往来仰天ニュース

小型機パイロットが心停止!
素人の女性乗客が無事帰還

パイロットが何らかの事情で操縦不能になり、経験が浅いか素人の主人公が代わりに操縦するといった空のパニック・サスペンス映画はあまたあった。
一番心に残るのは半世紀前に公開された「恐怖のエアポート」だ。
シナリオはこうだ。飛行中の旅客機で食中毒が発生。次々と乗客が倒れる中、パイロットもその機内食を食べていた事が判明。元ヘリ・パイロットが管制塔からの指示だけで着陸をしなければならないという緊急事態をサスペンスフルに展開するTVムービーだ。
「事実は小説より奇なり」ではないが、こうした映画を凌駕した仰天ニュースが世界を駆け巡った。
時は10月4日、小型機のパイロットが操縦桿を握ったまま意識を失い、フライト経験ゼロの乗客がパイロット席に着いて、着陸を見事に成功させた。
同日午後、ネバダ州ラスベガスの空港を離陸した小型双発機「ビーチクラフト・キングエア」はカリフォルニア州モントレーに向かっていた。だが午後1時ごろ、パイロットが突如、心停止状態になり意識を失った。
大型旅客機なら副操縦士がつくし、何百人もの乗客がいれば操縦士が乗っているかもしれない。だが、乗客定員が一桁の小型飛行機にはパイロット1人と乗客1人だけだった。
パイロットが操縦不能になれば、機はほどなく地上に激突することを免れなかった。乗客であったカリフォルニア州在住の女性はパイロットの異常に気づき、驚きながらも冷静沈着にすぐ操縦桿を握り、同州カーン郡空港局の管制官に連絡をとった。
フライト経験が皆無だった女性は、ベテランパイロットから細かい操縦方法を教わり、同州ベーカーズフィールドのメドウズ・フィールド空港に緊急着陸をチャレンジすることになった。
無論、空港側は最悪の事態を想定し、着陸失敗による炎上に備える消防隊や、パイロットの手当てや事故発生時の怪我に備えた救急車が待機する中、小型機の着陸をかたずを飲みながら待った。
空に機影が見えると空港まであっという間の出来事だった。
小型機はなんなく着地に成功し、消防隊が出動することはなかった。ただ、救急車は意識を失っていたパイロットを病院に救急搬送したものの、命がよみがえることはなかった。
米NBCニュースは、緊迫した女性と管制塔との交信を公開した。
管制塔「速度が下がらないように出力をあげられますか?」
女性「はい、いま時速132マイルです」
管制塔「OK、それで完璧です」
このやりとりだけでも、冷静沈着な女性乗客の姿が見てとれる。
まず管制官と連絡がとれたことが、女性乗客の命を救うことにつながったが、多分、パイロットが管制官とやり取りするのを見ながらその手法をしっかり観察していたのだろう。
危機対応でドツボにはまるのはパニックになってしまうことだ。パニックになると目に入っても見えないし、アドバイスも耳に入ってこない。

宝くじ2枚で100万ドル当選
だが一枚を喪失、そして…

米国の首都ワシントン在住の男性がこのほど、宝くじ2枚が当たって100万㌦(約1億4400万円)をゲットしたものの、一枚を紛失。当初は、50万㌦に喜びはしたものの、失った50万㌦に心が痛む日々を送る羽目になった。 
 その男性フィリップ・Hさん(57=姓は頭文字のみ公表)は今夏、ワシントンのアナコスティア地区にあるガソリンスタンドで「ラッキー・フォー・ライフ」という数字選択式のくじを2枚購入した。
 フィリップさんは、2枚とも同じ数字にしたところ、これがラッキーナンバーで大当たり。1枚につき「生涯毎年2万5000㌦(約360万円)」、または「一括で50万㌦(約7200万円)」の賞金だった。
 だがフィリップさんは青ざめることになる。2枚、確かに購入したはずなのだが、ポケットというポケットをすべてまさぐり、部屋の中をすべからく探しても、1枚がどうしても見つからないのだ。
 フィリップさんはひとまず1枚を「一括50万㌦」で当選を申請。
 その50万㌦を手にしたのは無論うれしいのだが、忽然と消えたもう1枚がどうしても気にかかる。コップ半分の水を半分も水が入っていると喜ぶのか、半分しかないとないことを嘆くのかにも似た心境だった。
 そうした心境は揺れ動いて、複雑だ。時に半分だけで十分と思っても、あの1枚があればなという思いがふつふつと湧き出してくる。
 あれこれ思い出しては毎日のように、心当たりを探してみたりするのだが、どうしても見つからない。
 それで「もう見つからないかも……」とあきらめかけていた矢先、札束のようになっていた古いくじを整理していたら、なんとその中に当選くじが紛れ込んでいたのを発見した。
 その感動たるや、最初に当選した時のものよりはるかに大きなものだった。なにせ失望の暗い谷底から、光り輝く希望の太陽を浴びた瞬間だったのだから、さもありなんというものだ。
 結局、フィリップさんはその一枚も「一括50万㌦」を選択し、総額100万㌦入手に成功した。

