アジア短信
1月14日(火)
中国の「国際的脅威」警告─HRW
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は新疆ウイグル自治区でのウイグル族への不当な拘束や、香港の自由なデモへの抑圧など中国の人権状況について「過去数十年で最も広範囲で残酷な弾圧」と非難した。その上で中国が「拡大する経済的影響力を行使し、世界で(対中)批判を沈黙させ、(中国人権問題を追及する国連やNGOなど)国際的な人権体制に対し最も厳しい攻撃を仕掛けている」と警告した。
17日(金)
2019年中国成長率6・1%、対米貿易摩擦が重し
中国国家統計局が発表した2019年の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比6・1%増加した。成長率は18年から0・5ポイント鈍化。政府目標の「6〜6・5%」は達成したものの、天安門事件翌年の1990年(3・9%)以来、29年ぶりの低い伸びにとどまった。対米貿易摩擦が重しとなり、小売売上高や固定資産投資の伸びが減速した。
米軍艦が台湾海峡通過、蔡氏再選受け中国牽制
台湾国防部(国防省)は米軍の艦艇が台湾海峡を通過したのを確認したと発表した。艦艇は台湾の西南海域から海峡を北上した。ロイター通信はこれに関し、航行したのは横須賀基地配備のミサイル巡洋艦「シャイロー」だと報じた。
ASEAN外相会議、南シナ海で「懸念」
東南アジア諸国連合(ASEAN)はベトナム中部ニャチャンで外相会議を開き、加盟国の一部と中国が領有権を争う南シナ海情勢を中心に協議した。南シナ海をめぐり、中国と緊張関係にあるベトナムが今年のASEAN議長国となってから初めて開催された閣僚会議で、報道声明では中国を念頭に「懸念」の表現を維持した。
駐留米軍経費負担増を要求─米長官
米国のポンペオ国務、エスパー国防両長官はウォール・ストリート・ジャーナルに連名で「韓国は同盟国で、扶養家族にあらず」と題した寄稿を行い、韓国に駐留米軍経費の負担増を求めた。2020年以降の在韓米軍駐留経費の韓国側負担を決める協議が難航していることを受け、韓国側に譲歩を迫った形だ。
「誰にも劣らぬ速さで開発」─米軍高官が北朝鮮新型ミサイル懸念
米軍のハイテン統合参謀本部副議長はワシントンのシンクタンクで講演し「北朝鮮は地球上で誰にも劣らぬ速さで新型ミサイルを開発し、新たな能力を構築している」と強調した。北朝鮮のミサイル開発のスピードに懸念を示した形だ。ただ具体的な技術や能力には触れなかった。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は昨年末、党中央委員会総会で「新たな戦略兵器」開発に言及し、凍結している核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射の再開を示唆した。米国は新型ミサイル発射などへの警戒を強めている。
18日(土)
中国主席、ミャンマー重視
中国の習近平国家主席はミャンマーの首都ネピドーを訪れ、アウン・サン・スー・チー国家顧問と会談した。双方は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を通じ、経済協力を推進する方針を確認。習氏にとっては今年初めての外国訪問で、国交樹立70年を迎えたミャンマーを重視する姿勢を打ち出した。
19日(日)
北朝鮮、新外相に李善権氏か─韓国報道
韓国の聯合ニュースは北朝鮮の新外相に対南窓口機関である祖国平和統一委員会委員長を務めていた李善権氏が就任したと報じた。これまで外相だった李容浩氏は解任されたもようだ。
20日(月)
新型肺炎、中国で拡散
新型のコロナウイルスが原因とみられる肺炎が、中国国内で拡散していることが鮮明になった。発生地の湖北省武漢市以外では初めて、北京市と広東省深圳市で感染患者が報告され、国内の患者は200人を超えた。「武漢以外の感染情報を隠しているではないか」との内外の疑念を受け、中国当局が全国に検査と公表の徹底を指示した影響とみられる。
21日(火)
台湾でも新型肺炎患者
台湾の衛生当局は中国で多発している新型のコロナウイルスによる肺炎患者を確認したと発表した。台湾で1例目となる。地元メディアによると、患者は中国湖北省武漢市に仕事で滞在していた55歳の女性。20日に中国から台湾に戻った際、発熱しており、空港の係員に自主申告して発覚した。女性は台湾の南部地域出身で、病院で隔離治療されている。
22日(水)
