記者会見 10・3

霞ヶ関ファイル

河野太郎防衛相

少年法の改正 10・3

【大臣】今朝の閣議において、法務省案件はございませんでした。続いて、私から3件御報告がございます。

 まず1件目は、法制審議会の答申についてです。昨日、法制審議会の総会が開催され、罪を犯した18歳及び19歳の者の刑事司法制度上の取扱い及び犯罪者処遇を一層充実させるための法整備等の在り方についての答申を頂きました。

 この答申は、多岐にわたる事項について、幅広い観点から十分な調査審議を尽くしていただいた上で、総会において、全会一致で取りまとめられたものであり、大変重く受け止めています。

 法務省としては、今後、この答申を踏まえて、できるだけ速やかに必要な制度・施策を更に検討し、法律案の提出に向けて、所要の作業を進めてまいりたいと考えています。

 次に2件目は、医療用ガウンの目標値120万着の縫製が完了したことについてです。

 厚生労働省からの依頼を受けて、本年5月中旬から、10月末までに約120万着の縫製を目標として42庁の刑務所で医療用ガウンを製作してきました。先般、矯正職員及び作業に従事する受刑者の努力によって、計画どおり全ての医療用ガウンの縫製を終え、これを各自治体にお渡しすることができました。

 また、関係する矯正職員の技術指導によって、受刑者の技能が向上し、原材料を効率的に使用したことで、約16万着の増産が可能となったことから、今後も、引き続き縫製を行い、全ての都道府県にガウンをお渡しすることを計画しています。

 迅速に社会のニーズに応える刑務所の取り組みに対して、自治体や医療関係者などから多くの感謝の言葉をいただいております。

 私も、大阪刑務所と岐阜刑務所において、実際に作業を行っている様子を目にしました。受刑者にとっても、医療用ガウンの生産に従事することで、社会に一定の貢献をしているという実感を持つことができ、改善更生に必ず役立つものと感じた次第です。

 法務省としては、今後も新型コロナウイルス感染症の早期収束化に向け、社会貢献活動にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に3件目として、法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況について申し上げます。

 10月23日(金曜日)から昨日までの1週間に、東京出入国在留管理局の職員1名の感染が判明しております。詳細は既に公表されているとおりです。

 なお、被収容者の感染判明はございませんでした。

法制審議会答申

【記者】大臣から冒頭御発言がありました法制審からの少年法の答申の関係ですが、これに関する所感と法案提出のスケジュールを改めてお願いいたします。

【大臣】法制審議会の答申は、18歳及び19歳の者が、選挙権等を付与され、民法上も成年として位置付けられるに至った一方で、いまだ十分に成熟しておらず、可塑性を有する存在であることに鑑み、これらの者にふさわしい刑事司法制度の在り方を示したものであると承知しております。

 冒頭に申し上げましたとおり、この答申は、幅広い観点から十分な調査審議を尽くしていただいた上で、総会において、全会一致で取りまとめられたものであり、大変重く受け止めております。

 法務省としては、法制審議会の答申を踏まえて、所要の作業を進め、できる限り速やかに国会に法律案を提出してまいりたいと考えております。

被疑者引渡し

【記者】アメリカの国務省が、マイケル・テイラー容疑者親子の日本への引渡しを承認したのですが、大臣の受け止めと、送還の時期はいつぐらいを予定していらっしゃるのかお伺いしたいです。

【大臣】お尋ねの件につきましては、個別事件の捜査に関わる事柄でありまして、また、米国における手続に関わる事柄ということでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

資産公開に関する質疑について

【記者】国務省の方で、実際に承認したというドキュメントのようなものも出しているので、確実にそういう決断はなされているのですが、それに対しては何も受け止めはないということですか。

【大臣】様々な状況があるということについては、報道もございまして承知をしているところですが、個別案件であるということ、また、米国における手続に関する事柄であるということでもございますので、重ねてではございますが、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

【記者】国務大臣等の資産公開がありましたが、資産公開制度に関する大臣のお考えと、御自身の資産内容についての所感をお願いいたします。

【大臣】資産公開制度につきましては、公職にある者としての清廉さを保持・促進し、行政への国民の信頼を確保し、行政の円滑な運営に資することを目的とするものと理解をしているところです。

 したがいまして、資産公開制度には、透明性をしっかりと維持しながら、不透明な財産を作るようなことがないようにするという意義があるものと考えております。

 これまでの資産公開でも正確な報告を心がけてまいりましたが、今回の資産公開におきましても、ありのままの資産状況を報告させていただいた次第でございます。

女性の人権ホットライン 11・6

【記者】「女性の人権ホットライン」についてお伺いしたいのですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、女性に対する暴力、DVが増えたといった指摘もあるかと思いますが、そういった現状も踏まえて、ホットラインをどう活用していただきたいのかという意気込みをお聞かせください。

【大臣】今、御指摘がありました新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景とするものも含めまして、一切の暴力やハラスメントは、絶対にあってはならないものと認識しております。

「女性の人権ホットライン」では、日々、夫から暴力、これは言葉の暴力を含むわけですが、これを受けているとか、職場でセクハラを受けている、ストーカー行為を受けている、知り合いの若い女性がAV出演強要の被害に遭ったなどの様々な相談にしっかりと応じているところでございます。

 また、最近では、インターネット上で誹謗・中傷を受けている、新型コロナウイルス感染症との関連で医療従事者であることを理由にサービスの提供を断られたといった相談も寄せられているところでございます。悩みを抱える女性の方々を一人でも多く救えるよう努めてまいります。

逆送の範囲拡大は妥当

記者コラム

 少年法の改正について、法制審議会の要綱答申は2022年4月、民法上の成人年齢が18歳に引き下げられるのに伴い、同法の適用年齢も20歳未満から引き下げるかどうかが焦点だった。成人年齢に合わせるのが分かりやすいが、しかし社会制度を変えることはできても、人間の成長過程や社会通念はそう簡単には変わらない。したがって、18、19歳でもまだ「成長発達途上」と見るべきであろう。

 だが、答申が家庭裁判所から検察官送致(逆送)になる対象事件を、法定刑の下限が1年以上の懲役や強制性交、放火などの罪に拡大したのは妥当である。それは厳罰化というよりも、未成年とはいえ、年齢に応じた責任の取らせ方として、もともと甘かったのだ。現行法が原則逆送の対象としているのは16歳以上で、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件に限定している。

 少年法の適応年齢について、自民・公明両党は7月末、「20歳未満維持」で合意している。18、19歳はまだ社会に適応できる年齢で、立ち直る機会を与えることの重要性を考えればこれも当然だろう。

 結局、成人年齢の引き下げに伴う少年法改正は、適用年齢を20歳未満に維持しながら、逆送の対象を拡大することで落ち着きそうだ。