交番を通りかかった医師
心肺停止状態の女児救う

今春、神奈川県のJR鎌倉駅前交番に心肺停止状態の女児(8)が運び込まれた。たまたま通りかかった小児科医の高原麻里子さん(44)が交番に設置されているAED(自動体外式除細動器)で救命処置で息を吹き返した。女児は救急車で病院に運ばれ、命をつなぐことができた。
女児は心臓に疾患があって、突然倒れたという。あわてた両親が近くの交番に運び込み、父親が人工呼吸を行い、母親は救急車を呼ぼうとしていた。交番にいた警察官は勝手が分からず、浮足立っていた。
女医は目を見開いたままぐったりとしている女児を見て即座に「心停止状態だ」と判断した。
そして、交番の赤いAEDが目に入り「AED貸して!」と叫んだ。
女医はAEDのパットを女児に貼りスイッチを押した。すると女児は一回の電気ショックで蘇生し、大泣きした。
両親は大泣きするわが子を見ながら、「地獄に仏」に出会ったようなわが子の蘇生に喜びの涙を流した。
女児はすぐやってきた救急車に搬送され、病院に入院したが命に別状はなかった。
鎌倉署は後日、女医の迅速かつ的確な措置に感謝状を贈った。
女医は「救命処置は初めてのことだったのでホッとした。医師になって良かった」とコメントした。
AEDは心肺停止の患者に電気ショックを与え、正常な動きに戻す。その電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%低下するとされる。
救急車が到着するまでの時間は全国平均で10分弱。今回の事例でも、たまたま通りかかった女医がAEDで救命措置を施さなかったら、救命率は統計上ほぼ0%だった。
なお心臓が原因で心肺停止した人に対し、現場に居合わせた人がAEDを使用した割合は約4%でしかない。

地下室に眠っていた意外な「お宝」
廃品業者が「本物のピカソ」を発見

赤い口紅に青いドレス姿の女性が描かれた絵は、カプリ島近くにあった邸宅の地下室で見つけられていた。
その絵はピカソの署名があった。だが、美術品鑑定士たちがこぞって数百万ドルの値が付く可能性もあるというピカソの絵は、半世紀以上もの長い間、その絵は眠ったままだった。
今から62年まえの1962年、イタリアのポンペイで質屋を営んでいたルイジ・ロロッソさんは、カプリ島近くにあった家屋の地下室で、女性の肖像が描かれた丸まったキャンバスを発見した。
キャンバスに描かれた油絵には、赤い口紅に青いドレスを着た女性が左右非対称のキュビズム画風で表現されていた。美術専門家によるとこの絵の女性は、フランスの写真家で詩人だったドラ・マールを描いた肖像だとみられているといいう。マールはピカソの愛人だったとされる人物だ。
だが、ピカソの署名さえ気が付かなかった当時24歳だったルイジさんは、その価値を知らないまま、絵を安物の額縁に入れて妻にプレゼントしたものの妻は迷惑顔だったという。
妻は売り物になるほど良い絵だとはつゆも思わないまま、自宅に半世紀ほど掛けておき、その後は自分たちの所有することになったレストランに飾ったとされる。
ルイジ夫妻の息子アンドレアさんは、「母はこの絵を自宅の壁に飾った際、改めて『落書き』と名付けた。描かれている女性の顔が奇妙だったから。この時、私はまだ生まれてもいなかった」と述懐する。
そして80年代、小学生のアンドレアさんは美術史の教科書でピカソの「ドラ・マールの肖像」を目にし、ピカソが50年代にカプリ島で過ごしていたことを知ることになる。
暗闇に眠ったままのピカソの絵に、運命の光明が投げかけられた瞬間だった。
ただ幸運の扉をこじ開けるには、かなりの時間と忍耐力を強いられることになる。
もしかしたら価値のある絵かもしれないと思ったアンドレアさんら一家は、絵の署名が本物かどうかを確かめる数十年間の旅が始まったからだ。
一家が問い合わせた美術史家の多くは、本物のピカソではないと言いつつも、絵を家族の手から引き取ることを申し出た。
ここで手を打って小銭をもらっても、絶対、後で後悔すると確信した一家は警察に絵を届け出ることにする。
警察は当初、盗品かもしれないとしたものの、当時は本物のピカソと確認されていなかったことから、一家が引き続き絵を所有することを認めた。これで晴れて、絵はアンドレアさん一家のものになった。
そして、このほどこの絵に書かれた署名が、本物のピカソの署名だと確認された。鑑定者はミラノの裁判所の筆跡鑑定人チンツィア・アルティエリ氏だ。
さらにアルティエリ氏は数カ月かけて絵の分析を行い、ピカソの他の作品と比較したり、絵画制作と同時期に署名が書かれたことを確認する法医学調査を行った。
その上でアルティエリ氏は9月30日、イタリアの地元メディアに寄せた声明で、「この署名がピカソのものであることは間違いない」と太鼓判を押した。
現在の美術市場を踏まえると、絵の価値は約600万ユーロ(約9億7000万円)に上るとされる。
絵画はこれからピカソ財団の正式な鑑定を経て、オークションにかけられるが10憶円越えは確実視されている。