人民武力相に金正官氏昇格─北朝鮮
北朝鮮の人民武力相(国防相に相当)が交代し、次官を務めていた金正官氏が新たに就任したことが判明した。朝鮮中央通信が同日、山林復旧などに関する会議の開催を伝える記事で、同氏を人民武力相として紹介した。
25日(土)
北朝鮮、処刑された張氏の妻健在
金正恩氏と公演鑑賞 金正恩朝鮮労働党委員長が平壌で旧正月の記念公演を鑑賞し、叔母の金慶喜氏が同席した。金慶喜氏は国家転覆を謀ったとして2013年12月に処刑された張成沢元国防副委員長の妻で、約6年ぶりに健在が確認された。
26日(日)
香港ディズニーも休園、域内患者6人に─新型肺炎
中国本土で新型コロナウイルスによる肺炎感染が拡大していることを受け、香港ディズニーランドは休園すると発表した。「ゲストとスタッフの健康を考慮しての措置」としており、再開時期は未定。香港の代表的なテーマパークである香港海洋公園(オーシャンパーク)もこの日、休園を通知した。
28日(火)
中国の学校、新型ウイルスで新学期開始延期
中国当局は多数の死者が出ている新型コロナウイルスの流行を懸念して、学校や大学の新学期の開始を延期した。
米韓軍事訓練、9割実施─軍高官、大規模演習中止でも
米軍統合参謀事務局のアルビン中将(戦略・計画・政策部門担当)は下院軍事委員会の公聴会で、米韓両軍が昨年、野外機動訓練「フォール・イーグル」などの大規模演習を中止する一方で、即応性の維持に必要となる訓練の9割近くを実施したと証言した。
29日(水)
新型肺炎でマスク価格6倍つり上げ、北京の薬局に4700万円の罰金
中国・北京市の市場監督当局は新型コロナウイルスによる肺炎の感染が広がる中、N95マスクの価格をつり上げて販売していた薬局に300万元(約4720万円)の罰金を科すと発表した。
北朝鮮、最大のドル箱・対中貿易まで中断
東北3省を含む中国全域で「武漢肺炎」の感染が急速に拡大する中、北朝鮮当局は中国との貿易をストップし、中国国内に駐在する北朝鮮領事館は入国ビザの発給を全面的に中断したことが分かった。制裁による経済難、通貨不足を克服するため北朝鮮としては必死の状況だが、その上中国との貿易まで中断するとなれば、これは「経済的自害行為」となる。それだけ「武漢肺炎の遮断」が緊急の課題になっているとの見方もある。
米軍、特殊作戦機に続き「ラプター」4機も韓半島付近に配備
米国アラスカ州の空軍基地に所属するステルス戦闘機F22「ラプター」4機が最近、在日米軍横田基地に派遣されたことが分かった。アラスカのF22は有事の際、韓半島に展開する戦力だ。米軍の特殊作戦機が韓半島付近で相次いで作戦に乗り出し、最新鋭無人偵察機(MQ4C)が第7艦隊に配備されたのに続いて、F22まで飛来。北朝鮮で特異動向が感知されたからではないか、という見方が持ち上がっている。
タイ財務省、20年GDP成長率見通し2・8%に下方修正
タイ財務省は、2020年の国内総生産(GDP)成長率が2・8%になるとの見通しを示し、10月時点の見通し(3・3%)から下方修正した。軟調な輸出や中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大などを理由に挙げた。
30日(木)
北朝鮮外交官が兵器密輸に失敗、チェコで7年前
北朝鮮の外交官が2012と13年にチェコから兵器を密輸しようとしてチェコの情報機関に摘発されていたことが分かった。米政府系放送局のラジオ自由アジア(RFA)がスロバキア紙の報道を基に伝えた。この北朝鮮外交官はチェコの実業家に直接連絡を取り、旧ソ連製戦車の部品やドローン(小型無人機)、装甲車の部品、チェコ製戦闘機の部品を購入しようとした。
2月8日(土)
北朝鮮、軍事パレードなき記念日
北朝鮮は軍創建記念日を迎えた。軍事パレードが行われるとの観測もあったが、国営メディアは目立った動きを伝えていない。専門家らからは、新型コロナウイルスへの防疫対策を優先し、行事を控えたとの見方が出ている。
9日(日)
タイ兵士の銃乱射、死者21人に
タイ東北部ナコンラチャシマ県で市民に無差別に発砲した後、商業施設に立てこもった兵士と治安当局の間で銃撃戦が起き、警察官が死亡した。保健相によると、死者は計21人、負傷者は計33人となった。
中国、春節期間の旅行者数は40%減
中国の春節(旧正月)期間の旅行者数は前年同期比40%減少したと交通運輸省が明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大で旅行を控える動きが広がった。