政界日誌
11月1日(金)
防衛省、560億円で三菱重工と新迎撃弾開発契約 防衛省は日米が共同開発する極超音速兵器迎撃用の滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)について、日本の開発企業として三菱重工業と契約したと発表した。契約金額は560億4500万円で、納期は2029年3月。30年代の開発完了を目指す。
中国海警局の最大級巡視船、6月に尖閣諸島を周回 日本やフィリピンとの連携を強化するために派遣された米国の巡視船に対応する形で、中国海警局で最大級の巡視船が6月、尖閣諸島(沖縄県)を周回するような異例の動きを見せていたことが、政府関係者への取材でわかった。中国の強引な海洋進出に対して日米比などの連携が進む中で、尖閣を巡る緊張が高まった格好だ。日本政府は米側と情報を共有し、警戒している。
安保協力で新たな枠組み─日EU、初の外相戦略対話 岩屋毅外相は欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)と東京都内の飯倉公館で初の外相戦略対話を行った。「日EU安全保障・防衛対話」の新設などを盛り込んだ新たな合意文書「安全保障・防衛パートナーシップ」を公表した。
2日(土)
領空侵犯は「妨害が原因」─中国、自衛隊に責任転嫁 中国軍機が8月に日本領空を初めて侵犯した問題で、中国政府が9月、「予期しない妨害」が原因だったと日本政府に伝えていたことが分かった。ミスとは認めなかった。自衛隊機による中国軍機の追跡を「妨害」と主張している可能性がある。領空侵犯という国際法上の違法行為の責任を自衛隊機に転嫁した形だ。再発防止策も示しておらず、日本側は反発している。複数の日中外交筋が明らかにした。
3日(日)
女川原発2号機─計測機器のトラブルで原子炉停止へ 東北電力は女川原発2号機のトラブル発生に伴い、原子炉を停止し、点検することを明らかにした。
日米韓が合同空中訓練、北朝鮮ICBMに対抗 韓国軍合同参謀本部は韓国南部・済州島東方の空域で、日米韓3カ国が合同空中訓練を同日実施したと発表した。米軍のB1B戦略爆撃機が参加し、10月31日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮への対応能力を誇示した。訓練は日韓の防空識別圏が重なる空域で行われた。
4日(月)
H3・4号機 打ち上げ成功、JAXA宇宙航空研究開発機構(JAXA)は自衛隊の部隊運用で使用する防衛省のXバンド通信衛星「きらめき3号」を搭載したH3ロケット4号機を、鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げた。きらめき3号は約30分後に予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。
5日(火)
立・国、「103万円の壁」見直しで協力 立憲民主党の野田佳彦代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は国会内で会談し、自民党派閥の裏金事件に関し、再発防止策は不十分だとして年内に政治資金規正法の再改正を図る立場で一致。野田氏は所得税負担が生じる「103万円の壁」見直しについて、国民民主に歩調を合わせて実現を目指す考えを伝えた。
サイバー防御法案、年内提出見送り サイバー攻撃の兆候を捉えて被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を導入する関連法案について、政府は年内に見込まれる臨時国会への提出を見送る方向で調整に入った。複数の関係者が明らかにした。衆院での与党過半数割れを受け、石破茂首相(自民党総裁)は経済政策などに関する与野党協議に力を割かざるを得ず、国会で十分な審議時間を確保できないと判断した。
住民税4兆円減収に、「103万円の壁」見直しで─村上総務相 村上誠一郎総務相は閣議後記者会見で、国民民主党が掲げる「年収103万円の壁」見直しに関し、国税の所得税と同様に、地方税の個人住民税の基礎控除額を引き上げた場合、約4兆円の減収が見込まれるとの試算を示した。
6日(水)
「壁」見直し、財源は剰余金─国民・玉木氏 国民民主党の玉木雄一郎代表はラジオ日本の番組で、所得税の負担が生じる「年収103万円の壁」見直しによって大幅な税収減が見込まれることについて、予算の使い残しや税収の上振れ分で賄えるとの認識を示した。「去年は使い残しの予算が7兆円、おととしは11兆円ある。税収も去年は見込みより2・5兆円上振れしている」と指摘。「きちんと精査すれば7兆円くらいの減税は十分できる。財源の問題というより、取り過ぎているものを戻そうということだ」として、税収減を理由とする慎重論に反論した。