ハネムーンで飛行機墜落
ある偶然が命を救う

オーストラリアの小さな島の空港を飛び立った小型機に1組の日本人夫婦・新婚旅行中の聖一さんと陽子さんがいた。モートン島でイルカの餌付けを楽しみ、今回の新婚旅行のベースキャンプにしていたゴールドコーストへ帰る機内だった。この時、陽子さんのお腹には小さな命を宿していた。
陽子さんは「なんだか様子がおかしい。この飛行機、やけに低く飛んでる気がするの」と気づいたが、次の瞬間プロペラが止まった。実は夫婦はその前、モートン島で故障して動かなくなったのか、男性たちが飛行機を押している様子を見ていた。さらに2人はその飛行機に乗ってしまっていたのだ。
飛行機はみるみる失速して急降下、2人は必死に陽子さんのお腹の子供をかばったものの、機体は海に墜落した。2人ら乗客は放り出されてしまい、さらにその海は大荒れだった。
その時、浜辺で大いに盛り上がっている若者たちがいた。小型機が墜落したのは浜辺の近くのため、墜落の衝撃は凄まじかった。音が聞こえ、何かの事故か?と思った若者たちは荒れ狂う海にむかって駆け出した。実は若者たちはライフセーバー。しかしそこは夜の海。波も高く、潮の流れも速い。ライフセーバーとはいえ一歩間違えれば命を落としかねない。しかし、彼らは勇敢に救出活動を続け、救助隊が駆けつける前に何人もの命を救った。
陽子さんのお腹の赤ちゃんも無事で、その後、女の子を出産。名前はセイラちゃんと名づけられた。海の男を象徴するセーラー服からとった名前だ。

