「ひょうたんなまず」

俳句・川柳3月号

「落葉」「テーマ自由」

俳句

星を呼ぶ  梅の紅白  散らばれり
(水戸市) 野々村 幸次
(梅の花は、遠くからはあまり目立たない。近くになって枝に多数の花が咲いていることを知る。星を呼ぶ梅と詠んだのは秀逸である

青空や  落葉低く飛ぶ  ビルの街
(東京都) 御園 紗耶香
(落葉は木が冬を生き延びるために起こる現象。命をつなぐために自然にはらはらと落ち、時には風によって遠くへ飛ぶのである)

影たちの  ささやくごとく  歩みゆく
(横浜市) 矢山 香

(早春の気候は灰色の冬から解放され、色彩が鮮やかになる季節である。薄かった人やものの影も命あるごとく動くのである)

【佳作】

  蕗の薹  その命の  苦さかな
(長野市) 渕山 彰邦

(その苦さがいいのである)

  春を待つ  タンポポの群れ  河川敷
(東京都) 安曇野 隆

(やがて黄色の花の絨毯となるのだ)

  天命や  滝のほとばしり  春の里
(高山市) 淡海 道隆

(天から降る水に天の意思を見た)

  花屋から  シンフォニーの  花の歌
(東京都) 立間 草子

(春を告げる花の宝石箱や)

川柳

ユーチューブ  ひねもす見てる ニートかな
(東京都) 閑人

(テレビを見てもつまらないものが多い。ニュースや解説もありきたりのステレオタイプで根本的な対立はない。だが、ユーチューブはシロウトであるために刺激的)

健康に  なりたいけれど  どれがほんと?
(大阪市) 健康番組花盛り

(健康ブームで、何々健康法というのが、テレビで放映されている。見ているとホントらしく思えるけれど、他の番組を見るとまた違った健康情報が。どっちだ?)

あっぱれ! 鼻たれ小僧とは   わしのこと
(福岡市) じじい80歳

(老人になると、子供に返るといわれているが、まさに80歳はまだまだ現役? なのかも。さてさて冷や水にならぬようにご用心)

【佳作】

 大根を  植えて育てて  ちょっと寂し
(さいたま市) 家庭菜園男子

(子供か孫のような心境になるのだ)

  園児たち  声高らかに  アニソン歌
(静岡市) 昔の唱歌が懐かしい

(年は取りたくないものです)

  コーヒーの  引き寄せるもの  過去の恋
(東京都) 20年前は青年

(思い出すだけなら罪はない)

  ちょっと  タイへ旅行  言ってみたい
(千葉市) ああ貧乏はつらい

(言ってみるのはタダ。あなたもどうぞ)

【応募要項】来月のお題「眼鏡」

 あなたの俳句・川柳をお寄せ下さい。お題に添ったものでなくても結構です。自作未発表のものをはがき1枚に3句程度まで。住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・年齢・電話番号明記の上で、ご投句願います。投句は返却しません。二重投稿厳禁。天・地・人の句には薄謝ないし粗品を贈らせていただきます。締め切りは毎月末。

住所 〒101─0052 東京都千代田区神田小川町3─7─16 報道ビル6F 「新政界往来」ひようたんなまず係まで。