霞ヶ関ファイル
記者会見 10・3
永岡桂子文科相
教員採用試験の早期化
【大臣】冒頭、私からは4件ございます。
まず1件目でございます。10月1日に、栃木県で開催されます第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」総合開会式に出席をしてまいりました。天皇皇后両陛下のご臨席のもとに開催されました総合開会式では、大会に参加をいたします選手の皆さんを激励するとともに、本当に、開催の準備に取り組んでいただきました栃木県民の皆さま方に、感謝を申し上げてまいりました。国体は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響でございまして、実に3年ぶりの開催となります。選手の皆さま方が、本当に、日頃の練習の鍛錬の成果、これを発揮されまして、大いに活躍されることをですね、期待するとともに、また、本大会が実り多いものになることを祈っている次第でございます。
2件目でございます。昨日、京都で開催されました第19回のSTSフォーラム年次総会に出席をいたしました。本会合には、岸田総理もご出席をいただいたところでございます。私は、「学際研究の効果的な実施」をテーマとするセッションにおきまして、我が国の科学技術・イノベーション基本法の改正に伴う、自然科学のみならずですね、人文・社会科学も含めた多様な「知」の融合である「総合知」の創出とその活用に関する文部科学省の取り組みについて講演をいたしました。そして、各国の有識者の皆さま方と意見交換をさせていただいたところでございます。また、加えまして、欧州委員会イノベーション・研究・教育・文化・青少年担当の欧州委員、それから、米国の国立科学財団の長官、そして、南アフリカ高等教育・科学技術・革新大臣と各国要人との会談を行いまして、科学技術の現状ですとか今後の協力についての意見交換を行いました。また、STSフォーラムのような国際会議が日本で開催されるということは大変意義が極めて大きくて、引き続きまして、このような場をですね、活用いたしまして、我が国の科学技術外交、これを一層推進してまいりたいと考えているところでございます。
3件目でございます。文化庁所管の日本芸術文化振興会では、伝統芸能の保存振興のために、歌舞伎や文楽、能楽の担い手を養成する研修プログラムを実施をしております。現在、舞台に立っている方の中にもですね、このプログラムの修了者の方が大勢いらっしゃいます。伝統芸能の継承に大変重要な役割を果たしているというプログラムでございます。このプログラムにおきまして、本日より歌舞伎俳優と文楽研修生の募集を開始いたしました。今年はですね、歌舞伎、文楽、能楽の3分野で募集を行ってまいります。国といたしましても、我が国が誇ります伝統芸能の普及と、そして継承に努めておりまして、意欲のある方にぜひとも応募いただきたいと思っている次第です。この後ですね、事務方の方から募集案内をお配りいたしますので、メディアの皆さま方におかれましても、報道を通じてご協力をいただければ幸いと思っているところでございます。
4件目でございます。若田光一宇宙飛行士が搭乗いたします米国のクルードラゴン宇宙船、これ5号機になりますが、国際宇宙ステーションに向けた打上げが、日本時間の10月6日午前1時に予定されております。若田宇宙飛行士は、ご自身5回目の宇宙飛行、3回目のISSでの長期滞在となります。長期滞在中には、健康寿命につながりますライフサイエンス系研究や無重力環境を利用した材料実験などのミッションに取り組む予定と承知をしております。若田宇宙飛行士と搭乗員の皆さまの無事の打上げ、これを祈念するとともに、若田宇宙飛行士には、宇宙飛行士を目指す方の目標にもなるような、素晴らしい成果を上げられることを期待しているところでございます。私の方からは以上でございます。
【記者】教員採用試験に関連してお尋ねします。大臣は、先週、教員採用試験の早期化に向けて協議会を設ける考えを示されました。その狙いと問題認識をお聞かせください。また、早期化の実現には教育委員会との連携が不可欠ですけれども、どのように進めていこうとされているのか、その辺もお尋ねします。
