永田町ファイル

記者会見 7・2

自民党 茂木敏充幹事長

9月の総裁選

【幹事長】本日の役員会・役員連絡会の概要を報告いたします。
岸田総裁からは、能登半島地震発災から半年となった昨日、3度目の被災地視察を行った。復興への着実な取り組みの一方で、家屋の公費解体、水道復旧など課題が残っている。総額1396億円の予備費第五弾を決定するとともに、省庁横断的な国の支援拠点として、次官級をヘッドとする「能登創造的復興タスクフォース」を能登空港の中に150人規模で発足させた。引き続き復興に向けて全力を尽くす。

エネルギー補助については、物価高から国民を守り、酷暑の夏を乗り切るため、即効性が高い対策として今回限りとして実施する。渡海政調会長を中心に、党からの提言をいただき感謝。これを踏まえ、燃料油代補助については、年内に限り継続し、段階的かつ円滑な終了に向けて必要な対応を行う。電気・ガス代については、8月から3カ月間分補助。8月・9月は1キロワットアワー当たり4円、10月は2・5円の支援とする。

この週末は山梨県を訪問し、今国会で成立させた法案のモデルとなる現場を視察した。「産業競争力強化法」に基づき、地域経済の中核である中堅企業に対する支援が可能となり、人手不足克服のための投資や、働き方改革を後押しする。また、デジタル技術を活用し、通常の6倍以上の高収益化を実現している農業法人を訪問した。「食料・農業・農村基本法」を活用し、来年度からの初動5年間を「農業 構造転換 集中対策 期間」として、こうした取り組みを広く展開していく。

明日には、20年振りに新紙幣の発行が開始される。日本の資本主義、女性活躍、科学技術・イノベーションを代表する人物を肖像とする。時代に相応しい紙幣。国民に親しまれることを期待する。

安倍元総理の三回忌の時期となった。元総理の高い志を皆さんとともにしっかり受け継いでいきたい。

私からは、先週土曜日、岸田政権が発足1000日を迎えました。世界が歴史的な転換点にある中、経済再生、少子化対策、防衛力の強化など、先送りできない課題に正面から取り組み、政策を前に進めて来られました。これからも、政府・与党で結束し、内外の課題解決に全力で取り組んでいきたいと考えています。

都知事選・都議補選の投開票日まで5日となりました。都知事選では、都連として現職の小池知事を支援し、また、都議補選においては、わが党として8つの選挙区で公認候補を擁立して、積極的な運動を進めています。私も明日、明後日と応援に入る予定ですが、党本部として、都連、都議会自民党と連携し、勝利に向けて最後まで全力で臨みたいと思います。

米国では先週、秋の大統領選に向けた1回目のテレビ討論会が行われました。また今月は、イラン大統領選の決選投票、さらにイギリスやフランスで総選挙が予定されるなど、今後、世界の行方を左右する重要な国政選挙が控えています。状況を注視し、自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向け、対応していきたいと思います。

【記者】9月の総裁選に関して、地方から、党員票や決選投票での地方票の比重を増やすように求める声が上がっています。残り3カ月を切っているわけでありますけれども、今後、総裁公選規程の見直しなど検討する余地はあるか否か、お考えを伺います。

【幹事長】総裁選は全国の党員の皆さんが、選挙を通じて党の方針決定に参加する重要な機会だと考えております。仮にご指摘のような「総裁公選規程」を改正する場合には、公平・公正性を確保する観点などから、一定の周知期間が必要になると思います。いずれにしてもデジタルの活用であったり、街頭遊説の充実など、候補者の訴えが、党員にしっかりと届く選挙にしていくことが大切だと考えております。

【記者】先の国会で成立した改正規正法に関して伺います。公明党は先週、第三者機関設置などの附則に関する党内の協議を始めました。自民として議論スタートはいつになるのか、また枠組みとしては政治刷新のワーキングチームなどで行うのか、今後の見通しをお伺います。

【幹事長】今回の法改正で、検討事項として「政策活動費の上限額設定」や「第三者機関の設置」、これが検討事項として残ったわけでありました。できるだけ早く制度の詳細を詰めていきたいと思っております。法律の施行期日まで1年半を切っておりまして、党内での検討、そして各党との協議を進めていきたいと考えております

【記者】7月7日投開票の都議補選についてお伺います。先ほどの冒頭発言でも言及がございましたが、自民党は8選挙区に候補を擁立されております。なかには、裏金事件で処分の対象となった国会議員の選挙区も含まれるなど、党内からは厳しい戦いになるのではないかとの指摘もございます。この都議補選が次期衆院選にどのような影響を与えるか、幹事長のお考えをお聞かせ下さい。

【幹事長】以前から申し上げている通り、都議選も含めまして、地方議会の選挙につきましては、争点も含めて国政選挙とは違う側面もあるとそのように思っておりますが、今回の都議補選、さらには都知事選、極めて重要な選挙であることは間違いないと、こんなふうに考えております。

先ほど申し上げましたが、私も今週、応援に入る予定にしておりまして、各選挙区、かなり激選の状態が続いていると、こんなふうに考えておりまして、わが党の候補、30代から50代前半、非常に働き盛りの即戦力となる候補者を揃えていると、こんなふうに考えておりまして、残り5日間、全力で戦い、接戦を制することが出来ればと、こんなふうに思っております。

【記者】田畑裕明衆院議員が政治資金パーティーの案内状に「ご入金のみ」との項目を設け、国会で野党から違法性を指摘されましたが、田畑氏は「官邸筋、党本部に問い合わせ、何ら指摘を受けなかった」と述べていました。ただ、昨日、田畑議員は「説明が不十分であった」としてパーティーは中止し、返金作業を進めていると釈明しています。自民党として、今回の田畑議員の事案について、適性とお考えか、伺います。

【幹事長】お話があったように、田畑議員は、パーティーについては中止すると、また返金の手続きを進めているということでありまして、これまでの説明についても、「不十分だった」と、このように反省と謝罪の弁を述べていると承知しております。まず本人が丁寧に説明を尽くすということが大切だと考えております。

首相こそ学ぶべき「貞観政要」

記者コラム

自民党には中央政治大学院という〝学びの場〟がある。国や地方の将来を担うにふさわしいリーダーを養成するために設置された機関で、現在は遠藤利明衆院議員が学院長を務めている。その「勉強会」の最終講座のテーマが中国古典の「貞観政要」。学院「総長」でもある岸田首相も修了式に参加し全7回の皆勤者を表彰した。

「貞観政要」は善政をしいた唐の第2代皇帝・李世民と重臣たちとの問答をもとに編纂され、明治天皇や徳川家康たちが学んだリーダー論とされている。その教えの核を「3つの鏡」に例えている。「人の
鏡」では部下を信頼して任せ、途中で口を挟まず待つことの大切さを強調しているが、これを現在の岸田政治に当てはめてみると全く該当していないことが分かる。

例えば、政治資金規正法の改正作業。本来なら政治刷新本部に改正案作りを任せ国対に交渉させる。ところが、首相は自民内での調整をしないだけでなく、自らが乗り出していって公明や維新の代表と話を付けてしまう。自民内には「部下を信頼せず、自分で勝手に判断して強引にそれを押し通そうとする」と批判の声が強まっている。

もう一つの「銅の鏡」は、部下の表情をしっかりと把握する意義を説いている。だが、「首相こそ貞観政要を学ぶべきだ」(自民職員)との皮肉まで足元で語られていながらそれに気づいていない。過去の経験を踏まえ将来に備える「歴史の鏡」も曇っているため政権支持率の反転も期待薄の状況なのだ。