自民選対委員長に木原誠二氏、首相調整石破茂首相(自民党総裁)は、新たな党選対委員長に木原誠二選対委員長代行(54)を昇格させる方向で調整に入った。辞任の決まった小泉進次郎氏の後任。来週、第2次石破内閣発足に合わせて就任する見通し。複数の党関係者が明らかにした。来夏に東京都議選や参院選を控え、継続性を重視したとみられる。
自民参院会長に武見氏 自民党は参院議員特別総会を国会内で開き、武見敬三前厚生労働相(73)を新たな参院議員会長に選出した。
日豪韓でPKO参加支援、カンボジア軍に 防衛省はカンボジア軍の国連平和維持活動(PKO)参加を支援するため、オーストラリア、韓国と共同で教育訓練を実施すると発表した。多国間連携でPKO参加支援を行うのは初めて。停戦監視の現場などで簡易爆弾(IED)攻撃の脅威が増していることから、カンボジアで施設整備と爆弾処理などを組み合わせた訓練を行う。
7日(木)
自民、「虎の子」ポスト放出、難路の国会運営へ 特別国会の召集が11日に迫る中、衆院選で大幅に議席を増やした野党に押し切られ、自民党は17ある衆院常任委員長ポストの約半数を譲ることになった。予算案の審議を差配する予算委員長も含まれる。自民が「虎の子」のポストを手放したことで野党はひとまず矛を収めたが、石破政権は少数与党の現実をかみしめる格好となった。
防衛相、韓国軍艦に初乗艦 中谷元・防衛相は海上自衛隊横須賀基地(神奈川県横須賀市)に寄港した韓国海軍艦艇に乗艦し、乗組員と交流した。防衛省によると、記録が残る限り、日本の防衛担当閣僚が韓国軍艦に乗り込むのは初めて。
11日(月)
第2次石破内閣が発足、30年ぶり決選投票で再指名 10月の衆院選を受けた第215特別国会が召集され、石破茂首相(自民党総裁)が衆参両院で第103代首相に指名された。皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、夜に第2次石破内閣が発足した。首相は首相官邸で記者会見し、衆院選大敗を踏まえ「自民党は今度こそあるべき国民政党として生まれ変わらなければならない」と表明した。
衆院正副議長が会派離脱 衆院の額賀福志郎議長と玄葉光一郎副議長は就任を受け、自民党と立憲民主党の会派をそれぞれ離脱した。参院では関口昌一議長が自民会派を離脱し、尾辻秀久前議長が同会派に復帰した。
参院内閣委員長─石井浩郎氏就任 参院は常任・特別委員長を選出した。内閣委員長には新たに石井浩郎氏(自民)が就いた。
国民・玉木氏、不倫認め謝罪 国民民主党の玉木雄一郎代表は週刊誌による自身の不倫報道を認めて、謝罪した。衆院選で28議席に躍進し、国政でキャスチングボートを握るなど存在感を高めていた中でのスキャンダル発覚で、党の勢いに冷や水を浴びせた格好だ。
12日(火)
石丸氏、地域政党結成へ 7月の東京都知事選に立候補し、次点だった前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏はユーチューブ番組で、2025年夏の都議選に向け地域政党を結成する考えを表明した。「詳細については12月中には発表する。記者会見を開いて説明したい」と述べた。
13日(水)
第2次石破内閣、「裏金」議員の起用見送り─副大臣・政務官人事を決定 政府は臨時閣議で、第2次石破内閣の副大臣26人、政務官28人の人事を決定した。自民党から外務副大臣に藤井比早之氏、内閣府政務官兼復興政務官に今井絵理子氏、外務政務官に生稲晃子氏らを起用。派閥裏金事件で政治資金収支報告書に不記載があった「裏金」議員はゼロだった。
日米韓の共同訓練開始─防衛省 防衛省は日米韓の共同訓練「フリーダム・エッジ」を開始したと発表した。海空や宇宙、サイバーなど複数の領域にまたがる統合運用の実動訓練で、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの発射を繰り返す北朝鮮や海洋進出を強める中国を念頭に、日米韓の連携を示す狙いがあるとみられる。
14日(木)
死刑廃止「適当でない」─官房長官 林芳正官房長官は記者会見で、死刑制度に関し、「国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えている。政府として制度を廃止することは適当でないと考えている」と述べた。