「ひょうたんなまず」
俳句・川柳12月号
「眼鏡」「テーマ自由」
俳句
天
眼鏡から 赤とんぼの飛ぶ 空仰ぐ
(長野市) 藤原 幸吉
(今やとんぼを見ることさえ難しくなっている。しかし、まだ地方では赤とんぼを見ることができるのだろう。うらやましい限りである)
地
あれもこれも 中止ばかり 冬の空
(東京都) 藤堂 健次郎
(新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くのイベントが中止に追い込まれた。秋祭りもそうだが、なんとも寂しい時代である)
人
書架の本たちの顔凛々しいよ
(奈良市) 大内山 節子
(本棚を背表紙を見ていると、知的な精神史が自然に浮かんでくる。どの本もいとおしいものがある)
【佳作】
枯れ葉飛ぶ さびしき街を 振り返る
(横須賀市) 左右田 進
(ちょっとしてみたいポーズ)
大都会 眼鏡の中に 納めけり
(東京都) 古森 卓志
(眼鏡に映る風景は不思議)
ジーンズを 脱いでくつろぐ 父母の家
(横浜市) 印南 哲史
(ほっとするのはふるさとの家)
図書館に 知り人のなし 冬の空
(立川市) 高橋 伝次
(どこか寂しいのである)
川柳
天
冬空や コロナとコロナで 終わりけり
(東京都) 一足早い年じまい
(なんといっても、世界を変えたといっていいほど、今年はコロナに明けてコロナに終わったという印象になってしまいそう)
地
ロナ禍や メガネとマスクが わが化粧
(福岡市) アラフォー女
(レワークで家にこもっているので、外出用の化粧品の売れ行きも今いちとか。とはいえ、化粧は心のよそおいですぞ)
人
棚ぼたの 後継者とは おれのこと
(東京都) すがすがしいまでの菅総理
(いつもならすったもんだする後継問題が、これほどすんなりと収まったのは珍しい。安倍さんの病気引退と菅さんの総理滑り込み)
【佳作】
テレワーク 妻の喜ばぬ 粗大ゴミ
(静岡市) 居場所がない
(亭主が家でストレスに)
ストレスで やせる思いの テレワーク
(水戸市) 家は会社よりつらい
(帰宅拒否もできないしね)
顔と顔を 見て忖度する 会議かな
(東京都) リモート社員
(ふーん、こんな顔してたのね)
足腰の ますます弱る テレワーク
(大阪市) 引きこもり
(散歩も億劫になってしまうのだ)
【応募要項】来月のお題「家族」
あなたの俳句・川柳をお寄せ下さい。お題に添ったものでなくても結構です。自作未発表のものをはがき1枚に3句程度まで。住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・年齢・電話番号明記の上で、ご投句願います。投句は返却しません。二重投稿厳禁。天・地・人の句には薄謝ないし粗品を贈らせていただきます。締め切りは毎月末。
住所 〒101─0052 東京都千代田区神田小川町3─7─16 報道ビル6F 「新政界往来」ひようたんなまず係まで。