永田町ファイル
記者会見 11・12
小川淳也幹事長
政治とカネ
【幹事長】昨日、国会の議場で自民党が過半数を割るのはこういうことかなと体感しました。野田代表以下私どもが、中心線から議場に向かって左側に食い込んでいるということを重々しく感じたのが第一印象でした。
それから、決選投票で石破総理が221票で、絶対過半数に届いていない。少数与党政権の実像がこれから浮かび上がるにせよ、石破政権は233の過半数に届かない政権だと痛感しています。また、84票という無効票は憲政史上初ではないでしょうか。私どもの努力は実らなかったという批判を受け止めるにしても、有権者も各選挙区の投票所に行き、無効票にならないよう投票している。84人もの人が無効票を投じたのは非常に残念です。その責任をかみしめてもらいたい。
わが党は両院総会を行いました。新人が3分の1近くを占め、活気があり、エネルギッシュである一方、党執行部として引き締めて党運営、国会対応を進めていく責任も感じています。昨日の役員会の報告ですが、委員長人事に伴い、後任のネクストこども政策担当大臣に高木真理さん、ネクストデジタル行政・公務員改革担当大臣に中谷一馬さん、ネクスト外務・拉致問題担当大臣に武正公一さん、ネクスト環境大臣に篠原孝さんへの変更がありました。
【記者】今後の政治改革の進め方についてです。昨日、野田代表は最後は自民党と立憲民主党が党首会談で合意しなければならないと話していました。一方、国民民主党の玉木代表は公明党と会談後、与野党協議会を設置する必要性で合意しました。幹事長としてのお考えは。
【幹事長】野田代表は昨日の石破首相との党首会談で3つ言われました。一つは熟議であること、それが公開の場、つまり委員会、国会で行われ実質化していくこと。それから先般、自公が野党の合意を得ず、無理やり政治資金規正法を改正しました。それは民主主義のルールに関わることなので主に与野党の第一党同士が協議をして一致点を見い出すということが筋ではないか、の3つのことを申し上げました。一義的には非公式の与野党協議会にはならず、正々堂々、公開の場で議論していく。これから野党各党の意見を聞きながら進めていかなければなりませんので、具体的にどうなるかは今後次第ですが、わが党としてそういう前提で進めていきたい。
【記者】今朝、自公の政調会長の間で合意したことですが、立憲民主、維新に対しても協議を呼び掛けていく。内容としては経済対策について自公の案を説明したり、立憲や維新から考えを伺うと小野寺政調会長が語っていましたが、この呼び掛けがあった場合、どう対応されますか。
【幹事長】補正予算、経済政策についても基本は政治改革と同様です。非公式な談合と見られかねないような対応については抑制的です。早期に臨時国会を開会して予算委員会を含めて公開の場で協議していくのが基本です。
【記者】昨日深夜の石破総理の会見の中で、具体的な改正項目として政策活動費の廃止、旧文通費の使途公開と残金の返納、第三者機関の早期設置、データベース化の構築を挙げました。立憲と重なっているところと、そうでない足りないところもあると思いますが、どう評価しますか。
【幹事長】やれるところからやって成果を出すべきだと思います。しかし、抜けているのが企業団体献金の廃止です。ここについては、30年前の約束です。今回の金権、腐敗政治の温床でもあり、わが党としては廃止に向けて野党各党に呼び掛けて迫っていきたい。
【記者】企業団体献金について、石破総理は昭和の時の最高裁判例を持ち出して政治活動の自由との兼ね合いで消極姿勢を示しています。立憲としてはこうした主張をどうとらえているのかと、どのように必要性を訴えていきますか。
【幹事長】まず、30年前に300億円のお金を国民からいただいて政党を養う政党交付金制度ができ、その時に企業団体献金を廃止しますといったことが約束です。30年前の約束が30年経ったから反故にされるといったことでは決してない。石破さんが政治の信頼回復とおっしゃるなら、まずそこからやってくださいと申し上げたい。
