very shortlyという表現を使ったと思いますけれど、中国との交渉を再開すると、このように発表されておりまして、今後の米中間での協議の進展を期待したいと思っております。

【記者】トランプ大統領はですね、26日の会見で、日本車に対する追加関税の可能性を聞かれ、現時点ではないとしながらも、今後、望めば、何がしかとり得ると発言をしました。一定の発動の可能性は残した発言と捉えますが、大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】G7の後の会見、全体聞いていただきますとですね、トランプ大統領は、たしかÅg ItÅfs something I could do at a later date if I want toÅhと言った後にÅgbut weÅfre not looking at thatÅhと、このようにおっしゃってると思います。

 正にそのとおりでありまして、この経過、昨年の9月26日の共同声明においてですね、この日米の貿易交渉は、信頼関係に基づき議論を行うこととしまして、その協議が行われている間、この共同声明に反する行動はとらないと、共同声明に明記をしております。そして、この趣旨は、日本の自動車への米国通商拡大法232条の追加関税を行わないという趣旨であるということは、その26日の、日米の首脳会談で安倍総理からトランプ大統領に直接確認をしているとこであります。

【記者】改めてなんですけれども、日米貿易交渉の大枠合意について、受け止めをお願いしたいんですけれども、よろしいでしょうか。

【大臣】表現としてですね、アグリーメントとは確かに米側は使ってたんですけれど、ライトハイザー通商代表のほうがですね、コアプリンシプルについて意見が一致をしたとして、主要な項目について意見が一致したということであります。何しろ一致を見たのは間違いないと。その意味でですね、一般的な用語で言えば合意ということになると思うんですが、合意には正式な合意、これはもう署名の段階、協定の署名の段階が正式な合意になるわけでありまして、それに対しまして大筋合意、これは協定の本文がリーガルスクラブの途中でありますが、内容面では完全に合意をしていると、これが大筋合意。これに対しまして、一般的にこれまで使ってきた大枠合意というのは、一部の項目について作業中だが、協定本文はほぼ固まっている状態、これが大枠合意ということになるわけです。今回の場合、まだドラフティングはこれからです。実際に文書に落としていくのはこれからでありますけれど、主要な項目についての内容は固まっている。