アジア短信
8月19日(土)
台湾周辺で軍事演習─中国 中国軍で対台湾作戦を担う東部戦区の部隊は台湾周辺で演習を行った。「『台湾独立』分裂勢力と外部勢力の結託・挑発に対する厳しい警告」としており、台湾の頼清徳副総統による訪米への対抗措置とみられる。頼氏は来年1月の総統選に与党・民進党から出馬することが決まっており、中国は軍事的な威嚇で揺さぶる構えだ。
21日(月)
米韓両軍が合同演習開始 米韓両軍は朝鮮半島有事を想定した定例の合同演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」を開始した。核・ミサイル能力を高める北朝鮮への抑止力を強化するため規模を拡大し約30の野外機動訓練を行う。一方、北朝鮮はミサイル発射訓練の実施を発表し、演習への対抗姿勢を示した。
22日(火)
カンボジア、フン・マネット新政権発足カンボジアで国民議会(下院、定数125)が開かれ、与党カンボジア人民党のフン・マネット氏(45)を首相とする新内閣が信任された。国王の任命を経て、正式に新政権が発足。父親のフン・セン氏(71)は38年間務めた首相を退任したが、同党党首を続投するなど「院政」を敷く。
台湾のオブザーバー資格剥奪─中米議会、中国に付与 6カ国で構成する中米議会は、オブザーバー資格を台湾から剥奪する代わりに中国に与える提案を、賛成多数で承認した。台湾は同日、これに抗議し、即時脱退を表明した。
タイ新首相にセター氏 タイ国会は上下両院(定数計750)の合同投票を行い、タクシン元首相派で下院第2党のタイ貢献党の不動産開発会社元社長セター氏(61)を新首相に選出した。反軍を掲げてきたタクシン派が、クーデター後の軍政の流れをくむ親軍政党などと「大連立」政権を樹立することとなり、タクシン派を巡る対立が続いたタイ政治にとって大きな転換点となる。
23日(水)
タイ新首相選出に祝意―米国務長官 ブリンケン米国務長官は声明を出し、タイでタクシン派のタイ貢献党のセター氏が新首相に選出されたことに祝意を示した。「同盟関係を一層強化するため、協力していくことを楽しみにしている」と強調した。
インド探査機、月着陸に成功 インドの無人月探査機「チャンドラヤーン3号」が月面への軟着陸に成功した。着陸成功は旧ソ連、米国、中国に次ぐ4カ国目で、宇宙開発におけるインドの先進国入りを示したと言えそうだ。
24日(木)
北朝鮮偵察衛星打ち上げ、再度失敗 北朝鮮は朝鮮中央通信を通じ、同日未明に軍事偵察衛星を打ち上げたが失敗したと発表した。5月31日の1回目に続けて2回目の打ち上げ失敗。日韓両政府も、失敗したとの見解を示している。
26日(土)
台湾周辺に中国軍機32機 台湾国防部(国防省)は台湾周辺で同日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に、中国の軍用機延べ32機、軍艦延べ9隻の活動を確認したと発表した。台湾メディアは、米国からの武器供与に対する反発との見方を伝えている。
ベトナム、炭鉱崩落4人死亡 国営ベトナム通信によると、ベトナム北部クアンニン省で炭鉱の崩落事故が発生し、労働者4人が死亡した。事故が起きたのは、国有企業ベトナム石炭・鉱物工業グループ(ビナコミン)傘下のバンダイン石炭が運営する炭鉱。救急隊などが生き埋めになった4人の遺体を見つけた。
27日(日)
北朝鮮コロナ鎖国解除、海外からの帰国認める 朝鮮中央通信は北朝鮮が国境封鎖を緩和し海外に滞留していた国民の帰国を認めたと報じた。北朝鮮は新型コロナウイルス対策として2020年1月に国境を封鎖した。帰国できなくなっていた人々がいたが、約3年半ぶりに中国やロシアとの航空旅客便が最近、相次ぎ再開された。
ミャンマー、東ティモール臨時大使追放ミャンマー軍事政権は同国に駐在する東ティモールの臨時代理大使に国外追放を命じたと明らかにした。国軍が「テロ組織」と位置付ける民主派組織との緊密な関係を理由とした。
北朝鮮、海軍に核配備方針 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は朝鮮人民軍海軍司令部で演説した。日米韓首脳を「ごろつきの頭目たち」と呼び、3首脳が会談で合同訓練の定例化で合意したことを非難。さらに「今後、海軍は核抑止力の構成部分になる」と語り、海軍に核を配備する方針を表明した。
28日(月)
