政界日誌

5月19日(木)
貧困・DV、自立後押し─困難女性支援法が成立 貧困や家庭内暴力(DV)などに直面する女性の自立に向けて公的支援を強化する困難女性支援法(参院先議の議員立法)が、衆院本会議で全会一致で可決、成立した。包括的な援助に当たる「女性相談支援センター」の設置を都道府県に義務付けることなどが柱。女性支援の根拠法となっていた売春防止法の古い規定も削除した。一部を除き2024年4月から施行する。
首相の自衛隊指揮権、憲法72条に明記も─衆院憲法審で公明副代表提案 衆院憲法審査会は安全保障をテーマに討議を行った。公明党の北側一雄副代表は個人的見解として、自衛隊法で規定されている自衛隊に対する首相の指揮監督権を憲法72条などに加える案を示した。自民党が掲げる9条への自衛隊明記に公明党内で異論が根強いことから、同党が歩み寄れるラインを提示したとみられる。
中国爆撃機、警戒監視に万全―官房長官松野博一官房長官は記者会見で、中国軍爆撃機2機が沖縄本島と宮古島の間を通過したことについて、「太平洋など遠方の海空域の作戦遂行能力を高めるための活動の可能性があり、わが国周辺の動向を注視し、警戒監視活動に万全を期していく」と強調した。中国軍が日本周辺での活動を活発化させていることに関しては「関係諸国と連携し、国防政策、軍事力の透明性向上、国際的な行動規範の順守を働き掛けていく」と語った。

20日(金)
ウクライナ追加支援2・5兆円─G7財務相会議 日米欧の先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議はドイツ・ボン郊外で2日間の討議を終え、共同声明を採択して閉幕した。声明は、ロシアの侵攻を受け財政援助を求めているウクライナに対し、年内に198億ドル(約2兆5000億円)の追加支援を行うことを明記。ロシア制裁とウクライナ支援で結束を確認した。
屋外会話なし「マスク不要」、コロナ対策政府見解 政府は新型コロナウイルス対策のマスク着用について、屋外では人との距離が十分確保できなくても、会話をほとんど行わない場合は「必要ない」とする見解を示した。屋内でも周囲との距離を保ち、会話を控えれば不要とした。
物価高対策で一律10万円─国民が参院選公約 国民民主党は夏の参院選の公約を発表した。昨年の衆院選に続き政府の財政支出を増やす「積極財政」の姿勢を打ち出し、物価上昇から家計を守るため、現金10万円の一律給付などを柱に据えた。ウクライナ情勢による燃油高騰を踏まえ、安全基準を満たした原子力発電所の再稼働も掲げた。
立民が中長期ビジョン発表─参院選公約の土台 立憲民主党は党の目指す中長期的な目標を示した「ビジョン22」を発表した。「安心のベーシックサービス」や「環境と成長が調和する定常社会」の実現など7つの柱で構成。夏の参院選公約の土台となる。

21日(土)
「中国の一方的開発認めぬ」―首相、東シナ海の構造物設置受け 岸田文雄首相は東シナ海の日中中間線の中国側海域で中国が新たな構造物の設置を進めていることについて「一方的に開発を進めることは極めて遺憾だ。認めることはできない」と語った。訪問先の京都市内で記者団の質問に答えた。日中両国は2008年にガス田の共同開発で合意したものの、協議が中断している。

23日(月)
首相 防衛費拡充を表明、日米首脳会談岸田文雄首相はバイデン米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で、昼食を交え2時間余り会談した。ロシアのウクライナ侵攻が、東アジアで覇権主義的動きを強める中国の動向に影響を及ぼす懸念もある中、両首脳は日米同盟の抑止力と対処力を強化する方針で一致。首相は「防衛力を抜本的に強化し、防衛費の相当な増額を確保する」と伝え、バイデン氏は歓迎した。
米主導IPEF、13カ国で発足 バイデン米大統領は米国主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を東京で宣言した。創設メンバーは日米や韓国、インドなど13カ国。経済安全保障の観点で中国への過度な依存から脱却するため、民主主義の価値を共有する諸国で新たな経済秩序の構築を目指す。米国は環太平洋連携協定(TPP)離脱によるアジアでの空白を埋め、最大の競争相手と位置付ける中国に対抗する構えだ。
バイデン氏、台湾侵攻に軍事介入明言 バイデン米大統領は日米首脳会談後の共同記者会見で、中国が台湾に侵攻した場合に米国が軍事介入する意思があるかと問われ、「イエス。それがわれわれの責務だ」と明言した。ホワイトハウス高官はその後、米国の台湾政策に変更はないと釈明したが、中国は直ちに反発した。

