沖縄銀行糾弾第5弾 本誌特報取材班

追求するのは自己利益のみ?

㈱沖縄債権回収サービスの暴走

前述の通り、那覇地方検察庁へ提出した告訴状は令和2年12月25日、告訴受理に至った。
それを受け沖縄銀行は同日、突如として久米仙酒造の債権を根抵当権ごと㈱沖縄債権回収サービスへ売却。いわゆる一般的に債権飛ばしという暴挙に打って出た。
その沖縄銀行が株主でもある沖縄債権回収サービスは、その後半年間音沙汰がなかった。やっと常勤顧問のT氏や上席調査役・弁護士のM氏、ソリューションビジネス部のY氏などとの話し合いが持たれたのは昨年7月のことだった。
その時の話では、久米仙酒造は債務超過の状況ではあるものの、コロナ禍の中においても売り上げは年々伸びており、企業再生の価値があるとの判断ができることから、共に再生の道を探していこうとの内容だった。
また同月、沖縄債権回収サービスからは沖縄振興開発金融公庫、沖縄信用保証協会を伴い、事業再生案の基本的枠組み(1〜5)が提示された。何とこれが、沖縄銀行と全く同じ手法であった。
1、中小企業支援協議会の利用(他公的機関活用)
2、一定額の債務免除
(公庫及び保証協会の場合、支援協スキームでなければ債務免除は困難)
3、株主責任→全株式の譲渡
(事前に確約書や覚書が必要)
4、経営者責任
5、新たな取引金融機関の確保
さらに、突如としてサービサー・ソリューションビジネス部のS氏より債権返済を開始してほしい旨連絡が入り、支払いを始めるに至った。
ただ、この返済項目は元金に対するものではなく元金、金利、損害金に充当するという話であった。これでは全く、サービサー業務というものではなく、まるでマチ金手法ではないか。
前記沖縄債権回収サービスの提示には以下のような計画が読み取れる。
(ア) 再生支援協議会において、企業再生という名目で、債権を約2億円程度に圧縮。
(これは再生企業にとって、一見ありがたい計画に見える)
(イ)2億円の債権を債務者で按分
現状の債権額 元金ベース
㈱沖縄債権回収サービス   5億円
80・5%
沖縄信用保証協会   4900万円
7・9%
沖縄振興開発金融公庫 7200万円
11・6%
按分比率で沖縄債権回収サービスの取り分は 約1億6100万円となる。
(ウ)沖縄債権回収サービスの取り分は債務の30%以上となり、通常のサービサー案件を大きく上回る計画となる。
(エ)さらに2億円の債務に関しても企業を再生するためには早期の解消が必要になるとのアドバイスの元、年内での2億円を肩代わりする出資者を探すことを求められる。
久米仙酒造を窮境の状況にした元株主、元経営者はすでに退任しており、現株主は会社を引き受け10年以上も久米仙酒造の事業再生に尽力している。
前述の沖縄債権回収サービスの話でも、久米仙酒造は企業再生の価値があるとの判断ができることから、共に再生の道を探していこうとの内容だったにもかかわらず、令和3年12月21日の沖縄振興開発金融公庫、沖縄信用保証協会、沖縄債権回収サービス、久米仙酒造との事業再生バンクミーティングでは常勤顧問T氏が意気揚々に指揮を取り、株主外しを一方的に推し進めた。
その場で当方が公庫、保証協会に内容を確認すると全く違う意見が飛び出し、筋書きと違う展開で話が真逆となり、整合性とまとまりに欠けたことを思い起こす。
例えば当時、役員だった現代表の経営者責任を問わないのかとの問いに対し、リアルに再生に尽力している代表に対し経営者責任を問わないと3社から回答があった。その他、株主責任を問わないやり方もあるのではないか等という意見も出た。
この会社の事業再生に大きく貢献している現株主の責任を追及し退陣を求め、新たな株主に託すことは本当に事業再生を考えての条件提示なのか、本末転倒ではないかと疑ってしまう。
ましてや企業再生に必要なニューマネーを担保する算段もされていないのだ。
久米仙酒造が今まで時間をかけて返済、信頼関係を築いてきた金融公庫、保証協会に対し、沖縄債権回収サービスが取りまとめ、一方的に株主を排除し、自らの収益を企む前例のない手法は、刑事告訴が受理された沖縄銀行より酷いやり方ではないかと、ふつふつと義憤すら込み上げてくる。
沖縄債権回収サービス及び担当の常勤顧問T氏は本来のサービサー業務の本質を忘れ、自らの利益追求に走っているだけではないか。国民経済の健全な発展に資することが本業であるはずなのに、その基本からの逸脱を危惧する。

次号に続く(本誌特報取材班)