「ひょうたんなまず」
俳句・川柳7月号
「平和」「テーマ自由」
俳句
天
青空や 平和と言える 雲の旅
(秋田市) 大村 達之
(世界ではロシアによるウクライナ侵攻の悲劇が展開されている。どうして平和になれないのか。雲はそれをどう見つめているのだろうか)
地
蝶もまた 旅する乙女 空に消ゆ
(鎌倉市) 太田 忍
(かつては田畑に群れていた蝶たちは今はあまり見かけない。そんな中、蝶はどこへ行くのか、いつの間にか青空にふっと消えてしまう)
人
摩崖仏 目鼻が消えて 青嵐
(大分市) 小野 紀一郎
(崖などに彫られた摩崖仏は、時の洗礼によって鼻が欠け、眼も摩滅して表情がわからない。だが、そこに信心した人々の思いが残っているというのだ)
【佳作】
ふるさとや 盆地の夏が 遠くなる
(東京都) 大原 美由紀
(ふるさとの盆地は夏は暑く、そして冬は寒い)
宇宙には 恋する星の 花火かな
(東京都) 池谷 譲
(大宇宙のドラマだろうか)
鯉と鯉 跳ねて静まる 大都会
(横浜市) 影村 菊人
(生き物の気配はかえって孤独を呼ぶ)
夏の影 いのちの鼓動 あふれけり
(長野市) 大久保 伸治郎
(季節の中で夏は旺盛な生命力に満ちている)
川 柳
天
あんた誰 ボケのつもりが 即入院
(東京都) わしゃ正気じゃ
(TPOを考えないと、本人はボケてるつもりでも、今はそう受け取られないことが少なくない。お互い気をつけましょうね)
地
平和なり おやじおふくろ またケンカ
(大阪市) つっこみの息子
(仲良きことは良きかな、といったのはある文豪だったけれど、ケンカするほど仲がいいという言葉もあるよ)
人
どうするの? スマホの操作 孫に聞く
(静岡市) うんざりされて孫が来ない
(老いては子に従え、という言葉もあるけれど、その子どもがウザがって教えてくれない。何度も聞くので孫も逃げちゃった!)
【佳作】
セルフレジ ババアがん見し 押し間違う
(東京都) かんべんして
(見られると間違えるよね)
禿げ頭 足腰弱り 鏡見る
(福岡市) 高齢者は寂しい
(同病相憐れむのである)
老け顔に 勝ったつもりの ズーム会議
(札幌市) 知らぬは自分
(自分の顔も相手に見られているぞ)
マスク顔 誰もかれもが 宇宙人
(青森市) 不気味な時代
(そういえば、そうですな)
【応募要項】来月のお題「散歩」
あなたの俳句・川柳をお寄せ下さい。お題に添ったものでなくても結構です。自作未発表のものをはがき1枚に3句程度まで。住所・氏名(ペンネームの場合は本名も)・年齢・電話番号明記の上で、ご投句願います。投句は返却しません。二重投稿厳禁。天・地・人の句には薄謝ないし粗品を贈らせていただきます。締め切りは毎月末。
住所 〒101─0052 東京都千代田区神田小川町3─7─16 報道ビル6F 「新政界往来」ひようたんなまず係まで。