政界日誌

1月16日(木)

介護財源、活用可能に─厚労省「8050問題」相談で
厚生労働省は、中高年となった引きこもりの子供を養う親が高齢化し、介護や生活困窮を同時に抱えて行き詰まる「8050問題」への対応を強化するため、相談事業を行う市町村が介護財源を活用できるよう制度改正する方針を固めた。市町村は住民から徴収した保険料などを介護事業に使えるが、目的外使用はできない。8050問題は介護と関連が深いものの、実際の運用では財源活用が難しかった。厚労省は通常国会に提出する社会福祉法改正案などに盛り込む。

笠氏が野党共同会派入り─初鹿氏退会
立憲民主党など野党共同会派は衆院事務局に無所属の笠浩史氏の入会と初鹿明博氏の退会を届け出た。笠氏は2017年に旧民進党を除籍(除名)処分となった後、旧希望の党結党に参画するなどした。初鹿氏は昨年12月に強制わいせつ容疑で書類送検され、立憲を離党していた。

17日(金)

19年訪日客、2・2%増の3188万人
2019年の訪日外国人数(推計値)は2・2%増の3188万人のうち、韓国人客が前年比25・9%減の558万4600人となり、東日本大震災があった11年以来、8年ぶりに減少した。日韓関係の悪化で19年夏以降、急減していることが響いた。

内閣支持横ばい40%─時事世論調査
時事通信が実施した1月の世論調査で、安倍内閣の支持率は前月比0・2ポイント減の40・4%と横ばいだった。不支持率は1・7ポイント増の37・0%。カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で衆院議員の秋元司容疑者(自民党離党)が逮捕されたり、首相主催「桜を見る会」の招待者名簿の扱いで法令違反が発覚したりしたが、影響は限定的だった。

習氏国賓来日 賛否割れる─世論調査
時事通信の1月の世論調査で、今春予定される習近平中国国家主席の来日に関し、国賓として招くことの賛否を尋ねたところ、「賛成」41・9%、「反対」27・7%、「どちらとも言えない・分からない」30・5%となり、意見が分かれていることが浮き彫りになった。

安保改定60周年で日米共同発表
日米両政府は日米安全保障条約改定から19日で60年を迎えるに当たり、両国の外務・防衛担当閣僚の連名による「共同発表」を公表した。「今後も日米同盟を強化し、両国が共有する価値と諸原則を堅持するとの揺るぎないコミットメントを改めて表明する」とした。

台湾総統と会談、首相親書手渡す─自民・古屋氏
自民党の古屋圭司衆院議員は11日の台湾総統選で再選された蔡英文総統と台北の総統府で会談した。古屋氏は蔡氏に祝意を伝えるとともに、安倍晋三総裁(首相)の親書を手渡した。

死刑制度、8割が容認─内閣府調査
内閣府は5年ごとに実施している「基本的法制度に関する世論調査」の結果を公表した。死刑制度について「やむを得ない」と答えた人は80・8%で、「廃止すべきだ」の9・0%を大幅に上回った。死刑容認は2004年の調査以来、4回連続で8割を超えており、国民の多くが制度を容認する現状が改めて浮き彫りになった。

対日関係改善に努力─韓国新首相、自民・河村氏と会談
訪韓した自民党の河村建夫元官房長官は丁世均新首相と会談し、首相就任に祝意を表した。元徴用工問題などをめぐり停滞する日韓関係について、丁氏は「改善のために努力していきたい」と述べたという。河村氏が同日、ソウル郊外の金浦空港で明らかにした。

18日(土)

共産党大会、22年までに「野党連合政権」
共産党は静岡県熱海市で開催中の第28回党大会で、覇権主義を強める中国を批判した党綱領への改定を全会一致で決定した。2022年までの「野党連合政権」実現を目指すと明記した大会決議も採択。5日間の日程を終えて閉幕した。綱領改定は04年以来。志位和夫委員長は採択に先立ち登壇し、中国共産党について、「人権侵害」に触れた上で「その行動は社会主義と無縁で、共産党の名に値しない」と厳しく指摘した。

下地氏、議員辞職せず─IR汚職
カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件に絡み、中国企業からの現金授受を認めた下地幹郎衆院議員は議員辞職せず無所属で活動を続ける考えを示した。那覇市内で記者団の取材に応じた。

19日(日)

社会福祉法人間の貸し付けを可能に─厚労省
厚生労働省は、特別養護老人ホームや保育所などを運営する社会福祉法人(社福)が複数参加し、課題に連携して当たる「社会福祉連携推進法人」(連携法人)制度を創設する方針を決めた。社福の経営基盤を強化し、少子高齢化や社会構造の変化で多様化する福祉ニーズに、対応しやすくするのが目的。これまで認めていなかった社福間の資金貸し付けも、連携法人内であればできるようにする。

