永田町ファイル
記者会見 11・19
森山裕幹事長
補正予算
【森山幹事長】役員連絡会の概要ですが、以下は私からの報告です。首班指名において、無事に石破総理を選出し、先週、特別国会が閉会となりました。改めて感謝申し上げます。今後、政府や各党ともしっかり連携しながら、経済対策を取りまとめ、臨時国会に向けて、速やかに 補正予算の議論を行っていきたいと考えています。
名古屋市長選の投開票日まで5日となりました。わが党は、前参院議員の大塚耕平候補を推薦しています。必勝に向け、党として最後まで全力で取り組みたい。
小野寺政調会長からは、経済対策については、先週、2回の政調全体会議、4時間に及ぶ議論を行い、他党との調整を含め、取り扱いを私にご一任いただきました。国民民主党とは11月8日以来、昨日までに、政調会長間や、公明党を加えた3党の枠組みなど、計5回にわたって協議を行い、かなり論点も絞られてきています。今年中の補正予算成立のためには、残された時間も限られていますので、早期合意に向けて、引き続き努力していきます。
自民、公明、国民の合意が整った段階で、政府側から与党に対して経済対策の最終案が示されることになります。その際は、速やかに政調審議会で審査を行い、了承した場合には総務会にお諮りしたいという発言がありました。
【記者】政治改革に関連して2点、お尋ねします。今朝の二幹二国で、森山幹事長から野党各党に対して政党間協議を呼び掛ける方針で合意したというブリーフィングがありました。立憲、維新、国民、共産、れいわに呼び掛けるということですが、この狙いについて教えてください。また、野党側が求めている企業団体献金の廃止について幹事長のお考えは。
【幹事長】今朝の公明党との二幹二国で、各党にも呼び掛けて政治改革の方向性を明確にすることは大事ではないかということでしたので、各党にお願いをしてみたいと考えています。あと、企業団体献金については、企業団体も社会を構成する一員であり、個人と同様に憲法で保障されている、政治活動の自由が認められているというのは一般的な法の解釈ではないかなと思います。従いまして、企業が個別企業の利益のためではなくて民主主義の健全な発展やSDGsへの取り組みなど、社会貢献の一環として自主的な判断で献金を行うことまで妨げるものではないのではないかと考えています。
【記者】旧文通費について2点お伺いします。まず、調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の改革について、参議院で議長経験者から意見を聴取する予定です。これについて幹事長はどのような議論を期待するか、また、政治改革本部で政策活動費の取り扱いなど議論されていますが、自民党としての政治改革案はいつごろにまとめるお考えですか。
【幹事長】旧文通費については、使途公開が大事だと思いますし、未使用の部分の国庫返納などについては、与野党間で協議が続いていると承知しています。与野党間で早期に結論が得られるよう、自民党としても真摯に対応してまいりたい。
【記者】政治改革本部で検討を進めている自民党の政治改革案、これに策定のメドはあるのでしょうか。
【幹事長】年内の成立を目指しているということですから、出来るだけ急ぐという事だと思います。
【記者】今回の外遊で、石破総理とアメリカのトランプ新大統領との面会が先送りになったことについての受け止めをお聞かせください。
【幹事長】トランプ氏側からは「法律上の制約もあり、現時点ではいずれの国とも会談を行わない」との方針が伝えられたと理解しています。これによって見送られることになったと承知しています。ただ、米国とは、先の首脳会談において、揺るぎない日米同盟を今後もさらに発展させ、緊密な連携を図っていくことを確認したと伺っています。次期政権との間でも、強固な信頼関係の下で、日米同盟をさらに高みに引き上げ、様々な協力を進めていくことは極めて重要だと考えています。
【記者】兵庫県知事選に関連して伺います。最近の選挙では、SNSが情報源となって選挙情勢に影響するケースが相次いでいまして、兵庫県知事選でも事実と異なる投稿で有権者が混乱したり、候補者への批判や称賛が大量に拡散されるなどの混乱が見られました。こうした状況に対して、なんらかの法規制など踏み込んだ対応を議論する必要があると考えているかどうかという点と、また、こうしたネット発の動きで情勢が決まっていくというのは、裏を返せば既存政党への不信感の表れではないかとの指摘もありますが、この点についてお伺いします。
【幹事長】選挙の結果や選挙運動の影響については、まずは兵庫県連において分析してもらいます。また、今回の結果を踏まえて、来年の参院選に向けて不断の改革努力を重ねていかねばなりませんし、わが国が直面する内外の重要課題を1つ1つ解決することで、国民の皆様の信頼回復に努めていきたいと考えています。また、SNS等の影響がどうだったのかにつきましては兵庫県連が分析されると思いますので、その意見をしっかり受け止めて考えていきたい。
【記者】国民民主党は103万円の壁の見直しによって減る税金について、代わりの財源は与党が考えるべきとの主張をしていますが、それについての受け止めをお聞かせください。また、税収減の補填について何かしらの措置を検討する考えはありますか。
【幹事長】現在、両党の政調会長・税調会長の間で協議を進めています。協議が円滑に進むよう、取り組みたいと思っています。税収減につきましては、全国の地方自治体において、特に東京23区や政令市において大きな税収減となることから、行政サービスへの影響を不安視する声が上がっていると承知しています。税収減分の財源措置については、国民民主党の皆さんのお考えもしっかりと伺いながら、対応を検討していきます。
【記者】玉木代表が求める178万円まで、もし仮に引き上げた場合、今、おっしゃったように税収が大幅に減るとして一部の地方から反対の声があがっています。現時点で、この178万円への引き上げについての実現可能性についてどのようにお考えですか。
【幹事長】今、協議中ですので、私が申し上げることは慎重であるべきだと思いますが、財源が地方自治体にとっては非常に厳しい状況になってくるなと思いますし、国が何か補填できる状況にあればいいんですが、国も同じように減収になってしまいますので、さあどうするかというところが今からの議論だろうと思います。
幹事長訪中は日米同盟強化と矛盾
記者コラム
米国のトランプ次期大統領と会談したいとする石破首相の要請が見送りとなった。森山裕幹事長は「法律上の制約もある」と述べ、やむを得なかったと強調。その上で、「日米同盟をさらに高みに引き上げる」方針を示した。
トランプ氏が最も警戒しているのは中国で、対中強硬派のマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に、マイケル・ウォルツ下院議員をホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官に起用するなど対中包囲網構築人事を行っている。今後、厳しい対中政策が連発されよう。
それなのに、森山幹事長は日中与党協議会に参加して年内に訪中する意向という。政界を引退した二階俊博元幹事長の後釜として6年間途絶えていた日中議員外交を再構築し、日中政府間外交を補完しようというのだ。党間交流とはいえ、日米同盟強化と矛盾する疑いが濃い。日米関係を分断したい中国にとっては歓迎すべき訪問となろう。
石破首相もトランプ氏との関係について「共に協力することが日米の国益になると説明し、理解してもらう」と述べたが、北東アジア情勢が緊迫化するいま、どう深化・強化していくかが課題のはずだ。
中国の習近平国家主席との会談(15日)では「かみ合った議論ができた」と〝成果〟を強調していた。だが、米国の対中戦略とは何か、トランプ政権が日本に何を望んでくるのかを精緻に分析して対処する準備と覚悟がなければ、日米同盟が危機に瀕することになろう。