「ひょうたんなまず」

俳句・川柳3月号

「家族」「テーマ自由」

俳句

コロナ禍や それでも一輪 梅の花
(水戸市) 桑原 惣兵衛

(今年はコロナ禍から解放されると思っていたら、オミクロン株の猛威の兆候。いったいいつになったら収まるのか。そんな中、咲いた一輪の梅が希望である)

わが祖国 山紫水明 人美し
(東京都) 金原 俊雄

(難しい表現を使うことがいいと思っている人がいるが、俳句は心で詠むものである。生きていることを感謝し、育ててくれた祖国を思う。それだけでいい)

大仏や 天にそびえて 春の風
(鎌倉市) 高山 壮太

(大仏を遠くから見ると慈愛、近づくにつれて少しずつ圧倒され、そして見上げると空に屹立し、春の風が吹き寄せているというのである)

【佳作】

マスク越し 会話の声も 途切れがち
(横浜市) 篠山 卓

(なかなか話しづらいのである)
妻の顔 今朝は昔の 微笑で
(東京都)東野谷 佐吉

(新婚当時を思い出しているのか)
ふるさとや 帰れぬ思い 春の空
(さいたま市) 沓形 史郎

(コロナ禍がうらめしい)
家族という 故郷へ帰る 夜汽車かな
(鎌倉市) 中村 金吾

(コロナだからこそ家族が愛おしい)

川 柳

貧しさや じっと手を見る ああ寂し
(東京都) 石川木鐸

(コロナ禍で自粛、閉店、派遣切り、ホームレスと暗い世相が続くが、現代の啄木ならばかく嘆くかもしれんのう)

禿げ頭 たたく孫に じじい馬鹿
(堺市) 将来はミュージシャン

(孫のやることなすこと、すべてじじいにはかわいい。まさに、孫の禿げ頭をたたくいたずらさえ、そこに将来のミューシャンの才能を見て喜ぶのである)

老夫婦 いつのまにやら ディスタンス
(東京都) 今さらフルムーンでもない

(新婚はゼロ距離、それから段々と距離が離れていくのが夫婦。自然にソーシャルディスタンスになって熟年離婚という終着駅に到着)

【佳作】

貯金減り 会話も無くなる 独居老
(千葉市) 後期高齢者

(今後の日本社会の問題である)
笑点も リストラの風 身に染みる
(東京都) 窓際三平

(明日はわが身なのか?)
岸田総理 わが家の妻は 聞く耳無し
(東京都) 馬耳東風

(人の話を聞かない妻は馬の耳)
台湾へ 爪を伸ばすや 虎の国
(奈良市) まほろば太郎

(中国は虎という絶滅危惧種か?)

【応募要項】来月のお題「平和」

 あなたの俳句・川柳をお寄せ下さい。お題に添ったものでなくても結構です。自作未発表のものをはがき1枚に3句程度まで。住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・年齢・電話番号明記の上で、ご投句願います。投句は返却しません。二重投稿厳禁。天・地・人の句には薄謝ないし粗品を贈らせていただきます。締め切りは毎月末。

住所 〒101─0052 東京都千代田区神田小川町3─7─16 報道ビル6F 「新政界往来」ひようたんなまず係まで。