日米同盟「不動の柱」、安保条約60年式典で首相
安倍晋三首相は東京都内の外務省飯倉公館で開かれた日米安全保障条約署名60周年の記念式典に出席した。あいさつで首相は、日米同盟について「アジアとインド太平洋、世界の平和を守る不動の柱」と強調。安保法制の整備を念頭に「お互いに守り合う関係に高めた。同盟に一層の力を与えた」と同盟深化を訴えた。

20日(月)

首相施政方針 改憲案提示呼び掛け
安倍晋三首相は衆参両院本会議で施政方針演説を行った。憲法改正について「未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは私たち国会議員の責任ではないか」と述べ、具体的な改憲案を提示するよう与野党に呼び掛けた。「全世代型社会保障改革」実現への決意も表明。元徴用工問題をきっかけに関係が悪化した韓国に対し、解決に向けた対応を迫った。

「中国、平和に責任」外交演説
茂木敏充外相は衆参両院本会議で外交演説を行った。習近平国家主席の国賓来日を今春に控える中、日中両国について「世界の平和と繁栄に欠かせない大きな責任を共有している」との認識を表明。「その責任をしっかり果たしていくことが、国際社会の期待に応えることになる」と述べ、国際秩序に沿った行動を中国に促した。

「財政の持続可能性維持」財政演説
麻生太郎財務相は2020年度予算案と19年度補正予算案の国会提出を受け、衆参両院の本会議で財政演説を行った。高齢化により社会保障費が増加する中、「社会保障制度を次世代に引き渡すため、財政の持続可能性を今後とも維持する」と述べた。

菅原前経産相、議員辞職否定
公職選挙法違反疑惑で経済産業相を辞任した自民党の菅原一秀衆院議員(東京9区)は国会内で記者団の取材に応じた。「ご迷惑をお掛けしたことをおわびする」と謝罪しつつも、「一からしっかり出直し、精進したい」と述べ、議員辞職や離党を否定。昨年10月に週刊文春に報じられた金品贈与問題への詳しい説明は避けた。

21日(火)

米軍駐留経費、秋口から交渉ー防衛相見通し
日本負担は適切 河野太郎防衛相は記者会見で、来年3月に現行協定の期限を迎える在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)交渉について、「秋口ぐらいから交渉が始まることになる」との見通しを示した。米国側は増額を要求するとみられており、河野氏は「今の負担割合は非常に適切だ」とけん制した。

領土館「不満あるなら見学を」─衛藤担当相、韓国批判に反論
衛藤晟一領土問題担当相は閣議後記者会見で、政府の「領土・主権展示館」の再オープンに韓国政府が反発したことについて「ぜひご不満のある国はお越しいただき、十分見ていただきたい。何かを偽造したり付け加えたりといったことは一切していない」と反論した。

山東参院議長「行司役に徹する」─憲法改正めぐり釈明
山東昭子参院議長が憲法改正の議論停滞に不満を示したブラジルでの自らの発言について「今後、行司役にしっかり徹していきたい」と釈明したことが分かった。参院議院運営委員会理事会で自民党理事が報告した。

南西諸島防衛強化も─河野防衛相
河野太郎防衛相は記者会見で、沖縄県・尖閣諸島周辺で中国公船の活動が活発化していることに関し、「今後も続くようであれば、南西諸島防衛にさらに力を入れなければならない」と述べた。今春の習近平国家主席の国賓来日を前に、中国側をけん制したとみられる。国賓来日に対しては、尖閣周辺での活動や香港の人権問題などを理由に自民党などから反対の声が出ている。

23日(木)

航空自衛隊内に「宇宙作戦隊」新設─自民部会了承
自民党は国防部会などの合同会議で、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を新設する防衛省設置法改正案を了承した。政府は今国会に提出する方針だ。

2050年までにAIロボ開発─政府
政府は総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)を首相官邸で開き、困難な社会問題を解決するための野心的な研究に投資する「ムーンショット型研究開発制度」の対象として、6項目の目標を選定した。人間と同等以上の身体能力を持つ人工知能(AI)ロボットの開発などが柱。いずれも2050年までの実現を目指す。

岸田派の事務総長に根本氏
自民党岸田派は望月義夫元環境相の死去により空席となっていた事務総長を、筆頭副会長のベテラン根本匠前厚生労働相に兼務させるなどの人事を決めた。

夫婦別姓めぐるやじに反発、野党
立憲民主党など主要野党は選択的夫婦別姓をめぐり、22日の衆院代表質問の際、自民党議員によるとみられる「だったら結婚しなくていい」とのやじがあったとして、批判を強めた。立憲の福山哲郎幹事長は「自民党は女性活躍と言うが実態が伴っていない。議員としての資格はない」と断じた。

24日(金)

石炭火力輸出「土俵に上げたい」─小泉環境相
小泉進次郎環境相は閣議後記者会見で、日本の石炭火力発電のインフラ輸出の在り方について、「関係者に(対して)土俵に上げて、議論したい」と述べ、関係省庁などとの話し合いに改めて意欲を示した。小泉環境相は21日の会見でも、日本の石炭火力輸出をめぐる状況を疑問視する発言を行った。24日の会見で小泉環境相は、「一度輸出をした場合に、最低でも30年以上は相手国の政策をロックイン(固定)しかねない」と、輸出が及ぼす悪影響を指摘した。

