日本企業で活躍できない留学生 就職できるのは、3割程度だけ
わが国には現在、30万人の外国人留学生がいる。その中には、東大をはじめとする有名大学や大学院で学ぶエリート人材も目立っている。
それなりに日本への思いが強いはずの外国人留学生が卒業後、いざ日本企業に就職しようとすると結構、高いハードルがある。これまでの外国人留学生たちが日本企業に就職できるのは、3割程度でしかいない。
理由の一つが、留学生を迎える側の企業の要求だ。
日本企業が留学生を迎えたいと思うのは、少子化で単に労働力不足を補いたいというだけでなく、純血主義を壊して世界に通用するダイバーシティー(多様性)を獲得したいという思いもある。異なる文化で育った外国人留学生たちは、今までなかったようなアイデアも出してくる可能性があるからだ。
だが、実際の現場で留学生に求める一番の能力は「通用する日本語」であったりする。優秀な人材が欲しいといいながら、日本語能力を求めるのは企業側の自己矛盾でしかない。
これでは外国生まれの留学生の国際性を仲介役として、世界市場に打ってでるなどといったダイナミックな活用とは程遠い。
何より新型コロナウイルスの世界的流行で、テレワークが増えている中、国内だけでなく海外在住の外国人ワーカーも活用できるチャンスが広がっている。
だが、有能な人材を欲しいと思っていても、求める第一の能力が日本語といったことでは、日本の労働市場に優秀な留学生を迎えるのは難しくなる。
そういう労働事情では、留学生自体も増えるどころか、減少を余儀なくさせられる懸念も生じてくる。
その意味でも、外国人ワーカーには日本型の社員化を求めないことも肝要となる。
また専門性が問われる欧米のジョブ型とは違って、日本型企業はメンバーシップ型といわれる。
まず一定の学力をもつ社員を採用し、専門的な業務は入社後、じっくり企業内で教育したり現場で身に着けるという手法だ。
これはこれでメリットがあり、社員は専門以外にも様々な技術を磨いたり、職種を選択できたりといった仕事の幅が結構広かったりすることで、日本企業の魅力の1つとなっている。
ただ、自分の専門性を生かしたいと思っている欧米系の学生にとってみれば、こうしたメンバーシップ制の日本企業は窮屈でしかない。
その意味では、国際性がありかつイノベーションを起こせる活力ある企業にするためにも、日本型だけでも欧米型だけでもないハイブリッド型のような柔軟な企業形態に進化する必要があるのかもしれない。