【大臣】先日、29日でございますが、都道府県、そして指定都市教育委員会と、それから教育長ですね、教育長さんと一緒の会議をオンラインで開催をいたしました。その中で特に教員採用選考につきましては、試験の早期化、また、複数回ですね、実施をしていただいて、また、その試験も通年にわたる採用などに向けた具体的な検討を行うために、文部科学省と教育委員会等の関係団体から成ります協議会を立ち上げたいとお伝えを申し上げました。で、この背景といたしまして、近年、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率、これが低下傾向にございます。そして、昨年度実施されました試験の採用倍率というのは、文部科学省の調査におきまして、総計及び小学校の採用倍率が実は過去最低となっていることなどがございます。また、現在の教員採用の選考、これは、概ね7月に筆記試験、8月に面接、9月・10月には合格・採用内定というスケジュールになっております。民間企業の採用活動というのは、また、一般の地方公務員もそうなんですけれども、やはり、採用試験等が教員より早く行われるということから、教員志願者の一部はですね、民間企業や他の公務員に流れていると、そういう指摘がございました。こうした状況におきまして、協議会では、各教育委員会や大学と連携・協力しながらですね、教員採用試験の早期化などにつきまして具体的な動きにつきましてつなげていければというふうに思っている次第です。大事なのは、やはり日本全体で教師を目指してもらう方々の数を増やして、そして、質を高めていくということがございます。限られた志願者を奪い合うというのではなくて、やはり、教師を目指すことを諦めてしまう方々をですね、再び教師を目指してもらうように、こう振り向いてもらうような、そういう新たな教師を目指す方々を増やすことだと考えている次第です。
【記者】国内の大学が保管する入手経路、時代が不明の人骨試料についてお伺いしたいと思います。教育や研究用に保管されている試料ですけれども、中には盗掘などの不正な方法で入手された疑いのある遺骨もあります。文科省はアイヌ民族については調査しておりますが、それ以外の人骨については調査をしておりません。海外の先住民族のものなども含めて、今後、アイヌ以外を調査するお考えはあるかどうか、また、もししない場合でしたら、その理由をお聞かせいただければと思います。
【大臣】日本の大学が保管します遺骨につきましては、他国の先住民のね、方々のご遺骨も含めまして、その入手経路や権利関係というのがそれぞれ異なるというふうに考えられます。基本的に、各大学におきまして、個別に検討していただく、そして、対応していただくものと考えます。また、大学の方からお問い合わせがきましたらばそれに協力をしないということはございませんが、今のところは、各大学におきまして、個別に検討し対応していただくというふうに思っております。
【記者】同じテーマでもう1点、お願いします。この、各大学に所有権があるものというのも考えとしては理解できるんですが、古い話ですけれども、入手の際に、当時、帝国大学であったところは、公金で盗掘した遺骨を購入したりした例もありました。現在も大学を指導・監督する立場としてですね、そういった倫理上問題のある遺骨が大学の総本山にあるという状況を、どのように、責任などですね、お考えでしょうか。
【大臣】今お話いただきましたそれぞれの大学では、やはり遺骨の入手経路ですとか権利関係というのは、それぞれ異なるというふうに考えております。基本的にはですね、各大学におきまして個別に検討し、また、対応していただくものが基本的だというふうに考えております。
【記者】最初の質問にあった教員採用試験の早期化ですが、協議会の立ち上げということなんですけれども、いつ頃を目処に立ち上げられるお考えなのか。また、どのくらいの期間協議されて、実際に早期化とか複線化というのがいつ頃から実施するような見通しをお考えなのか、伺えますでしょうか。
【大臣】これは、すぐに結論を出して、すぐにというわけには、今の時期まいりませんので、それぞれ来年度にはしっかりと協議をいたしまして、スタートは、今年10月からやります。それで、やはり、まとめるとなると時間がかかりますし、また、試験のこともあります。そうすると、やはり、周りの方々との調整ですね、これが時間がかかるということなので、今年やる来年やるということでは、今年は無理です、来年やるということではなくて、やはり、早ければ、2024年度に行われるように頑張ってまいりたいと思っております。