それから、それを推進する人たちが「企業にも政治活動の自由がある」と常とう句で言います。企業には一票はありません。民主主義は資金力によって政治的影響力に差が出るのを極力制約することで初めて成り立ちます。どんなお金持ちもどんなに生活が貧しく苦しい人も等しく一票を持っているという前提で出来上がっている制度ですから。率直に言って、1万、2万、5万、10万の企業団体献金にどこまで目くじらを立てるかは、個人的には逡巡のある部分もあります。しかし、いま経団連が斡旋して名だたる日本中の大企業に一社当たり数千万、合計すれば数億、数十億となりかねない資金を一人自民党に投入しているというのは、日本の政治経済構造の極めて大きな歪みであり矛盾です。そうしたものを前提に石破さんがおっしゃっているとすれば、はなはだ見当違いだと見識が疑われる。憤りを持ってその発言を聞いているところです。
【記者】企業団体献金について、立憲民主案では政治団体が除外扱いになっています。国民民主の玉木さんはこれを含めるべきではないかとの主張をしています。野田代表も夜のテレビでは見直しに前向きの姿勢を示しましたが、除外されていた理由と見直す必要性についてはどう考えていますか。
【幹事長】かねてから金権腐敗政治の原因になってきたのは、企業収益を原資とし企業の経営層の一存で巨額の金が政党に投入されるいわゆる企業献金が本丸です。一方、政治団体は様々な業種や職種に応じて構成員が政治的目的を持って構成し、原資は任意の個人献金です。一方、国民の側から見ると、〇〇政治連盟はなぜ良くて、〇〇株式会社はなぜ悪いのかという分かりにくさがあります。それと、実質においても、任意での献金だとはいえ、事実上、そこに同調圧力はないのかという視点はあるでしょうし、かたち上、団体構成員の総意とはいえ、その団体役員一存ということもあるでしょう。したがって、実質において似通ってくる。その意味からいうと、そこも含めてちゃんと見直そうじゃないかという議論にも一理ある。これは今一度党内にはかりたいと思っています。
【記者】自民党が裏金事件を巡って収支報告に不記載となった7億円相当を国庫に返納するという報道があります。これについての受け止めは。
【幹事長】同郷同士の玉木さんがかねてよりうまいことをおっしゃるな、と感じていましたのでその言葉を繰り返しますと、「泥棒が物を返したからといって泥棒でなくなるわけではない。罪は消えない」。一番いいのは、一度国会から退出いただくことではないかと思います。
【記者】昨日の決選投票で84票の無効票が出ました。裏返せば、立憲が野党をまとめ切れていないのではないか、という議論もありますが。
【幹事長】野党第一党としてまとめ切れなかったという批判があれば受け止めたいと思います。構造要因としては比較第一党にならなかったこと、そして参院で依然として自公が多数派を持っていることがあります。その上で、野党を今一歩二歩、束ねていく推進力を生み出せなかった。その批判は正面から受け止めたい。それとは別に、無効票を投じたことは人のせいにしないでほしい。無効票を投じる責任、判断は、それを投じた人に引き取っていただきたい。あらゆる選挙で有権者はみなそうしています。
【記者】先程、自公の政調会長の会談で政策協議に関する呼び掛けがあった点で、仮に、入り口として政調会長同士でやろうとなったとき、ある程度、応じた上で判断するのか、具体的提案がないと応じられないのかそのへんのスタンスは。
【幹事長】熟議と公開という野田代表の大方針は全党に徹底されています。どこかだけが例外だとか、秘密に通じ合うルートがあるとかはありません。
首脳会談 11・19
【記者】石破総理の外交のことで伺いたい。南米で行われたAPECの会議の場で、石破総理が他国の首脳と会うときに着席したまま握手をしていたことや、集合写真の撮影に遅れてしまったことをめぐり、非礼ではないかという指摘も相次いでいるが、こうした外交姿勢についてお考えがあればお願いしたい。
【幹事長】あまり揚げ足は取りたくありません。しかし、日本国の首脳が、時に現地で、あるいは時に世界のメディアを通して、どう映っているかということは日本の国益にも関わることですから、よくよく、時間管理、進行管理、服装、そして、立ち居振る舞い。あらゆることを、日本国民を代表すべく、代表するにふさわしい立ち居振る舞いをあえてお願いしたい。そう思っています。