鴻海創業者が出馬表明─台湾総統選 シャープ買収で知られる台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業創業者、郭台銘氏(72)は来年1月13日の総統選に無所属で出馬する意向を表明した。郭氏は台北市内で開いた記者会見で「無能で腐敗した(与党)民進党を必ず下さなければいけない」と政権交代を訴えた。
中国拘束4年で腎疾患に―豪国籍作家 中国で4年以上拘束されているオーストラリア国籍の作家、楊恒均氏が腎臓の病気を患いながら適切な治療を受けられないでいることが分かった。支援者が豪メディアに明らかにした。楊氏は死の恐怖を吐露しているという。
30日(水)
B1爆撃機が半島展開 韓国国防省は米軍のB1B戦略爆撃機が同日に朝鮮半島で展開し、黄海上空で米韓空軍の共同訓練を行ったと発表した。11日間の日程で行われている米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」の一環で、北朝鮮に米軍の戦略兵器を誇示した。
露朝の武器取引交渉加速 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者会見で、ウクライナに侵攻するロシアが北朝鮮から武器提供を受けるための交渉を加速させているとの見方を示した。北朝鮮外務省はロ朝間の武器取引を否定しているものの、弾薬などを中心に秘密交渉が進展しているという。北朝鮮からの武器調達は国連安保理決議で禁じられており、米国や日本などは非難声明を出した。
31日(木)
「反日」再び黙認、中国 東京電力福島第1原発の処理水放出開始から1週間。放出に激しく反発する中国の習近平政権は、国内の反日感情の高まりを黙認している。経済の低迷や高失業率で国民の不満がくすぶる中、SNSの投稿を巧妙に管理し、ガス抜きを図っているという見方がある。
北朝鮮が「核攻撃訓練」 朝鮮中央通信は北朝鮮軍が韓国への戦術核攻撃を想定し、30日夜に戦術弾道ミサイル2発の発射訓練を行ったと伝えた。同通信によると、北朝鮮軍は29日、韓国全土の占領を目標とする「全軍指揮訓練」を開始し、金正恩朝鮮労働党総書記が視察。北朝鮮は、核使用をちらつかせ、米韓に対抗していく姿勢を鮮明にしている。
9月1日(金)
タクシン元首相、禁錮1年に減刑 タイ政府は海外逃亡先から帰国後、公権力乱用罪などで有罪判決を受けたタクシン元首相(74)が、ワチラロンコン国王の恩赦で禁錮8年から1年に減刑されたと公表した。「王室への忠誠心」などが理由。タクシン氏は2001年に首相に就任したが、強権的な政治手法や利益誘導などを批判する反対派との対立が深刻化し、06年にクーデターで失脚。08年から海外で逃亡生活を送っていた。
2日(土)
シンガポール大統領選、元副首相が勝利シンガポール大統領選(任期6年)は開票が終了し、与党・人民行動党(PAP)出身のターマン・シャンムガラトナム元副首相(66)が対立候補2人を抑え当選した。ハリマ・ヤコブ大統領(69)の後継の第9代大統領に就任する。
北朝鮮、黄海に巡航ミサイル 韓国軍は北朝鮮が同日午前4時(日本時間同)ごろから黄海へ巡航ミサイルを数発発射したと明らかにした。北朝鮮は8月31日まで実施された米韓の合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」に反発。対抗して同29日から「全軍指揮訓練」を開始したと発表しており、巡航ミサイル発射は訓練の一環とみられる。
初の太陽観測衛星打ち上げ─インド インド宇宙研究機構(ISRO)は同国初の太陽観測衛星「アディティヤL1」を南部スリハリコタの宇宙センターから打ち上げた。軌道投入に成功し、約4カ月かけて地球から約150万キロ離れた宇宙空間の観測域に向かう。
9日(土)
G20サミット開幕、アフリカ連合の加盟決定 主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)がインドの首都ニューデリーで開幕。首脳宣言では、ロシアによるウクライナ侵攻に関する表現でロシア、中国と西側諸国の間で調整が難航していたが、「核兵器の使用や威嚇は許されない」などとする首脳宣言を採択した。アフリカ連合(AU)の加盟でも合意した。
北朝鮮、建国75年で軍事パレード 北朝鮮が建国75年の記念日を迎え、国営の朝鮮中央テレビなどは首都平壌で行われた式典の様子を報じた。また、民間防衛組織のパレードも行われ、金正恩総書記は娘とともに出席した。弾道ミサイルは登場せず、金総書記の演説も行われなかった。パレードには中国の劉国中副首相をトップとする代表団とロシアの軍楽団なども招かれたという。