服役中に「人生を変える」と決意
2度人命救助した米国人

「現在の刑務所は罰を与えるだけで更生する場になっていない」 
2年間の服役を終えたホリエモンこと堀江貴文氏が語った言葉だ。
だが更生プログラムは、生まれ育った環境など一人ひとり違うし、そこから解きほぐしていくとなると結構難しい。それこそ一人ひとりにカウンセラーをつけなくてはならなくなる。その手間も予算も組めない以上、罰としての拘束による自由のはく奪と規律正しい生活による社会復帰への手助けが多少できる程度かもしれない。
こうした中、米国人男性が刑務所に20年以上も服役しながら今秋、1カ月半の間に2回も人命救助を行ったことで、耳目を集めている。
「ヒーロー」扱いされている人物は、テキサス州居住の47歳、ジェイコブ・ベルさんだ。
1996年に強盗の罪で起訴され、懲役35年6カ月の実刑判決を受けながら、服役態度が優秀で模範囚として評価され22年間の刑期を終えた時点で仮釈放された。仮釈放された受刑者は保護観察を受けながら、刑期満了まで過ごすことになる。目的は、刑務所内での反省・更生が認められた受刑者を、社会の中で更生させることにある。
しかし、ジェイコブさんは保護観察者から認められるどころか、社会全体から賞賛をあびることになった。
出所後、結婚して子供も1人もうけたジェイコブさんが最初の人命救助をしたのは今年の8月24日。テキサス州のワクサハチ湖で友人と釣りをしていた時に、水難事故に遭遇。ジェイコブさんは溺れていたティーンエージャーの少女を飛び込んで岸まで引き上げた後、水を吐き出させて命を救った。この時、彼女を助けようとして溺れた21歳の男性も救助したものの、残念ながら男性は死亡が確認された。
そして10月初旬にはテキサス州コマンチ郡の道路をトラックで走っている時に、交通事故に遭遇。電信柱に衝突した車は逆さまにひっくり返り、出火していた。
ジェイコブさんが駆けつけると、車内には意識のない男性(72)を発見。男性を窓を叩き割って引きずり出しはしたものの、心停止状態だった。すぐさま胸を強く圧迫したり息を吹き込んだりして心肺蘇生を試みると、男性は息を吹き返したという。
刑務所にいた時、ジェイコブさんは「人生を変えよう」と決意したという。
だが、「ずっと自分は、社会から受け入れられない無価値な存在で、絶対に自尊心や誇りを取り戻せないだろうと感じていた」と告白した上で、「(再度にわたる人命救助で)自分も人の役に立ち社会に貢献できるのだと実感しました。これは私にとって大きな意味があります」とNBC系列の地元テレビ局の取材に応えた言葉だった。
同地方テレビ局は「ジェイコブさんは2人の命を救っただけでなく、自分自身をも救ったのだ」とコメントした。

史上2番目の巨大ダイヤ発見
2492カラットは誰を飾るのか

カナダのバンクーバーに本社を置く鉱山会社ルカラ・ダイヤモンドはこのほど、史上二番目と見られるダイヤがアフリカ南部のボツワナにあるカロウェ鉱山で無傷状態で発見されたことを明らかにした。同鉱山はボツワナの首都ハボローネから北へ約480キロメートルにある。
約1ポンド(約450グラム)の重さで、2492カラットの巨大ダイヤモンド原石が見つかった。南アフリカで1905年、3106カラットのダイヤモンド「カリナン」が発見されて以来、最大の発見になる模様だ。同社が公開した写真では、人の手のひらほどの大きさがある。
ボツワナのマシシ大統領は、原石を手に記者会見し「ダイヤモンドはわれわれのすべてだ。価格はいま厳しい時期だが、ダイヤモンドは変わらず貴重なものだ」と価値を強調した。
今回の発表以前に2番目の大きさと考えられていたのは1109カラットの「レセディ・ラ・ロナ」だった。実はこれも2015年にルカラがカロウェ鉱山で発見されたものだ。発見の2年後には、高級宝飾品を手掛けるグラフに5300万ドル(約80億円)で売却された。
ボツワナは世界有数のダイヤモンド産出国で、2019年には今回と同じ鉱山から1758カラットの原石が発見され、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」に売却された。
ルカラ社によると、これまでに見つかったダイヤのサイズ上位10個のうち6個は同社が発見したものだという。
ルカラ社の発掘効率の良さを後押ししているのは、同社の誇る先進的なハイテクX線装置メガ・ダイヤモンドリカバリー(MDR)と「X線透過(XRT)」技術だ。ダイヤモンドを岩盤からより容易に分離するための新しい掘削技術のおかげでもある。
ダイヤの原石は通常、色や透明度、サイズ、形状に応じて、宝石品質、宝石に近い品質、工業用品質に分類される。史上2番目の巨大ダイヤがどの項目に分類されるのかはまだ不明だ。
未だその記録が破られていない3106カラットのダイヤ「カリナン」は1905年、南アフリカのプレミア鉱山で発見され、「カリナンⅠ」と「カリナンⅡ」に分割され1910年に英国王の王笏と王冠に組み込まれ、現在もそのままだ。
今回の発見された史上2番目の巨大ダイヤは一体、誰の頭上で輝くことになるのだろうか。

