記者会見 10・30
永田町ファイル
立憲民主党 枝野幸男代表
経済政策
【記者】経済政策に関して、枝野代表はいつも、消費や需要が押し上げる経済を成長戦略という形で水曜日もおっしゃっているかと思うが、生産・製造・供給といったものが引っ張り上げるというお考えがあるのか。経済調査会、江田さんが会長をやっているところの論点も示されたが、いわゆる成長というのは研究開発、R&Dしか見当たらない。国連方式でいうと10年前までは研究開発はGDPにカウントされなかったものだ。工場が今世紀初めに25万件から20万件に減っており、一つ提案になるが、枝野内閣になったら工場を5万件全国で新設するといったような目標を入れたほうがいいのではないかという考え方は私だけではないかと思うが、いかがか。
【代表】生産側と言われているような分野、つまり供給サイドについてもさまざまな政策が必要であるということは否定いたしません。しかしながら、約30年にわたってこの国はそちらに一辺倒の政策をやってきました。その結果、国際競争で負けて停滞しているわけではありません。国際競争の中では、4%前後の経済成長をしている、この数字は先進国の中では決して低い数字ではないのですね。つまり生産側・供給側の問題で日本の経済が低迷しているのではない。国内の需要が日本経済の6割を占めている、ここが停滞をしているから先進国の中で特に日本だけが停滞を続けている。
したがって、ここのところを相当強調しないと、経済政策というと、この従来もやってきて一定の成果を上げている供給側の問題ばかりが経済政策だという、この刷り込みを変えなければいけないと思っていますので、私は徹底してこの消費力・購買力という点からの経済を訴え続けたいと思っています。
【記者】そうなると、細かいところはいいが、理想とする社会像として、例えば工場のもとで単純労働をするだけで誰でも1億2000万人が食べていける経済というのはイギリス産業革命以降の理想ではないかと思うが、そういった考え方はおとりにならないのか。世の中、高校や大学を出た人ばかりではないが。
【代表】とりません。なぜならば、日本を初めとして先進国の生活水準、別の言い方で言えば賃金水準、それはグローバル化の中で圧倒的に高くなってしまっています。規格大量生産分野では賃金水準の低い新興国との競争に勝ち得ません。したがって、先進国は付加価値の非常に高い、付加価値が高いということは実は少量多品種の分野であったり、あるいは製品の研究開発、大量生産に至る前の段階の部分であったりというところでないと、国際競争では生き残っていけない。この部分の例えば雇用の需要というのは決して大きなものではない。
そうすると、一方で先進国は国内において富が蓄積されているので、国内の消費、内需によって一定の経済を回して成長していくことができる。これのバランスといいますか、国内の特にサービス化された内需が一定程度のベースを支えながら国際競争をしていく。これが日本だけ実は先進国の中で内需が停滞を続けるということで成り立っていない。やはりそこを変えない限りは日本の経済は成り立たないと思っています。
【記者】人事的な話になるが、おそらくきょう社会保障調査会が党で始まるのではないかと思うが、慶応大学の井手英策教授が、ベーシックサービス、社会保障調査会のほうで講師として見えるかと思う。代表は人選にはかかわっていないかもしれないが、井手教授は社会保障専門のほうに移っていただいたという形でよろしいか。
【代表】私自身、井手先生が従来からおっしゃっている社会保障分野の普遍主義であるとか現物給付を中心にするべきだという考え方は、もう十年来、私もそう思っておりますので、そうした意味では西村調査会長も同じ問題意識で最初の講師としてお招きされたのではないかと思っています。
【記者】代表質問の後に「ニュースウオッチ9」に出演され、ベーシックサービスの財源として、新たな開発型の大型公共事業は投資に見合った効果が出ていない、むしろ社会保障などの人件費に充てたほうが経済波及効果が大きいのは常識ということで、こうしたところの予算に転換していくとおっしゃったと思う。ここの部分を聞いていて、昔の「コンクリートから人へ」といったことも想起されたが、改めて財源的にどう変えていって代表がおっしゃるような社会をつくっていきたいか伺いたい。
【代表】短い時間の番組でして、1分以内で話してくれということをNHKさんから言われていましたので一例を挙げましたが、例えば我々は既に税体系全体の見直しをして、法人税も所得税も累進的な要素を強化していくというようなことも申し上げています。こうしたことを全体としてパッケージで、そして財源を確保できたところから充実をさせていくということを堅実着実に進めていきたいと思っています。
【記者】コロナウイルス感染者が欧米で再び増加していることについて伺いたい。第2波の感染者は第1波よりも数倍と言われており、再度ロックダウンに入った国々もある。日本政府は欧米諸国がそういう状況にありながら五輪開催前提で渡航規制緩和などを行っているが、野党のリーダーとしてこのような状況をどうお考えか伺いたい。
【代表】我が国においてもじわじわと感染が拡大する状況にあります。さらにPCR検査などを拡大させるべきだし、また、特にいわゆる濃厚接触者等以外の方に、状況状況、立場立場において、もうちょっと低廉に簡易にPCR検査を受けられるような状況をつくっていかなければならないと思っています。