霞ヶ関ファイル

記者会見 10・3

浜田靖一防衛防衛相

対比防衛装備協力

【大臣】2020年に、フィリピン国防省と三菱電機の間で警戒管制レーダー4基を、約1億ドルで納入する契約が成立しておりました。今般、1基目のレーダーの国内製造が完了し、今後、フィリピンに向けて移転してまいります。また、本移転事業に伴い、10月4日から、航空自衛隊の教育課程にフィリピン空軍の要員を受け入れ、レーダーに関する教育を実施いたします。わが国にとってフィリピンは、共通の理念と目標を有する戦略的パートナーであり、フィリピンとの防衛装備協力を推進することは、わが国及び地域の平和と安定の確保においても重要であります。先日、ファウスティーノ国防大臣代行との間で一致したとおり、引き続き両国間での連携を強化してまいります。

【記者】北朝鮮による4回に及ぶ一連の弾道ミサイルの発射について、弾種など新たに分析が進んだ点があればお聞かせください。また、週末に米国、オーストラリアとの防衛相会談がありました。これを踏まえて、今後どう対処していくかについてもお聞かせください。

【大臣】北朝鮮が9月25日以降、4回にわたって発射した弾道ミサイルについては、これまでに発表したとおりであり、これ以上の発表事項はありません。既に発表したこと以上の詳細については現在分析中であります。北朝鮮は、特に今年に入ってから、かつてない高い頻度で、かつ新たな態様でのミサイル発射を繰り返しております。一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認できません。先日の日米豪防衛相会談において、冒頭の発言においても私から、北朝鮮の核・ミサイル関連技術の著しい発展について懸念を表明したところであります。防衛省としては、引き続き関連情報の収集と分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいります。また、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意であります。

【記者】先日始まった「国力としての防衛力について考える有識者会議」についてお伺いいたします。会議ではですね、NATO基準も参考にした他省庁の取組も含めた新たな予算の算定基準についても大きなテーマになる見通しです。有識者からはですね、純粋な防衛費だけの予算で考えるべきだという意見はなかったとのことですけれども、大臣としては、防衛省単独の予算の増額も求めていきたい考えでしょうか。そのあたりの所見をお聞かせください。

【大臣】NATOという民主主義国家の集まりが、安全保障環境を維持するために各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点で、NATO定義に基づく対GDP比は指標として一定の意味があると考えておりますが、いずれにせよ、わが国の防衛費の内容や規模等については、新たな国家安全保障戦略等の策定や今後の予算編成過程において検討してまいります。他省庁の取り組みや経済財政の在り方については、今後とも有識者からご意見を聞いていくものと承知しており、現時点において私からコメントを述べることは差し控えますが、いずれにせよ、防衛省としては、総理も述べられているとおり、わが国の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化していく考えであり、防衛力を抜本的強化するため、必要な予算をしっかり確保していく考えであります。

【記者】先日の会見で、陸上自衛隊のオスプレイの訓練について「沖縄県内で現時点で行う具体的な計画はない」というお答えいただいたんですけれども、今後そういった計画が出てくる可能性であったり、防衛上必要があるかどうかという
点についてどうお考えか教えてください。

【大臣】陸自オスプレイによる訓練については、様々な検討を行っているところでありますが、現時点において、沖縄において陸自オスプレイを使用する訓練を実施する具体的な計画はないということは、先日の記者会見でも申し上げたところであります。その上で、沖縄において陸自オスプレイを使用する訓練の今後の可能性について予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきます。なお、オスプレイについては、その高い能力を活かして、島嶼防衛のみならず、離島における急患空輸や災害対処においても、極めて有効な装備品であることから、必要な訓練については安全に万全を期した上で、しっかりと実施しているところであります。

【記者】2問お伺いいたします。週末に行われました日米豪防衛相会談ですけれども、防衛省の貼り出しによりますと、3カ国の協力を進めていくということで、共同訓練や防衛装備・技術移転の促進などを挙げていました。大臣として具体的にどういうふうにですね、これから協力を深化させていきたいか考えをお願いいたします。

【大臣】今回の日米豪防衛相会談では、高い水準で戦略認識を共有するとともに、インド・太平洋地域の平和と安定のために、日米豪3カ国の防衛協力を引き続き強化することで一致いたしました。具体的には、3カ国による共同訓練や活動の拡大、強化することや防衛装備・技術協力を促進すること、情報交換を効果的に実施することを確認しており、これらを通じて、日米豪の協力関係を強化してまいりたいと思います。

【記者】あと、別件なんですけれども、冒頭ご発言ありましたフィリピンに関するレーダーに関してですけれども、2014年に現在の装備移転3原則ができてからですね、完成品の輸出としては初めての事例になると思うんですけれども、これから装備移転を加速させていくために、大臣が必要と考えるようなことがありましたらお願いします。

【大臣】フィリピンへの警戒管制レーダーの移転についてはですね、2020年8月に、フィリピン国防省と三菱電機の間で、同社製管制レーダー4基を約1億ドルで調達するための契約が締結されております。今般、フィリピン空軍向けの1基目のレーダーについて、製造企業である三菱電機において、輸出前検査がフィリピン空軍担当者立ち合いのもとで実施され、製造が完了いたしました。引き続きこの移転が円滑に実現するように、フィリピン国防省や三菱電機と連携してまいりたいというふうに思っています。そしてですね、今後、教育内容について、航空自衛隊の第1術科学校とですね、第5術科学校で行われるレーダー器材の装備に関する課程や航空警戒管制に関する課程に参加し、空自隊員とともに教育を受講することであります。そしてまた、我々のこの全体についてはですね、3文書の策定の過程でですね、しっかり検討してまいりたいというふうに思っています。

【記者】鹿児島県馬毛島へのFCLP移転計画で2点お伺いします。1点目なんですけれども、先日、西之表市議会は馬毛島内の市有地売却と市道廃止の議案を可決したんですけれども、賛否1票差ということでしたが、このことへの受け止めをお願いします。

【大臣】ご指摘の市有地の売却及び市道の廃止に関して八板西之表市長が提出した3議案が、9月30日、西之表市議会において可決されました。これは、安定的に機能する馬毛島基地の実現に必要なものであり、西之表市が、一体となって実現させてくださったことは大変有難いものであると受け止めております。この度、馬毛島における施設整備にかかる防衛省の要望に対して、このような形でご理解をいただくことができました。今後も、住民の期待に応え不安を解消するための措置を積極的に講じ、西之表市とより緊密に意思疎通を図りながら、施設整備を進めていきたいと考えております。

【記者】2点目なんですけれども、市議会では可決された後にですね、市長の問責決議案が提出されました。これは否決されたんですけれども、こういう形で地元ではちょっと混乱が続いている状況なんですが、防衛省すでに再編関連特定防衛施設として馬毛島基地を指定されたわけですが、このような地元の状況というのはどのようにみてらっしゃるか、地元理解ということについて、もう理解すでに得られたというふうにお考えでしょうか。

【大臣】今回の議決は、市議会としての必要なプロセスを踏まえた上でのご判断であると承知をしております。市長が提出した3議案を議会が可決するという一連の動きは、馬毛島における施設整備に関して防衛省が要望する内容を西之表市が一体となって実現させてくださったものであり、大変有り難いものであると受け止めております。いずれにしても、今後とも、防衛省としては、住民の期待に応え不安を解消するための措置を積極的に講じ、西之表市とより緊密に意思疎通を図りながら、施設整備を進めてまいりたいと考えております。