最年少17歳が司法試験に合格
合格者数は2年連続1500人超え

法務省は今年の司法試験で、現在の試験制度で最年少となる17歳の合格者がいたことを明らかにした。法務省によると、今年の司法試験には3779人が受験し、このうち1592人が合格した。合格率は42・13%で、男女別の合格者数は、男性が1111人、女性が481人だった。
2024年12月末時点で、合格者の平均年齢は26・9歳で、最高齢は70歳、最年少は17歳だった。17歳での司法試験の合格は、現在の試験制度が開始された2006年以降、最年少となる。現行の司法試験制度に移行して、これまで最年少合格者は18歳だった。
司法試験の受験には、年齢制限がないため、制度としては何歳からでも受験可能だ。
しかし、司法試験の受験資格を得るには、法科大学院を修了するか予備試験に合格して受験資格を取得する必要があるため、早い人でも、10代後半の受験が現実的であるといえよう。
なお10〜20代はじめのころに司法試験に合格するためには、高校生ないし大学1〜2年次に司法試験予備試験に合格する必要がある。
したがって最年少レベルでの司法試験合格を目指すのであれば、大学入学前から司法試験予備校等に通い司法試験予備試験を受験する準備をするのが現実的だ。司法試験の受験資格である「予備試験合格」もしくは「法科大学院修了(修了見込みも含む)」を満たしている人であれば、受験が可能だ。
司法試験予備試験に関しても、司法試験と同様、年齢制限も受験資格による制限はなく、誰でも受験可能な試験になっている。
いかに早く予備試験を突破するかが、司法試験の早期合格の鍵といえる。
法務省によると現行の司法試験制度に移行してからの最高齢合格者は71歳となっている。
例年の最高齢合格者は60代後半が多くなっている。
このように高齢で合格するのは退職後もしくは働きながら勉強を継続して、法科大学院に入学しもしくは司法試験予備試験に合格して司法試験を受験する人が多い。
このように第二の人生として法曹を選択される人も多く、法曹への道は幅広く開かれているといえる。

米女性は花束を買った後、そっと店主に手渡し
「本当に必要な人に渡して」と言って立ち去った

アメリカでフラワーショップを営む店主が、インスタグラムで発信したほっこりするエピソードが感動の輪を広げている。
店主のエミリーさんは、いつものように店で働いていた。
すると店を訪れた女性客が花束を購入。お金を支払った後、その花束をエミリーさんに渡し、こう依頼した。
「この花束を、誰か本当に必要としている方に渡してもらえませんか?」
隣の店の店員もこのやり取りを聞いていた。女性が店を去ったのち、2人は彼女の見知らぬ人への思いやりに感動し顔を見合わせた。
そしてエミリーさんが「一体、誰に渡せばいいものだろうか」と尋ねると、その店員は「その時がくればきっと分かるよ」と答えたという。
なるほど、焦ることはないとエミリーさんは悟ったが、花の命は長くはない。
するとその日の夕暮れ、エミリーさんが店じまいのため、かたづけ仕事をしていると、駆け込むように急ぎ足で女性客が来店してきた。
そして「葬儀用の花束をお願いします」と依頼した。女性は義理の姉妹が先日、乳がんで亡くなったと打ち明けた。
その瞬間の気持ちをエミリーさんはこう語る。
「まるで電球がパッと光ったような感覚でした。
『この女性こそ、1日中、待っていた花束を渡す相手なんだ』とすぐに理解できました」
この感動的なエピソードはネットで拡散、多くの人々の心を揺さぶった。
いい香りを放ち美しい花はそれだけで、人の心を和ませる。その花を自分のためにでも家族や友人のためにでもなく、見ず知らずのただ「必要な人に渡して」と言って代金を払うアメリカ人がいるということ自体に感動を覚える。
自由社会のアメリカは、それがゆえに過酷な競争を強いられる社会だ。そのためには競争相手を蹴落としたり、ネガティブ情報をばらまいて弱点を暴き足を引っ張るなど過当競争の負の側面が共同体を分裂させる力になったりする。
一方で、アメリカには深いキリスト教社会の倫理観が根ざしている。キリスト教の本質は、「神を愛するように隣人を愛せよ」という隣人愛だろう。その究極の隣人愛を、花束に込めた女性客の行為にアメリカの底力を感じる。
自己犠牲をいとわず、他者のために心から奉仕する人は社会のコミュニティーの結束を強めるからだ。