選択的夫婦別姓に賛成─小泉氏
小泉進次郎環境相は記者会見で、選択的夫婦別姓の導入の是非について「今までと同じ制度も選択でき、そうでない選択肢も可能となることに私は常にポジティブだ」と述べ、賛成の立場を改めて示した。また、日本社会の現状として「単純に選択肢を増やすことなのに、まるで今までのことが破壊されるような(見方をする)抵抗がある」と指摘した。

政府 少年法改正案、今国会見送り
政府は、少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満へと引き下げる同法改正案について、今国会への提出を見送る方針を固めた。引き下げの是非をめぐり法制審議会(法相の諮問機関)の意見が割れ、集約のめども立っていないためだ。

同盟国の負担増必要─米高官、日本にも対応求める
ナッパー米国務副次官補(日本・韓国担当)はワシントンで記者会見し、年内に始まる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の改定交渉に絡み、「同盟国はさらに多くのことができる」と強調した。トランプ政権が要求する日本側の負担増に前向きな対応を求めた形だ。

28日(火)

新型肺炎の「指定感染症」閣議決定、強制入院可能に
政府は中国を中心に感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎について、感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令を閣議決定した。施行は2月7日。施行後は、患者の強制入院や就業制限、入国者への検査指示などができるようになる。

巨大IT規制法案の概要まとまる
政府の「デジタル市場競争会議」(議長・菅義偉官房長官)は巨大IT企業の規制を強める「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」の概要をまとめた。革新的なサービスの開発を妨げないよう規制対象となる「不当行為」の例示を見送り、違反事例には独占禁止法で対応する。一方、巨大ITには取引条件などの開示を求め、政府に対する年1回の運営状況報告を義務付ける。

29日(水)

「ポチと呼ぶな」棚橋委員長が枝野氏発言に反発
衆院予算委員会の棚橋泰文委員長(自民党)は同委理事懇談会で、立憲民主党の枝野幸男代表から「ポチ」呼ばわりされたことについて「人を人とも思わぬ侮辱に憤りを感じている」と反発した。自民は立憲に謝罪と撤回を要求。野党は棚橋氏のさばきが政府寄りだとして改善を訴えた。

二階自民幹事長、武漢からの帰国便1人8万円に苦言
自民党の二階俊博幹事長は新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中国・武漢からチャーター便で帰国した邦人に片道分約8万円の負担を求める政府方針について「緊急事態だ。財政的な問題はあるが、惜しんでばかりではいけない。国を挙げて対応するのは当然だ」と述べ、見直しを求めた。党本部で記者団の質問に答えた。

立憲と合流、社民も先送り
社民党は参院議員会館で全国幹事長会議を開催し、立憲民主党との合流について地方組織から意見聴取した。吉川元幹事長は地方からの慎重論を踏まえ、2月下旬の党大会では合流の賛否を決めないことや、立憲とは協議を継続する方針を提案し、大筋で了承を得た。会合では、立憲と理念が違うとして一部が「白紙撤回」を主張。一方で、合流協議の継続に前向きな意見も出た。ただ、賛否を判断するための情報が足りないという指摘が多く、速やかな合流を求める声はなかった。

2月3日(月)

首相、希望出生率「1・8」に意欲
衆院予算委員会は安倍晋三首相と全閣僚が出席して2020年度予算案に関する基本的質疑を行い、実質審議に入った。首相は、アベノミクス「新3本の矢」の一つ、希望出生率1・8の実現を全世代型社会保障改革の柱と位置付け、今夏までにまとめる政府検討会議の最終報告に盛り込む考えを示した。

4日(火)

70歳就業法案を閣議決定
政府は企業に対し従業員の70歳までの就業確保に努めるよう求める高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定した。

立憲・安住氏の新聞論評に苦言相次ぐ
立憲民主党の安住淳国対委員長が、衆院予算委員会の3日の質疑などを報じた新聞6社の記事のコピーを「くず」「×」「論外」「出入り禁止」などと論評して国会内に掲示し、与野党から苦言が相次いだ。

5日(水)

総務相、NHK受信料の追加値下げを要請
高市早苗総務相はNHKに受信料の追加値下げなどを求める意見書をまとめ、同日の電波監理審議会(総務相の諮問機関)で承認された。閣議決定を経て、NHK予算案とともに通常国会に提出される。

7日(金)

首相、日露交渉決着に改めて意欲
安倍首相は「北方領土の日」に都内で開かれた北方領土返還要求全国大会に出席し、「(日露双方が受け入れられる)解決策を見つける作業を精力的に進め、交渉を一歩一歩着実に前進させる」と力説した。大会後は元島民と首相公邸で懇談し、「私とプーチン大統領の手で問題を解決する」と改めて誓った。。