韓国で「検察の反乱」法相強権発動に反発
韓国で強権発動の法相に、現役検事300人以上が反旗を翻す「検察反乱」が勃発した。
疑惑のデパートといわれるほど様々な疑惑を抱える秋美愛法相の強権発動とは、目障りな尹錫悦検事総長を露骨に排除しようと企てたことだ。
この一方的強権発動を実名で批判した検事を、秋法相は頭ごなしに攻撃。正義感にかられ立ち上がったこの検事を守る形で、同僚検事ら300人以上が検事支持を表明した。
政府の思惑に沿った捜査を無理強いしてきた文在寅政権にレッドカードを突き付けた恰好だ。
秋法相による、事件捜査の指揮から尹氏を外す捜査指揮権の行使や、大統領府の元高官らが絡む事件の捜査をしてきた検察幹部らを相次ぎ左遷した人事に、堪忍袋の緒が切れたとされる。
ちなみに検事を統括する尹氏はこのほど、検察の部内向けの講演で、「国民が望む真の検察改革は、生きた権力の不正を、顔色をうかがわずに公平に捜査すること」だと力説した。文政権の不正に真正面から立ち向かう姿勢には土性骨が入っている。
一方の秋法相は今年1月、スキャンダル辞任した前法相の後任として文大統領から要請を受け、就任した。まもなく就任後、1年を迎える。秋法相がそもそも政治家になったのは、光州高等法院に勤務していた1995年、新政治国民会議総裁であった金大中から入党を要請され政界入りした。その前は、法院判事として各地の法院で勤務していた法曹畑の人物だ。
その意味では政治家にかけられた法の縛りを熟知しているはずだが、その枠を飛び越えての強権発動疑惑に秋法相の強引さが透けて見える。
韓国の政局は現在、1年3カ月後に迫った2022年3月の大統領選挙に向け大きく動き始めている。手始めに来年4月のソウル、釜山の両市長選が前哨戦となる。
韓国の歴代政権は、レイムダック化する任期最後で苦境に追い込まれてきた。文政権もその予兆が現れ始めている。極左グループに迎合する強権統治型政権への反動として不満のマグマはどんどん蓄積されてきた。それがいつ爆発する水準にまで達するのかじっくり推移を見守る必要がある。