24日(火)
日印協会新会長に安倍元首相 明治時代に設立され、日本とインドの経済・文化的交流を促進してきた親善団体「日印協会」の新旧会長交代式が東京都内のホテルで開かれた。近く森喜朗元首相が退任し、新会長に自民党の安倍晋三元首相が就任。6月に正式決定する。

25日(水)
台湾海峡、自衛隊航行を―自民部会長 自民党の佐藤正久外交部会長は党会合で、中露爆撃機による日本周辺での共同飛行などの軍事的圧力に対抗し、海上自衛隊の護衛艦に台湾海峡を通過させる「航行の自由作戦」や、オホーツク海周辺での訓練を実施するよう求めた。「毅然とした行動を示すべき段階に来ている。日本がゆでガエルになっては絶対にいけない」と述べた。
ODA予算「10年で倍増を」―超党派議連 超党派の国際協力機構(JICA)議員連盟(額賀福志郎会長)は外務省で林芳正外相と会い、今後10年間で政府開発援助(ODA)の対国民総所得(GNI)比を現在の0・34%から国際目標の0・7%に引き上げることなどを提言した。
在日米軍機が爆撃訓練、中露朝への対処力誇示 航空自衛隊と米軍の戦闘機が共同訓練を行い、米軍機が模擬爆撃を実施したことが分かった。複数の関係者が27日明らかにした。訓練は北朝鮮による弾道ミサイル発射と中国・ロシア軍機の日本周辺での共同飛行を受けたもので、日米の抑止力・対処力を示す狙いがある。
JR東海の葛西敬之氏死去 国鉄改革の立役者の1人で、JR東海社長を務めた名誉会長の葛西敬之氏が間質性肺炎のため死去した。81歳だった。東京都出身。

26日(木)
岸田首相、外国人観光客「来月10日から受け入れ」 岸田首相は東京都内で開かれた国際会議で、新型コロナの水際対策で停止していた外国人観光客の受け入れを来月10日から再開させる方針を表明した。外国人観光客の受け入れは約2年ぶり。
吉川元農相に懲役2年6カ月、東京地裁大手鶏卵会社から、現金500万円のワイロを受け取った、収賄罪に問われている元農林水産大臣の吉川貴盛被告(71)の判決公判が開かれ、東京地裁はワイロを認定、懲役2年6カ月・執行猶予4年、追徴金500万円の有罪を言い渡した。
猪瀬氏「最後のご奉公」―維新から参院選出馬 元東京都知事の猪瀬直樹氏(75)が衆院議員会館で記者会見し、夏の参院選比例代表に日本維新の会から出馬すると表明した。猪瀬氏は「日本の改革に最後のご奉公、自分の持てる力を全て発揮していきたい」と意気込みを語った。猪瀬氏は東京都副知事などを経て、2012年の都知事選で当選。しかし、13年に医療法人「徳洲会」グループから5000万円を受け取った問題で辞職した。その後大阪府、大阪市の特別顧問を務めた。

28日(土)
自民県連、沖縄知事選に佐喜真・前宜野湾市長擁立 自民党沖縄県連は9月の県知事選の候補者選考委員会を開き、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(57)を擁立することを決めた。佐喜真氏は「基地問題も大きな課題だが、新型コロナの感染拡大で大きなダメージを受けた経済や暮らしに光を当てるため、県民に尽くす」と述べた。

29日(日)
新潟知事に花角氏再選―無所属新人破る任期満了に伴う新潟県知事選が投開票され、無所属で現職の花角英世氏(64)=自民支持=が、無所属新人で会社役員の片桐奈保美氏(72)=共産、れいわ、社民推薦=を破り、再選を確実にした。

31日(火)
新型コロナウイルス対策、感染症対策で司令塔を設置 政府は、新型コロナウイルス対策で省庁間の調整不足が批判されたことを踏まえ、感染症対策で司令塔機能を担う組織を設置する検討に入った。岸田文雄首相は昨年の自民党総裁選で「健康危機管理庁」の新設を掲げており、内閣官房に各省庁の関連部局を統合し、官房副長官がトップを務める案が検討されている。
防衛研「東アジア戦略概観2022」、防衛費「10兆円規模」も 防衛研究所は日本周辺の安全保障環境をまとめた年次報告書「東アジア戦略概観2022」を発表した。この20年で東アジアの防衛費全体に日本が占める割合が半減したことに触れた上で、対中国の抑止力・対処力確保に向け、防衛費を10兆円規模に増額する必要性に言及した。